妊婦検診は医療費控除の対象になる?助成金を受け取ったときの書き方は?のサムネイル画像
おすすめ記事のサムネイル画像

国のある制度を活用すれば老後2000万円は余裕だって知ってた?

妊婦検診は医療費控除の対象となるのでしょうか。この記事では、妊婦検診が医療費控除の対象となるかについて徹底的に解説しています。また、出産の際に助成金を受け取ったときの、医療費控除の明細書の書き方も説明しているので、ぜひお読み下さい。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

目次を閉じる

妊婦検診は医療費控除の対象になる?

おすすめ記事のサムネイル画像

国のある制度を活用すれば老後2000万円は余裕だって知ってた?



こんにちは、マネーキャリア編集部です!


先日、高校以来からの友人が出産し、こんな事をつぶやいていました。

妊婦検診や出産に使ったお金って戻ってこないの?確定申告した方がいいのかな?

副業やフリーランスの仕事をしている人と違い、会社勤めの人にはあまり縁がない確定申告。


今まで大きな病気をしたことがない場合はとくに、医療費控除を受けるのは産後が初めてという方が多いのが現状です。


「国税庁レポート2020 Ⅷ 資料編」によると、電話相談の多い税務項目の第4位が医療費控除とされており、それだけ悩んでいる人がいるという事が分かります。


こちらのページでは、これから出産を迎える方や、既に出産を終えた方のために

  • 妊婦健診(妊婦検診)は医療費控除の対象になるのか
  • 医療費控除の「対象になる費用」と「ならない費用」

について解説していきます。


あなたの確定申告への負担が少しでも軽くなれば幸いです。

妊婦検診は医療費控除の対象になる!

妊娠・出産時に生じる出費で、もっとも気になるのは妊婦健診(妊婦検診)の費用ではないでしょうか?


妊娠初期は月に1度、臨月にもなると毎週のように病院に通うことになります。


妊婦健診(妊婦検診)とは赤ちゃんとお母さんの健康状態を把握するための健康診査で

  • 問診・診察
  • 基本検査(子宮底長・腹囲・血圧・むくみ・体重などの確認、尿検査など)
  • 保健指導
  • 血液検査
  • 子宮頸がん検診
  • 超音波(エコー)検査
  • nst(ノン・ストレス・テスト)

などが行われます。


多くの市区町村では、母子健康手帳と一緒に妊婦健康診査費用補助券が交付され、1回の妊婦健診(妊婦検診)につき1組の補助券が使用可能です。


原則として、妊婦健診(妊婦検診)の費用が助成額に満たない場合は、補助券が使えません。

※その場合、医療費の償還払い(払い戻し)ができます。


妊婦健診(妊婦検診)を受ける際には多かれ少なかれ支払いが発生するので、「医療費控除の対象になるのでは?」と考える方も多いでしょう。


妊婦健診(妊婦検診)は医療費控除の対象になります。


支払い回数が多く、受診のたびに気になっていた部分だと思うので覚えておきましょう。

おすすめ記事のサムネイル画像

国のある制度を活用すれば老後2000万円は余裕だって知ってた?

妊婦検診以外出産費用で医療費控除の対象になる費用は?

そもそも、医療費控除とは何なのでしょうか?


なんとなく分かっているけれど、詳細はいまいち理解できていないという方のために、解説していきましょう。


医療費控除とは大まかに言うと

  • 1年間で支払った医療費の合計金額が高額になった場合に受けられる
  • 確定申告をすることで、その年の所得税が軽減される(お金が返ってくる)

という制度です。


年末調整を受けている人も確定申告をしないと医療費控除は受けられないので忘れないようにしましょう。


また、医療費控除は全ての医療費に適用されるわけではなく、診察治療に必要なものを対象としています。


「病気の予防」「美容」「個人的な好み」のための費用は医療控除の対象外でなので注意が必要です。


具体的には

  • 妊婦健診(妊婦検診)費用
  • 通院時にかかった費用
  • 入院時にかかった費用
  • 分娩時にかかった費用

などが医療費控除の対象となります。


詳しく見ていきましょう。

①入院の費用

妊娠・出産時に最もお金がかかるとされるのが入院費用です。


入院時にかかったお金の中には、医療費控除対象となるもの・ならないものがあるので注意が必要です。


医療費控除の対象となるのは次の通りです。

  • 入院の際にかかった交通費
  • 入院基本料(診察料、看護料、室料など)
  • 分娩費用
  • 病院で支給される食事代
  • 病院の枕やシーツなどのクリーニング代
  • 医療用器具の購入やレンタル費用
  • お薬代など
入院中に病院から出された食事は医療費控除の対象になります。


しかし、支給されたもの以外の食事(外食など)にかかった費用は医療費控除の対象外なので気を付けましょう。


クリーニング代は、あくまで病院のものを綺麗にした場合にのみ認められ、自身のパジャマやタオルなどは当てはまらないので注意してください。


他にも

  • 入院の際に使用するパジャマや洗面用具など
  • 差額ベッド代
  • テレビや冷蔵庫のレンタル費用
  • 医師や看護師に対するお礼

などは医療費控除の範囲外になります。


よく耳にする差額ベッド代とは、正確には特別療養管理室料と言い、こちらは控除対象外です。


「個室に入院した時に払うやつでしょ?」と思う方もいるかもしれませんが、複数人数の部屋でも差額ベッド代は発生するので注意しましょう。


特別療養管理室の基準は下記の通りです。

  • 1部屋あたりのベッドの数が4床以下
  • 1人当たりのスペースが6.4平方メートル以上確保されている
  • プライバシーが守られている
  • 椅子や机、個別の照明や収納設備が整っている

これら全てを満たすと差額ベッド代が発生します。


ただし「治療上その部屋である必要がある場合」や「病院都合でその部屋に入った場合」などの場合は、差額ベッド代は請求されません。

②通院のときの交通費

通院・入院時にかかる費用は、交通手段によって対応が違うので注意しましょう。

交通手段医療費控除備考
電車通勤・通学で利用している定期券内は除く
バス通勤・通学で利用している定期券内は除く
タクシー病状や緊急時のみ可
自家用車(ガソリン代など)×
新幹線・飛行機治療上必要な場合のみ可

電車やバスは医療費控除の対象ですが、タクシー代は原則対象外なので注意しましょう。


ただし、公共の交通機関が動いていない時や、状態的にタクシーを利用しなければならない場合はこの限りではありません。


出産時は特に陣痛タクシーなどを利用する方もいると思いますが、陣痛時のタクシー代は医療費控除の対象です。


新幹線や飛行機などの長距離移動手段は、治療上遠方の病院に行く必要がある場合のみ適応されます(宿泊費用は対象外)

おすすめ記事のサムネイル画像

国のある制度を活用すれば老後2000万円は余裕だって知ってた?

出産したときの医療費控除で注意すべき点は?

妊娠・出産は、病気ではないのにたくさんの医療費を支払ったり、保険金や手当金を受給したり、お金の面で見ると少し特殊なケースです。


ここでは

  • 出産育児一時金と出産手当金の違い
  • 領収書の取り扱い
  • 年またぎ出産での医療費控除を受ける際の注意点
  • 里帰り出産の費用
  • さかのぼっての医療費控除申告

について詳しく説明していきます。


どれも間違えやすい問題なので正しく理解して確定申告に備えましょう。

①出産育児一時金と出産手当金の扱いには違いがある

出産に関して受けられる助成の中に、出産育児一時金出産手当金というものがあります。


名前は似ていますが、それぞれ扱いが全く違うので注意しましょう。

出産育児一時金

「出産育児一時金」とは、出産(分娩時)にかかる患者負担を減らすための助成金です。

手続きをすることで自身が加入している医療保険から「子供1人につき42万円」もらうことができます。
※在胎週数が22週に達していないなどの場合は40万4千円

出産育児一時金は医療費控除の制度上、補填される金額に値し、かかった医療費からマイナスする必要があるので注意しましょう。

出産育児一時金を更に細かく紹介している記事もございますので、参考にしてみてください。
出産手当金
「出産手当金」は、働いている助成が勤務先の健康保険から受給できる助成金です。

出産育児一時金同様、産後もらえるお金のひとつですが、こちらは医療費控除の対象外となります。

理由は、出産手当金が「出産そのもの」に対してではなく「出産を理由に休職している人のお給料を補うため」に支払われるものだからです。

医療費とは関係ないということですね!

②領収書は提出しなくて良いが保管するの義務がある

平成29年分の確定申告から、領収書の代わりに医療費控除の明細書の添付が必要となりました。


しかし、税務署から要求があった際には提示または提出しなければなりません。


国税庁によると、医療費の領収書は5年間保存する必要があるとされているので、確定申告に必要ないからといって捨ててしまわないように気を付けましょう。


電車代やバス代のように領収書の発行が難しい物に関しては、わざわざ領収書を作ってもらう必要はありません。

  • 日付
  • 支払先
  • 医療費の区分
  • 金額

などをノートやエクセル、家計簿などに記録しておきましょう。


特に「支払先」「医療費の区分」「金額」は、確定申告時に作成する医療費控除の明細書に記入するので忘れずに。

支払先

病院・薬局などの支払先の名称を書きます。

交通費の場合は「JR」「〇〇交通バス」などの企業名を書いたり、「〇〇病院 交通費」とまとめて書く方法があります。

医療費区分

医療費控除の明細書には、その医療費が何に使われたかを示す「医療費区分」というものも記載します。

区分には
  • 診療・治療
  • 医薬品購入
  • 介護保険サービス
  • その他の医療費
があり、交通費の場合は「その他の治療費」にチェックするので覚えておきましょう。

③出産時に年をまたいだ場合の医療費控除の申告は複雑

12月から翌年1月までに入院し、年をまたぐ出産をしたときの医療費控除の取り扱いは下記の通りです。


項目基準となる日分類
医療費支払った日医療費
出産育児一時金受け取った日保険金などで補填される金額(非課税)
保険金医療費を支払った日保険金などで補填される金額(非課税)

医療費

妊婦健診(妊婦検診)や、入院・分娩費用などの医療費は、お金を払った日を基準にします。

ただし、支払い方法でクレジットカードを選択した場合、クレジットカードを提示した日=支払った日と考えられているので注意しましょう。

カード支払いは、患者の代わりにカード会社が「医療費の立て替え払い」をしたと考えられます。

よって、口座から引き落とされるお金は「病院への支払い」ではなく「カード会社への債務支払い」とみなすのです。

出産育児一時金

出産育児一時金は、その名の通り「出産」と「育児」に対して行われる助成制度です。

多くの方が分娩の退院時に差額の計算が行われるため、分娩・入院に対する支援のように思いますが、性質が少し違います。

医療費を支払った日に関係なく、出産育児一時金を受給した日(年)の医療費からマイナスしましょう。

保険金

保険金は「1日あたり5,000円」など、入院費用を保障するための給付なので医療費を支払った日を基準に考えます。

国税庁のホームページにも記載されている通り、年をまたぐ出産で12月、1月と医療費の支払いをした場合、それぞれの入院費用に応じて保険金を分配しなければならないので注意してください。

例)12月28日から翌年1月3日まで入院で、支払いが12月、1月と行われた時
→保険金は12月の4日分と、1月の3日分で計算

④里帰り出産の際の交通費は医療為控除の対象外

里帰り出産の場合の交通費は医療費控除の対象外です。


里帰り出産は出産前後に故郷に戻り、家事や育児のサポートを受けるのが目的とされており、医療とは別の問題とされているので注意しましょう。


ただし、里帰り出産のため市外・県外の病院を受診し、補助券が使用できなかった場合の妊婦検診等は各市区町村で償還払い(払い戻し)を受ける事が可能です。

⑤医療費控除は過去5年分まで申告できる

会社勤めの方の中には、医療費控除の申告を忘れていた方もいるでしょう。


その場合は過去5年間であれば還付申告ができるので安心してください。


詳細は下記の通りです。

  • 確定申告の義務が無い人はさかのぼり申告が可能
  • 期間は「申告書を提出できる日から5年間」

会社で年末調整や源泉徴収を行っている方は、確定申告の必要はなく還付申告という形で医療費控除の申告を行います。


還付申告確定申告と違い、対象となる年の翌年1月1日から申告受付が開始。


以降5年間いつでも医療費控除の申告をすることが可能です。


確定申告のように2月16日から3月15日までを期限としていないので覚えておきましょう。

妊婦検診を含めて医療費控除した際の還付金はいくら?

実際に、妊娠・出産した際に医療費控除申告すると、どのくらいの還付金が入るのでしょう。


医療費控除=還付金額ではないので注意が必要です。


還付金計算方法は下記の通りです。


  1. 医療費控除額を算出
  2. 所得税率を確認
  3. 医療費控除額×所得税率=還付金額

所得税率は課税される所得金額(課税所得金額)によって変わるので、まずは課税所得金額の計算が必要です。


課税所得金額は「収入」から「必要経費」と「各種控除額」を差し引いた額の事を指します。


 会社員などの場合は源泉徴収票を見て「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた額がこれに当たるので、確認してみましょう。


出てきた金額に応じた所得税を以下の表より確認して医療費控除と掛け合わせれば計算終了です。

課税所得金額所得税率
195万円未満5%
195万~329.9万円
10%
330万~694.9万円20%
695万~899.9万円23%
900万~1,799.9万円33%
1,800万~3,999.9万円40%
4,000万円以上45%

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」所得税の早見表 


①所得が200万円以上の人

所得が200万円以上の人の医療費控除は

1年間に支払った医療費の合計金額]ー[補填金額]ー10万円

で求める事ができます。


これをもとに還付金の計算をしてみましょう。


例)Aさんの場合

  • 源泉徴収票の所得控除後の金額…400万
  • 所得控除の額の合計額…100万
  • 医療費…年間100万
  • 補填された額…50万
この場合、

医療費控除額=100万-50万-10万=60万円

課税所得=400万-100万=300万円


課税所得と所得税率の表を見て所得税率を確認し還付金の額を計算すると、

還付金額=60万円×10%(0.1)=6万円

となります。

②所得が200万円未満の人

所得が200万円未満の人の医療費控除は

1年間に支払った医療費の合計金額]ー[補填金額]ー[所得×5%(0.05)


で計算することが可能です。


例えば、所得が150万円の人は

150万×5%(0.05)=7.5万円

この場合「医療費」から「補填金額」を引いた額が7.5万円以下なら医療費控除を受けられるというわけですね!

妻と夫で総所得金額が高い方が医療費控除の申告をしよう

医療費控除の申告は「世帯ごと」に行うため、夫と妻どちらでも申告が可能です。


還付金額は「医療費控除額×所得率」で計算されるため、一般的には所得の高い人ので申告した方が戻ってくるお金が多くなります。


例)共働き夫婦Bの場合

  • 夫の課税所得額…500万円
  • 妻の課税所得…300万円
  • 医療費控除額…20万円
夫で医療費控除をした場合

20万×20%(0.2)=4万円

妻で医療費控除をした場合

20万×10%(0.1)=2万円

となります。


妊婦健診(妊婦検診)から出産まで妻が支払いをしてきたので、変な感じもするかもしれませんが、家族の中で「最も収入の多い人」で申告すると覚えておきましょう。


しかし、所得が200万円以下の場合、そもそも医療費控除額を求める計算式が変わるため、所得が少ない人で申告した方がお得な場合もあります。


迷ったときは実際に計算してから申告するようにしましょう。

医療費控除はe-Taxを利用して申告しよう

医療費控除はe-Tax(イータックス)のスマートフォン申告がおすすめ!


e-Taxはパソコンスマートフォンから税金にまつわる書類を作成できるシステムです。


必要項目を入力するだけで自動計算されるので、記入漏れや計算ミスを防いでくれます。


書類の郵送の手間もかからないので、忙しい方にぴったりです。


ただし

  • マイナンバーカード
  • マイナンバーカードの読み取りが行えるスマートフォン

を所持している必要があるので注意しましょう。


的個人認証サービスポータルサイト「マイナンバーカードに対応したNFCスマートフォン一覧」

出産後の検診費用の医療費控除の対象となる可能性がある

妊婦健診(妊婦検診)は医療費控除の対象でしたが、出産後の健診費用はどうでしょう?


本来、予防の意味合いの強い健康診断は医療費控除の対象とはなりません。


しかし、国税庁の質疑応答事例では、


「出産後の検診の費用についても、健康診断の対価にすぎないものを除き、医療費控除の対象となります」


と回答されており、産後の一ヶ月健診も医療費控除の対象であることが分かります。


要するに、産後一番の健診(検診)は、健康診断というより、産後の状態観察(診察)の意味合いが強いというわけです。 


先にも述べましたが、医療費控除か見分けるポイントは「治療であるか」「予防、美容等に当てはまらないか」になります。 

まとめ:妊婦検診は医療費控除の対象となる!

妊婦健診(妊婦検診)を基盤に、妊娠・出産時にかかる費用が医療費控除の対象となるか解説してきましたが、いかがでしたしょうか?


今回の記事のポイントは

  • 妊婦健診(妊婦検診)や産後の一か月健診は医療費控除の対象となる
  • 差額ベッド代や自家用車による通院費用は医療費控除の対象外
  • 控除対象かどうか見分けるポイントは「治療」か「予防」「美容等」か

赤ちゃんが生まれて幸せな反面、収入と支出が気になってしまうのは仕方ないことです。


還付申告をして、少しでも多くのお金を取り戻せるようにしましょう!


マネーキャリアでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。