ideco(確定拠出年金)法人向けと個人向けの違いとは?企業型DCを解説のサムネイル画像

▼この記事を読んで欲しい人 

  • iDeCoをはじめようとしている人
  • iDeCoの法人向けについて知りたい人
  • iDeCoの法人向けに加入しているが仕組みが分からない人

▼この記事を読んでわかること

  • iDeCoの法人向けと個人向けの違い
  • iDeCo法人向けの概要や特徴
  • iDeCoの転職に必要な手続き

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内容をまとめると

  • iDeCoの法人向けと個人向けは企業・個人のどちらが資金を出すかが違う
  • iDeCoの法人向けは3つの税制優遇措置がある
  • iDeCoは転職先に法人向けがある場合は、加入して年金資産を移換する手続きを行う
  • 今の時代年収資産運用や積み立てをしていないと将来お金に困ることになる
  • 資産運用や積み立てに関する相談はお金のプロであるFPに相談すべき
  • FP相談で迷ったらマネーキャリアがおすすめ

「企業型dcに加入しているが仕組みが分からない」「個人型確定拠出年金との違いを知りたい」このような悩みを持つ方は多いでしょう。そこで本記事ではidecoの法人向けと個人向けを比較、企業型確定拠出年金の特徴やメリットをまとめました。ぜひ最後までご覧ください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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idecoの法人向け(企業型DC)と個人向けの違いとは?

こんにちは、マネーキャリア編集部です。


先日30代の女性の友人から、こんな相談がありました。


法人向けideco(企業型DC)に加入しているんですけど、個人向けideco(個人型DC)との違いがわからないから詳しく教えてほしいです。


ここ数年、法人向けidecoと個人向けidecoの違いや法人向けidecoの特徴・メリットなど、

idecoに関するご相談が非常に増えています。


「法人向けidecoと個人向けidecoの違いについてもっと早く知りたかった」


日本では、金融教育が不十分であるとの声を聞きます。

実際、日本証券業協会が実施した「中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査」によると、金融経済教育の授業確保時間について約6割の教員が不十分であると回答しているのです。


今回は、知る機会のなかった法人向けと個人向けのidecoについて、体系的に解説していきます。


企業型確定拠出年金(企業型DC)とは何か、個人型確定拠出年金(個人型DC)とは何か、で悩んでいる方の第一歩のお手伝いになれば幸いです。

ideco(確定拠出年金)法人向けと個人向けを比較

一番初めにこの項目では、法人向けidecoと個人向けidecoの違いについて比較しながら解説します。


解説内容は、以下の9つです。

  1. 目的
  2. 加入対象者
  3. 掛金の限度額
  4. 口座管理費用
  5. 積立期間
  6. 税制上の優遇
  7. 運用商品
  8. 納付・給付方法
  9. 加入方法

それぞれ詳しく解説していきます。

目的

法人向けidecoと個人向けidecoの決定的な違いは、掛金を企業が拠出するか、個人が拠出するのかになります。


法人向けidecoでは、企業が掛金を拠出して従業員が運用を行い、60歳以降に退職金もしくは年金として受け取るのです。


一方、個人向けidecoは、個人が掛金を拠出して自分で運用を行い、60歳以降に年金として受け取ります。


そのため、「企業・個人のどちらが資金を出すか(福利厚生か自助努力か)」が大きな違いになるのです。

加入対象者

法人向けidecoと個人向けidecoの加入対象者は以下の通りです。


法人向けideco


法人向けidecoの加入対象者は、厚生年金の被保険者です。


しかし、法令で定められた法人向けidecoの加入資格ルールを設定して、加入対象者を限定する場合もあります。


加入資格ルールは以下の4つです。

  • 一定の職種(例:営業職、事務職など)
  • 一定の勤続年数(例:3年、5年など)
  • 一定の年齢:50歳以上は法人向けidecoの加入対象外
  • 希望者:「加入する」「加入しない」を任意で選択させる

上記4つのルールを採用したり組み合わせたりして加入対象者を限定する場合もあります。


個人向けideco


個人向けidecoの加入対象者は、以下の通りです。

  • 国民年金の第1号被保険者:国内居住で20歳以上60歳未満の自営業者、学生など
  • 国民年金の第2号被保険者:60歳未満の厚生年金の被保険者(サラリーマンなど)
  • 国民年金の第3号被保険者:20歳以上60歳未満で厚生年金加入者の被扶養配偶者

法人向けideco加入者の国民年金の第2号被保険者は、原則、個人向けidecoに加入できません。


ただし、法人向けidecoの規約で加入を認めている場合には加入できます。

掛け金の限度額

法人向けidecoと個人向けidecoの掛け金の限度額は以下の通りです。


法人向けideco


法人向けidecoの掛け金の限度額は、以下の通りです。

  • 他の企業年金がある場合:月額2万7500円
  • 他の企業年金がない場合:月額5万5000円

厚生年金基金確定給付企業年金などがあるかどうかで掛け金の限度額は異なります。


また、会社での役職に応じて掛け金は減少する可能性もあります。


個人向けideco


個人向けidecoの掛け金の限度額は、以下の通りです。 

  • 自営業者:月額6.8万円(年額81.6万円)
  • 会社員(企業年金なし):月額2.3万円(年額27.6万円)
  • 会社員(法人向けideco加入):月額2万円(年額24万円)
  • 会社員(法人向けideco&DB加入):月額1.2万円(年額14.4万円)
  • 会社員(DBのみ加入):月額1.2万円(年額14.4万円)
  • 公務員など:月額1.2万円(年額14.4万円)
  • 専業主婦(夫):月額2.3万円(年額27.6万円)
DBとは、確定給付企業年金のことを指します。

口座管理費用

法人向けidecoと個人向けidecoの口座管理費用は以下の通りです。


法人向けideco 


口座管理手数料は会社が負担します。


個人向けideco 


口座管理費用は個人が負担します。


手数料はそのほかにも、加入・移換時手数料や加入者手数料などがあります。


口座管理費用は金融機関によって異なるので、しっかりと確認しておくことが大切です。

積立期間

法人向けidecoと個人向けidecoの積立期間は以下の通りです。


法人向けideco 


原則、60歳まで積み立てることができます。


会社の年金規約に定めることで、最長65歳まで積み立てることが可能です。


※2022年5月以降からは70歳まで積み立てることが可能になります


個人向けideco 


原則、60歳まで積み立てることができます。


※2022年5月以降からは65歳まで積み立てることが可能になります

税制上の優遇

法人向けidecoと個人向けidecoの税制上の優遇は以下の通りです。


法人向けideco


運用益は非課税になります。


さらに積み立てたお金の受け取り時には、「一時金として受け取る場合は退職所得控除(退職所得)」、「年金として受け取る場合は公的年金等控除(雑所得)」が受けられます。


また、企業の掛金にプラスして加入者が掛金を拠出する場合には、全額所得控除を受けられるので、かなり老後の資金を蓄えやすいです。


個人向けideco 


掛金は全額所得控除になる上に、運用益は非課税になります。


一般的な金融商品で運用した場合は、運用益に対して20.315%の税金がかかりますが、ideco であれば0%です。

運用商品

法人向けidecoと個人向けidecoの運用商品は以下の通りです。


法人向けideco 


運用商品は、元本確保型である定期預金保険に加えて、元本変動型である投資信託です。


金融機関(運営管理機関)が選定した運用商品から選ぶことができます。


個人向けideco 


法人向けidecoと同様に運用商品は、元本確保型である定期預金や保険に加えて、元本変動型である投資信託になります。


加入したプランに応じて金融機関(運営管理機関)の運用商品から選ぶことが可能です。

納付・給付方法

法人向けidecoと個人向けidecoの納付・給付方法は以下の通りです。


法人向けideco


会社が口座振込や口座振替で納付します。


個人向けideco 


基本的には、自分の銀行口座から引き落としになります。


ただし、国民年金の第2号被保険者である会社員や公務員等の場合は、給与からの天引きの上、会社の口座からの口座振替で支払うことが可能です。 

加入方法

法人向けidecoと個人向けidecoの加入方法は以下の通りです。


法人向けideco 


会社が選んだ金融機関を通じて加入の手続きをします。


個人向けideco 


idecoを取り扱っている金融機関の中から選んで、加入申し込みの手続きを行います。


それぞれの金融機関で取り扱い運用商品やサービス内容は異なるので、比較検討して選ぶことが一般的です。

法人向けideco(企業型確定拠出年金)の概要・特徴

ここまでは、法人向けidecoと個人向けidecoの違いについて比較してきました。


この項目では、法人向けidecoの概要や特徴について解説します。


解説内容は、以下の3つです。

  1. 従業員が年金資産を運用
  2. 運用成績によって退職金・年金が変わる
  3. マッチング拠出で従業員が掛け金を上乗せできる

それぞれ詳しく解説していきます。

従業員が年金資産を運用

法人向けidecoは、会社が掛金を拠出してくれます。


しかし、その掛金をもとに、運用する金融商品を選んだり資産を配分したりするのは従業員です。


会社はあくまで掛金を提供するだけで、金融商品の選定や運用は行ってくれませんので注意しておきましょう。

運用成績によって退職金・年金が変わる

会社は掛金の提供以外は関与しないので、運用益を出せるかどうかは従業員の手腕次第になります。


そして自身の運用成績によって、将来受け取れる退職金・年金の額が変わるのです。


法人向けidecoは、掛金を会社が出すため従業員の懐が痛むわけではありませんが、せっかくリスクなく資産を運用できる機会ですので、計画的に金融商品の選定・配分を行いましょう。

マッチング拠出で従業員が掛け金を上乗せできる

実は、会社が拠出する掛金に上乗せて従業員が掛金を拠出することもできます。


それが法人向けideco特有の「マッチング拠出」と呼ばれる制度です。


マッチング拠出の掛金要件

  1. 従業員の掛金累計が会社の掛金累計を超えないこと
  2. 会社の掛金累計と従業員の掛金累計の合計額が「掛金拠出限度額」を超えないこと

上記2つの要件を満たす範囲内で掛金を拠出することができます。


マッチング拠出の注意点


法人向けidecoを導入しているからといって、必ずしもマッチング拠出が行えるかどうかはわかりません。


というのも、会社がマッチング拠出を採用していないケースもあるからです。


気になる方は一度、会社の担当部署に確認してみましょう。


それと法人向けidecoのマッチング拠出で支払った掛金も、原則60歳以降にしか引き出せないので注意する必要があります。

法人向けideco(企業型確定拠出年金)のメリット

この項目では、法人向けidecoのメリットについて解説します。


解説内容は、以下の2つです。

  1. 3つの税制優遇措置がある
  2. 確定給付企業年金よりも受給権が保全されている

それぞれ詳しく解説していきます。

3つの税制優遇措置がある

先ほどにもお伝えした通り、法人向けidecoには3つの税制優遇措置があります。


運用益は非課税


一つ目は、法人向けidecoの運用で得た利益が全て非課税になることです。


本来は20.315%の税金がかかるのですが、それが0%になります。


受け取り時は控除の対象


二つ目は、受け取ったお金が「退職所得控除(退職所得)」もしくは「公的年金等控除(雑所得)」の対象になることです。


法人向けidecoで積み立てた年金資産は、60歳以降に「一時金or年金」として受け取ることになります。


そして一時金であれば退職所得控除を、年金であれば公的年金等控除が受けられ、支払う税金が軽減されるのです。


マッチング拠出の掛金は控除の対象


三つ目は、マッチング拠出により従業員が拠出した掛金は全額所得控除の対象になることです。


個人向けidecoと同様に、所得控除で課税所得を減らして所得税や住民税などの税負担を軽減することができます。


以上3つが税制優遇措置によるメリットです。

確定給付企業年金よりも受給権が保全されている

そもそも確定給付企業年金(DB)とは、運用益ではなく加入者の勤務期間などの要素で給付額が決まる年金制度のことです。


確定給付企業年金は、業績悪化などに影響を受けて給付額減少もあるのですが、法人向けidecoでは会社が拠出した掛金が基本的に加入者の資産となるため、受給権の保全性が高いのが特徴になります。


これが2つ目の法人向けidecoのメリットです。

法人向けideco(企業型確定拠出年金)の運用商品

この項目では、法人向けidecoの運用商品について解説します。


運用商品は大きく分けて「元本確保型」「元本変動型」の2種類になります。


それぞれ詳しく解説していきます。

元本確保型

元本確保型の金融商品には、「定期預金」「保険」があります。


定期預金と保険のメリットは、元本確保型という名の通り元本割れのリスクがないことです。


一方、デメリットとして低金利時代を背景とした老後の生活資金蓄え不足が挙げられます。


金利は高くても0.03%程度なので、思った以上に将来の生活に必要な資金を貯めることができません。


また、保険については、運用商品を途中で変更(スイッチング)した場合に、解約控除金が差し引かれることがデメリットとして挙げられます。

元本変動型

元本変動型の金融商品には、「投資信託」があります。


投資信託は、元本変動型と呼ばれるだけあって元本割れのリスクがあります。


しかし、元本確保型と違って資産が大きく増加する可能性もあるので、老後の資金を蓄えやすいです。


法人向けidecoの掛金は会社が拠出する上に、運用益は非課税になりますので、よほどのことがない限りは投資信託がおすすめになります。


ただし、ある程度の投資に関する知識があることが前提です。

注意!法人向けideco(企業型確定拠出年金)転職に必要な手続き

転職をする際には、法人向けidecoの手続きが必要になります。


転職先に法人向けidecoがない場合とある場合について解説していますので、ぜひご覧ください。


1.法人向けidecoがない場合


法人向けidecoがない場合は、個人向けidecoの口座を金融機関で開設して資産を移換します。


法人向けidecoの金融機関は会社が選びますが、個人向けidecoであれば自分で金融機関を選定して口座を開設することが可能です。


手数料が低くサポート内容が充実した金融機関を選びましょう。


2.法人向けidecoがある場合


法人向けidecoがある場合は、転職先の法人向けidecoに加入して年金資産を移換する手続きを行います。


そのため、法人向けidecoの手続きについて会社の担当部署に確認してみましょう。

資産運用について迷ったらお金のプロに相談すべき理由

法人向けidecoにしろ、個人向けidecoにしろ、初めての運用で何をどうすればいいのかわからない人も多いでしょう。


「どの金融商品で運用すべきかわからない…」「今の資産運用で老後の資金を蓄えられるだろうか…」と不安を抱える人も少なくないはずです。


そこでおすすめしたいのが「マネーキャリアの無料FP相談サービス」になります。


マネーキャリアは、お金に関する相談の顧客満足度が93%と高水準で、idecoや資産運用の悩みを解決するまで何度でも無料で相談することが可能です。


しかも、相談員として経験豊富なFPが対応してくれるので、一人ひとりが抱える疑問をきっちりと解消することができます。


LINEで予約してZOOMで相談、というようにオンライン上で全て完結するので、忙しい方でも問題ありません。


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まとめ:法人向けidecoの仕組みを理解して運用しよう

この記事では、法人向けidecoと個人向けidecoの違い、法人向けidecoの特徴やメリットなどについてお伝えしてきました。

  • 法人向けidecoは会社が掛金を拠出し、個人向けidecoは個人が掛金を拠出する
  • 法人向けidecoの特徴は、「1.従業員が年金資産を運用」「2.運用成績によって退職金・年金が変わる」「3.マッチング拠出で従業員が掛け金を上乗せできる」の3つ
  • 法人向けidecoのメリットは、「1.運用益は非課税」「2.受け取り時は控除の対象」「3.マッチング拠出の掛金は控除の対象」「4.確定給付企業年金よりも受給権が保全されている」の4つ
  • 法人向けidecoでは、元本確保型の「定期預金」と「保険」、元本変動型の「投資信託」で運用できる

老後のどのぐらいの資金を残しておきたいかで資産運用の方法は変わってきます。


しかし、資産運用の方法を選ぶためには投資に関する知識を身につけておかなければなりません。


そのために、お金の専門家に相談して少しずつ疑問点を解消していきましょう。


マネーキャリアでは、ほかにも知って得する記事を多数掲載していますので、ぜひご覧ください。