つみたてNISAの拡大が発表され、資産形成への注目度が高まっている一方で、コロナ明けの世界的なインフレへの対抗として、世界株や米国株の伸び悩みがあります。今回は、米国株に対抗する債券などを中心に幅広い投資分野を見て、今おすすめの投資方法を見ていきます。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
つみたてNISAの主要で買われている米国株が下落している
資産形成を始める、という方はまずつみたてNISAを検討する、始められている方が多いと思います。実際、マネーキャリアでも多くのご相談が寄せられ、「なんとか少しでもお金を増やしたい」と考えて始める方も多いです。
一方で、つみたてNISAで人気の米国インデックス株式「S&P株式指数500」、世界株式「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」では、直近の伸び悩みが気になっている方も多いはずです。実際に直近のインデックス指標の推移を見てみましょう。
S&P500
Emax Slim オールカントリー
各画像の点は、2022年1月1日前後の日付を指していますが、それぞれ下落もしくは横ばいとなっています。特に、S&P500では、2022年1月1日時点から2023年4月1日現在だと約14%ほど下落しています。すなわち、2022年以降からつみたてNISAを初めて、S&P500などをメインに買われている方は、下落もしくは横ばいになっている方も多くいらっしゃる可能性があるということです。
今後はもちろん回復傾向に向かう可能性も多分にありますが、米国株を牽引してきたGAFAMの直近のニュースを見ると、不安材料も多分にあると感じる部分は否めません。
株式市場の低迷は、コロナ明けの急激なインフレ抑制
米国株式の低迷は、わかりやすく説明すると下記のような流れです。
- コロナ明けで個人消費が爆増した
一見すると、景気は良くなるのでは?と思う方もいるかと思いますが、ここからが異常事態でした。 - 景気対策として、現金給付・失業手当などを政府が大量に発行した
日本では、現金給付のほとんどが貯金に回ったと言われますが、アメリカでは大量に消費活動に繋がりました。 - ガソリン価格や労働価格などの急激なインフレ
個人消費に供給が追いつかず、インフレにつながりました。 - 米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のため、金利をあげました。
経済的な知識になりますが、一般的に金利(お金を借りる際の利息の利率)を上げると、企業投資が減り、インフレが抑制されます。(次の章で詳細説明します。) - 結果として米国株式の停滞
一方で、FRBによる施策の結果、米国債券価格が急騰
まずは、アメリカの国債価格について見ていきます。
※ ◯年債券といって、発行してから償還(満期)するまでの期間のことを言います。当然ではありますが、長期であればあるほど利率は良くなります。
基準日 | 5年債 | 10年 | 30年債 |
---|---|---|---|
2020/01 | 1.320% | 1.510% | 1.990% |
2020/07 | 0.210% | 0.550% | 1.280% |
2021/01 | 0.450% | 1.110% | 1.870% |
2021/07 | 0.690% | 1.240% | 1.890% |
2022/01 | 1.620% | 1.790% | 2.110% |
2022/07 | 2.700% | 2.670% | 3.000% |
2023/01 | 3.630% | 3.520% | 3.650% |
2023/04 | 3.490% | 3.390% | 3.610% |
2024/01 | 3.832% | 3.998% | 4.175% |
グラフでも見てみましょう。
米国債5年
米国債10年
米国債30年
過去の推移について、言わずもがな、直近2022年以降伸びていることがわかるかと思います。注目していただきたいのは、S&P500の指標と逆の動きをしていることです。
株式と金利(債券)は逆の動きをするので、資産ポートフォリオを組む上で、重要といえます。
資産形成の基本は、「長期・積立・分散」と言われていますが、この「分散」についてはよく勘違いされている方もいて、よくみんなが買っている投資信託を買っておけばOKと勘違いしている方もいらっしゃいます。米国株が強いタイミングでは米国株に比重を多くし、債券が強い相場では、債券割合を多くする、といった工夫をする必要があります。
いわゆるロボアドバイザーでは、こういったポートフォリオ調整を自動でやってくれる点で、手数料が多くても資産を伸ばせるサービスとして支持されていたりします。(PRではありませんが。)
一般の銀行・証券会社で買えるのは限られた米国債
まずは、米国債の種類について知っておきましょう。大きく分けると3つのパターン分けがあります。
- 「利付債」と「ゼロクーポン債」
利息の受け取り方の差によって、金利が変わってきます。
「利付債」:年2回、その時点での利息を受け取れる
「ゼロクーポン債」 :毎年の利息がない代わりに、割引ありで債券購入できる - 「市場性国債」と「非市場性国債」
「市場性国債」:上記の5年/10年/30年などの市場で販売されている債券
「非市場性国債」:市場(証券会社など)を介さず売り買いされる。(政府間など) - 「新発債」と「既発債」
※ 非市場国債は、政府が発行し、通常は公開市場で取引されない債券です。これらの国債は、中央銀行、年金基金、またはその他の政府機関などの特定の機関に販売されることが多く、一般の投資家や個人投資家には提供されません。非市場国債を購入できる資格は、国や特定の規制によって異なる場合があります。一部の場合、国内の金融機関や政府機関だけがそれらを購入できます。他の場合、特定の制約や資格を満たす限り、外国の機関や投資家が参加できることがあります。 日本で言えば、保険会社などは購入できる場合があります。
2023年の4月の今が最後のチャンス!
証券会社では、あまり積極販売しているような広告を目にしませんが、保険会社の一時払い終身保険や、銀行での短期米国債券販売は加熱している様子があります。
過去20年近くの中でも利率がかなり高い状況で、顧客メリットの大きい状況と言えます。
債券投資の利率については毎月変動し、2023年4月以降は下落する可能性も高いので、ぜひ今のうちに資産の見直しをされたい方はぜひマネーキャリアにご相談ください。
※ もちろん「まだ資産形成を始めてない(はじめるのが怖い)」「最近初めて見たけどあってるのかわからない」方もお金の相談であればなんでもwelcomeです!