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がん治療では、分子標的薬という治療方法があることをご存じでしょうか。

従来の抗がん剤に比べて副作用が少ないと言われている分子標的薬ですが、すべての分子標的薬が健康保険適用となって、高額療養費制度の適用となるわけではありません。

抗がん剤と分子標的薬の違いや、分子標的薬のメリット・デメリットを詳しく解説しています。

分子標的薬の特徴や費用を知って、がん保険の必要性を考えてみてください。

▼この記事を読んで欲しい人
  • 分子標的薬の特徴や費用について詳しく知りたい人
  • 分子標的薬のメリットやデメリットを知りたい人
  • がん保険は必要ないと考えている人

▼この記事を読んでわかること
  • 分子標的薬が保険適用になるかどうかがわかる
  • 抗がん剤と分子標的薬の違いがわかる
  • がん治療に関する費用やがん保険の考え方がわかる

分子標的薬は必ずしも健康保険適用となるわけではありません。がんの種類や部位、治療方法の組み合わせなどによっては、健康保険適用が承認されていない分子標的薬があるのです。なぜがん保険が必要なのか、近年注目を集める分子標的薬とはどんな治療なのか詳しく解説します。

この記事の目次

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分子標的薬は保険適用になる?分子標的薬は先進医療か?


がんの治療で分子標的薬「イレッサ」が健康保険適用に認定されて以降、次々に分子標的薬が開発されていますが、いまでも保険適用外の分子標的薬があります


分子標的薬と健康保険との関係は、3つの分類に分けることができます。

  1. 指定されたがん適応することで健康保険の対象となる分子標的薬
  2. いまだ健康保険適用の承認が下りておらず自由診療の分子標的薬
  3. 指定されたがん以外に適応することで先進医療や健康保険の適用外となるケース
たとえば、分子標的薬の1つ「イマチニブ」は慢性骨髄白血病を適応として2009年1月に、健康保険の対象として承認されました。

しかし近年、進行性悪性黒色腫に対して、イマチニブとペムブロリズマブを併用した治療が有効だと言われ、「イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法」として、先進医療Bに登録されています。

このように、健康保険適用の分子標的薬であっても、治療法として適応するがんが異なっていたり、他の治療法と併用することで、先進医療となってしまう場合もあるのです。

分子標的薬にかかる値段はどれくらい?


分子標的薬に対する費用は、適応するがんによって大きく異なります。


適応外のがんなら健康保険の対象にならず全額自己負担ですし、先進医療に指定されている治療法なら健康保険適用の分子標的薬であっても、先進医療の技術料が全額負担なるからです。


多くの分子標的薬の費用のなかには、以下のようなものがあります。

分子標的薬の費用治療方法費用(自己負担3割の場合)
肺がんプラチナ・分子標的薬併用療法47万~55万円(14万~16万5,000円)
乳がんトラスツズマブを計18回の薬物療法約220万円(約66万円)
悪性黒色腫イマチニブ経口投与及びペムプロリズマブ静脈内投与の併用療法先進医療の平均額約86万円
健康保険の適応外となるがん分子標的薬を6回投与(自由診療)1回あたり約25万円、6回で150万円


健康保険が適用されれば、高額療養費制度を利用できますが、年収370万~770万円なら月額8万円以上の自己負担が必要となり、年間100万円以上の医療費が必要です。


先進医療や自由診療になると、健康保険適用にはならず、全額自己負担となり高額療養費制度も利用できません。


健康保険を使用しても高額な分子標的薬は、治療するがんの種類によって大きく費用が変わるため、十分な検討が必要だと言えるでしょう。

がん保険を適用すれば分子標的薬にかかる値段を安くできる


がんに特化したがん保険なら、もしもがんの治療で分子標的薬を適用することになっても、自己負担を抑えることができます。


がん保険で、分子標的薬の費用を抑えることができる大きな理由は2つあります。

  1. がん保険の保障内容
  2. がん保険の先進医療特約
国立がん研究センター「最新がん統計」によると、日本人が一生でがんと診断される確率は、2019年のデータに基づいた割合によると男性が65.5%、女子絵が51.2%です。

つまり、男女ともに2人に1人は一生に一度はがんと診断され、2021年のデータに基づいたがんの死亡率は、男性が26.2%で4人に1人、女性は17.7%で6人に1人の割合となっています。

がんはどこか他人ごとのように考えられがちですが、意外と近い存在でもあるため、がん保険の必要性はよく検討しておくようにしましょう。

がん保険の保障内容について

がん保険には、主に6つの保障があり、更に保障内容が多くなっているがん保険も販売されています。

がん保険
保障内容
診断一時金がんと診断されたときの保障
入院がんで入院したときの保障
手術がんで手術した場合の保障
通院がんの治療で通院した場合の保障
先進医療がんの治療で先進医療を受けた場合の保障
抗がん剤抗がん剤治療をおこなった場合の保障


保険商品によって、がん保険の保障内容が異なるため、検討する際はよく確認することが大切です。


特に、がんと診断されたときの一時金保障には、2つのタイプがあります。

  • 初めてがんと診断された時のみ、一時金が支払われる
  • 初めてがんと診断された時に加え、再発や転移の診断でも一時金が支払われる
同じがん保険であっても、保障の内容や保障回数が異なるケースもあるので、がん保険は様々な保険会社を比較しながら検討するようにしてくださいね。

がん保険の先進医療特約について

近年では、一般的な医療保険でも先進医療特約が付加できるようになっていますが、がん保険にも先進医療特約があります。


厚生労働省「先進医療の各技術の概要」によると、令和5年10月1日現在、先進医療Aは28種類、先進医療Bは53種類で、計81種類の先進医療技術が承認されており、治らなかった病気も、先進医療技術によって治療が可能となる場合があるのです。


がん保険によっては、主契約に先進医療保障がある場合もありますが、特約で先進医療特約があるなら、がん保険には付加しておくべきだと言えます。


医療保険で、すでに先進医療特約が付加している場合、次のようなケースが考えられるので覚えておきましょう。

  • 医療保険とがん保険が同じ保険会社なら、いずれか1商品にしか先進医療特約は付加できない
  • 医療保険とがん保険が別会社なら、どちらにも先進医療特約が付加できる
なお、医療保険に加えて、がん保険にも先進医療特約を付加した場合、保障の対象となれば2つの保険から先進医療特約の保険金が支払われます。

分子標的薬とはどのような治療薬?


抗がん剤は、正常や異常に関係なく攻撃的な作用がありますが、分子標的薬には、細胞よりももっと細かく分類された、異常な遺伝子やタンパクだけを選んで攻撃する特徴があります。


そのため、分子標的薬を用いた治療には2つの大きなメリットがあるのです。

  1. 正常な細胞を傷つけずに治療できる
  2. がん細胞と正常な細胞が結びつくことを妨害できる
ただし、どのようながん治療に対して分子標的薬を用いるのかによって、健康保険適用の有無が異なります。

それぞれのメリットを、詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

正常な細胞を傷つけずに治療できる

分子標的薬を用いたがん治療を、分子標的治療と言い、正常な細胞を傷つけずに異常な遺伝子のみを攻撃してくれます。


従来の化学療法に抗がん剤があり、血液によって全身に巡るため正常な細胞まで傷つけてしまうデメリットが多いことで有名です。


しかし、分子標的薬ならがん細胞や異常な分子だけをターゲットにして、治療ができるのです。


薬物療法の1つである分子標的薬には、2つの種類があります。

  • 小分子化合物
  • 抗体薬

小分子化合物は小さな化合物で、がん細胞が増殖する際に必要となるタンパク質をターゲットにして、細胞の中でがん細胞を増やす信号を阻害することを目的としています。


抗体薬は、がん細胞の表面にあるタンパク質と結びつき、がん細胞だけを直接攻撃するタイプや、がん細胞の周囲に作用して血管や免疫に対する働きをする作用のタイプがあるのです。


どちらも異常な遺伝子やタンパクを選んで攻撃してくれるので、正常な細胞には影響が少ないことから、抗がん剤と比べて副作用が少ないと言われています。

がん細胞と正常な細胞の結びつきを妨害する

がん化した細胞は、分裂したり増殖したりする「増殖因子」を、情報を伝達する「レセブター(受容体)」と結合して、正常な細胞を取り込みながらがんが進行していきます。


分子標的薬は、異常タンパク質を結合させることで、増殖因子を包み込み、正常な細胞に異常タンパク質が届かないようにするため、異常な細胞が増えることを阻害して、がんの進行を防いでくれるのです。


がん細胞が活発に活動しなければ、身体中にがん細胞が広がることを防ぐことができることから、近年注目を集めている分子標的薬の1つが「イマチニブ」だと言われています。


イマチニブは、血液のがんである「白血病」の治療約として用いられていますが、白血球を増殖させてしまう異常タンパク質を捉えて、働きを阻害することに役立っています。


そんなイマチニブは、白血病だけでなく、胃がんなどの消化管間質腫瘍でも、がんの増殖を抑えられることがわかってきており、今後の適応範囲に期待が持てるかもしれませんね。

がん治療を分子標的薬で行うメリットは?従来の抗がん剤と比較して紹介


分子標的薬を用いてがん治療をするメリットには、どんなものがあるのでしょうか。


ここでは、従来のがん治療として用いられてきた抗がん剤と比較しながら、紹介していきます。

  1. 分子標的薬による治療では副作用が少ない
  2. 分子標的薬は治療前に効果を予測できる
メリットがあるからこそ、健康保険適用とする治療が順に認められてきているのです。

しかし、誰もがノーリスクや治療の期待が持てるわけではありません。

とはいえ、抗がん剤よりも患者の負担を少なくできる分子標的薬は、今後がん治療には欠かせない治療法となってくることでしょう。

分子標的薬は少ない副作用で治療できる

抗がん剤よりも少ない副作用で、がん治療ができる分子標的薬ですが、まったく副作用がないわけではありません。


それぞれの副作用について、比較してみましょう。

比較副作用
抗がん剤白血球減少症、血小板減少症、貧血、吐き気、口内炎、便秘や下痢、
 肝機能や腎機能障害、ウイルスの再活性化、血管外漏出、出血性膀胱炎、
 抹消神経障害、心毒性、輸注関連毒性、二次がん、間質性肺炎、皮膚障害など
分子標的薬かゆみを伴うにきび、肌の乾燥、爪や鼻粘膜の炎症、口内炎、下痢、肝臓機能、
間質性肺炎、視覚障害、吐き気、味覚障害、むくみなど

白血球や血小板の減少症による行動の不自由、脱毛や吐き気、口内炎などは抗がん剤治療でよく耳にする副作用ですよね。

ターゲットにしたがん細胞だけを攻撃する分子標的薬では、このような副作用は減りましたが、副作用がなくなったわけではありませんので、覚えておきましょう。

分子標的薬は治療前に効果を予測できる

異常な遺伝子や特定のタンパクなどをゲノムバイオマーカー検査で調べ、分子標的薬の効果が期待できるかを事前に確認することが可能です。


血液中に存在するたんぱく質などの物質を調べられるゲノムバイオマーカーでは、特定の分子標的薬と結びつけることができるかを検査します。


この事前検査によって、がん治療を開始する前に効果のある治療法を見つけることができるので、「この治療で効果なければ次の治療方法」といった、患者の大きな負担を軽減できるようになったのです。


従来の腫瘍マーカーでは、体液や血液の中でがんに由来する物質を測定するモニタリングでしたが、分子標的薬の適用を判断するゲノムバイオマーカーは、医療の個別化としてコンパニオン診断薬とも言われています。

がん治療を分子標的薬で行うデメリットは?分子標的薬が保険適用される一覧も紹介


副作用が少ない分子標的薬が、がん治療に期待できるならぜひ治療を受けたいと思いますよね。


しかし、分子標的薬の治療には患者にとって負担となるデメリットがあることも事実です。

  1. 分子標的薬は高額療養費制度を利用できない
  2. 分子標的薬は治療期間が長期化してしまう
がんを患ったとき、少しでも期待できる治療を受けたいものですが、分子標的薬の治療を受けるには、高額な医療費を覚悟しておかなければなりません。

2つのデメリットについて、詳しく解説していきます。

分子標的薬は治療費が高額だが高額療養費を利用できない

まだ新しいがん治療である分子標的薬は、医療費が高額となりがちで、一般的に医療費の軽減として利用できる健康保険適用や高額療養費制度を利用できない場合があるのです。


がん治療を受けるとき、医療費は2つのパターンに分類されます。

  • 健康保険が適用となる分子標的薬
  • 自由診療(全額自己負担)となる分子標的薬
保険適用として承認された分子標的薬なら、医療費が原則3負担となり、一定の自己負担額を超過すると、超過した部分の医療費は高額療養費制度を利用することで、返金される公的保障が存在します。

しかし、中にはまだ保険適用外となる分子標的薬のがん治療もあり、医療費が全額自己負担となってしまうこともあるのです。

保険適用となる分子標的薬の一例

がんの部位分子標的薬の種類
難治性の悪性リンパ腫イブリツモマブチウキセタン(セヴァリン)
慢性骨髄性白血病
消化器官間質腫瘍
イマチニブ(グリベック)
腎細胞がん
(手術で切除しきれない、または転移したもの)
エベロリムス(アフィニトール)
HER2陽性の乳がんトラスツズマブ(ハーセプチン)
切除不能な進行または再発した大腸がんバニツブマブ(ベクチビックス)
ターゲットとなるがんの部位によって、保険適用となる分子標的薬の種類が決まっているため、分子標的薬と先進医療と組み合わせた治療法や、分子標的薬の保険適用外となる部位のがん治療は、健康保険の対象外となるので、覚えておきましょう。

分子標的薬は治療期間が長期化する

副作用が少なく、がんの進行や再発防止に期待ができる分子標的薬には、医療費の自己負担が高額となってしまうデメリットがあります。


分子標的薬は、難治性や切除不能ながんに対して健康保険適用の承認が下りている傾向にあり、つまり進行や再発予防のため、治療期間が長期化してしまうケースが多くなっているのです。


たとえば、乳がんの治療では、次のような医療費の自己負担が発生します。

自己負担額医療費の総額自己負担額
(3割負担)
トラスツズマブ(ハーセブチン)
約225万円
(1年間で17コース実施)
約68万円
ベルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセル約817万円
(1年間に17コース実施)
約245万円
再発予防のために使用する薬剤によって自己負担額は大きく異なり、効果のある限り継続されることになります。

健康保険適用だからと言っても、長く続く治療によって、経済的な問題が発生するリスクが高まるため、生活を守りながら治療を受ける方法を、十分考えておくべきだと言えるでしょう。

がん治療にかかる費用をなるべく抑えたい方はプロに相談しよう


生活を守りつつ、希望する適切な医療を受けたいなら、がん保険に加入しておいた方が安心だと言えるでしょう。


がんを患ってしまったときの医療費は、健康保険適用となる治療でも、高額な医療費や長期にわたる治療で、経済的なダメージが大きくなってしまいます。


がんの治療費で自己負担を抑えたいなら、がん保険に加入しておくべきですが、必要となる保障種類や保障額は、人それぞれ異なるため、保険のプロに相談してみましょう。


がん保険を探すときは、複数の保険商品を比較しながら検討することが大切で、何度も保険のプロに相談する必要が出てきてしまいます。


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まとめ:分子標的薬は保険適用になる?分子標的薬は先進医療か?

がん治療に有効な分子標的薬は、抗がん剤に比べて副作用が少なく、健康保険適用となるケースもあります。


しかし、先進医療との組み合わせ治療健康保険適用外となる分子標的薬の治療、長期にわたって分子標的薬を継続すると医療費の自己負担が高額となってしまう恐れがあるのです。


がん治療に備えてがん保険に入っておけば、万が一の時には、医療費を心配することなく治療に専念することができます。


健康保険があるからと安心せず、進化するがん治療に関心を持ち、がん保険の必要性について考えておきましょう。

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