
・公務員がiDeCoを使ったら節税効果はどれくらい?
・iDeCoのメリットとデメリットは?
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
<結論>
iDeCoの節税効果は、年収と掛け金によって異なります。年間で数万円の節税になり、運用益も非課税になるため、数十年間で100万円以上の節税効果になることもあります。
iDeCoの注意点として、60歳まで引き出せないことや、受け取りの際に税金がかかる場合があることが挙げられます。
この記事では、年収と掛金別に節税される額をシミュレーションするとともに、iDeCoのメリットと注意点を解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 公務員のiDeCoの節税効果はいくら?年収・掛金別にシミュレーション
- 年収400万円の公務員の場合
- 年収500万円の公務員の場合
- 年収600万円の公務員の場合
- 無料FP相談を活用して、iDeCoの節税効果をシミュレーションしよう!
- 公務員がiDeCoを利用するメリット
- 所得税・住民税が軽減される
- 運用益が非課税となる
- 積立額を自分で調整できる
- あなたにぴったりの方法は?FPと一緒に最適なiDeCoの活用法を見つけよう
- 公務員がiDeCoを利用する際の注意点
- 60歳まで引き出せない・途中解約ができない
- iDeCoを利用するとふるさと納税の上限額が減る場合がある
- 受け取り時に税金がかかる場合がある
- 【まとめ】公務員もiDeCoを積極的に活用して賢く節税しよう
公務員のiDeCoの節税効果はいくら?年収・掛金別にシミュレーション
公務員のiDeCoの掛け金上限は令和6年12月に引き上げられ、月額2万円となりました。それまでは月額1万2000円が上限だったため、大きな変更といえるでしょう。
正確には、公務員のiDeCo積立金の上限金額は次の式で計算されます。
月額5.5万円 - (企業型DC事業主掛金+DB等の他制度掛金相当額)
【上限 月額2万円】
公務員には企業型DCがなく、DB(確定給付企業年金)に相当する「年金払い退職給付」のみを考慮します。
年金払い退職給付が3.5万円を超えるのは、年収2,800万円以上の人の場合で、そのほかの人はiDeCoの上限が2万円となります。
実際には、月額掛け金は月5000円を下限として1000円ごとに自由に選べます。年収と掛金ごとに節税効果をシミュレーションしてみましょう。
年収400万円の公務員の場合
年収400万円の公務員の場合の節税額のシミュレーションはこのようになります。
表では、所得税率は10%として計算しています。
月額掛け金 | 年間掛け金 | 所得税の節税額 | 住民税の節税額 | 合計節税額 |
---|---|---|---|---|
5,000円 | 6万円 | 3,000円 | 6,000円 | 9,000円 |
10,000円 | 12万円 | 6,000円 | 12,000円 | 18,000円 |
15,000円 | 18万円 | 9,000円 | 18,000円 | 27,000円 |
20,000円 | 24万円 | 12,000円 | 24,000円 | 36,000円 |
この表からわかる通り、掛け金が多いほど控除額が大きくなり、節税効果が大きくなります。
年収500万円の公務員の場合
次に、年収500万円の場合に節税額はどうなるかシミュレーションしてみます。
表では、所得税率20%として計算しています。
月額掛け金 | 年間掛け金 | 所得税の節税額 | 住民税の節税額 | 合計節税額 |
---|---|---|---|---|
5,000円 | 6万円 | 6,000円 | 6,000円 | 12,000円 |
10.000円 | 12万円 | 12.000円 | 12,000円 | 24,000円 |
15,000円 | 18万円 | 18,000円 | 18,000円 | 36,000円 |
20,000円 | 24万円 | 24.000円 | 24,000円 | 48,000円 |
所得税の節税効果は、年収400万円の場合に比べて2倍になっています。
年収600万円の公務員の場合
年収600万円の場合には節税額はどれくらいになるでしょうか。
表では、所得税率20%としてシミュレーションしています。
月額掛け金 | 年間掛け金 | 所得税の節税額 | 住民税の節税額 | 合計節税額 |
---|---|---|---|---|
5,000円 | 6万円 | 6,000円 | 6,000円 | 12,000円 |
10,000円 | 12万円 | 12,000円 | 12,000円 | 24,000円 |
15,000円 | 18万円 | 18,000円 | 18,000円 | 36,000円 |
20,000円 | 24万円 | 24,000円 | 24,000円 | 48,000円 |
同じ所得税率20%でシミュレーションしたため、年収500万円の場合と同様の結果になりました。
無料FP相談を活用して、iDeCoの節税効果をシミュレーションしよう!

所得税と住民税の額を決める要素は年収だけではなく、扶養家族の人数や住んでいる地域などが関係しています。
FP相談では、iDeCoの節税効果を詳細な点までシミュレーションでき、運用先の選び方についてもアドバイスが受けられます。

公務員がiDeCoを利用するメリット
ここでは次の3つのポイントにしぼって解説します。
- 所得税・住民税が軽減される
- 運用益が非課税となる
- 積立額を自分で調整できる
所得税・住民税が軽減される
所得税・住民税の節税効果については、記事の前半でシミュレーションしました。
運用の掛け金に応じて税金が控除されることが、大きなメリットです。
運用益が非課税となる
通常、資産運用で利益が出た場合には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの運用益は非課税です。
例えば、35歳から65歳までの30年間、毎月1万円をiDeCoで積み立てたとします。運用益を自動で再投資するため、利回り3%の商品を選ぶと、利益と節税額は次のようになります。
月額掛け金 | 10,000円 |
---|---|
掛け金総額 | 360万円 |
運用益 | 約220万円 |
運用での節税効果 | 約44万円 |
30年間では220万円もの運用益が出て、まるごと非課税になるため、かなりの節税になることがわかりました。
積立額を自分で調整できる
iDeCoの積立額は、月5000円を下限として1000円単位で自由に決めることができ、1年に1度積立額の見直しも可能です。
積立額の変更の際、手数料がかからない金融機関がほとんどで、予算に合わせて調整可能なのがメリットといえるでしょう。
あなたにぴったりの方法は?FPと一緒に最適なiDeCoの活用法を見つけよう
ここまでで、公務員がiDeCoを使う際は月5000円から20,000円を上限に1000円単位で掛け金を決めることができ、節税効果が大きいことをお伝えしました。
FP相談では、自分の収入や家計に応じた節税額のシミュレーションや運用先の選び方について具体的なアドバイスが受けられます。家計に合わせた掛け金の額についても相談できますよ。

公務員がiDeCoを利用する際の注意点
公務員がiDeCoを使う際の注意点について次の3つを解説します。
- 60歳まで引き出せない・途中解約ができない
- iDeCoを利用するとふるさと納税の上限額が減る場合がある
- 受け取り時に税金がかかる場合がある
60歳まで引き出せない・途中解約ができない
iDeCoには老後の資産形成という目的があるため、受け取り可能年齢の60歳を過ぎなければ引き出せず、途中解約もできないのがデメリットです。
ごくまれな例外として途中解約して脱退一時金を受け取れるケースもありますが、基本的に解約に至るのは契約者本人が高度機能障害を負ったり死亡したりした場合です。
iDeCoの積み立てが難しくなった場合、ライフステージに合わせて積立額の増減や一時休止といった方法を検討してみてください。
iDeCoを利用するとふるさと納税の上限額が減る場合がある
ふるさと納税の上限額は年収や扶養家族の人数によって決まります。
iDeCoを利用すると課税所得が減るため、ふるさと納税の上限額が減る場合があります。ただし、基本的にはふるさと納税で控除される税金よりもiDeCoで控除される税金の方が大きく、メリットの方が大きいでしょう。
また、シミュレーションツールなどで簡単にふるさと納税の上限額を試算することもできます。
受け取り時に税金がかかる場合がある
iDeCoの受け取り方には基本的に2種類あり、一時金として受け取ると退職所得とみなされ、年金形式で受け取ると雑所得とみなされます。2つの受け取り方を組み合わせる方法もあります。
それぞれ「退職所得控除」と「公的年金等控除」が適用されるため一定額までは課税されませんが、金額によっては課税される場合があります。
特に公務員だと退職金を受け取るため、iDeCoの一時金受け取りと退職金の受け取りが重なると税金がかかる可能性が高くなることに注意してください。
【まとめ】公務員もiDeCoを積極的に活用して賢く節税しよう

この記事では、公務員がiDeCoを使うと所得税や住民税の節税効果があり、運用益も非課税になるというメリットについて解説しました。
また、受け取り可能年齢になるまで引き出しや途中解約ができないことや、受け取る際に税金がかかる場合があることが注意点でした。
マネーキャリアでは、iDeCoを使った際のトータルの税金控除額と受取時の税金のバランスはどうなるのか、家計に合った積立金の額はどう設定すればいいのか、といった詳細な点を相談できます。
現在の年齢や収入などを考慮した具体的なアドバイスを受けることで、iDeCoの最適な活用法が見つかるでしょう。
