iDeCoの掛金を増額して積み増ししたいと考えている方は少なくないと思います。本記事ではiDeCoの掛金の変更方法について各種金融機関ごとに詳しく解説していきます。また法改正によるiDeCoの制度改正によって積み増しがしやすくなったことについても解説します。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
- iDeCoは掛金を増額することはできるの?【手続き方法を解説】
- iDeCoの掛金額の変更は年に1回のみ可能である
- iDeCoの加入区分ごとに掛金の上限額を確認しよう
- 月5000円から掛金の設定が可能
- iDeCo加入区分ごとの掛金上限額
- iDeCoの掛金額の設定について
- iDeCoの掛金の変更手続きの流れを詳しく解説【SBI証券】
- ①現在の掛金の納付状況を確認
- ②増額をするやり方を決める
- ③運営管理期間から必要な書類を取り寄せ
- ④必要書類に記入して返送
- ⑤2ヶ月後から掛金の変更が適用される
- イオンのiDeCoの場合掛金の増額はどうすればいい?
- 掛金額の変更は年に1回可能である
- 毎月一定額の掛金を掛けていたが毎月の掛金金額のみ変更する場合
- 毎月一定額の掛金を掛けていたが引落月や金額を月別に指定する場合
- みずほのiDeCoの場合掛金の増額はどうすればいい?
- iDeCo加入者の場合の必要な手続き【加入区分ごとに解説】
- iDeCo運用指図者の場合の必要な手続き
- 楽天iDeCoの場合の掛金の増額はどうすればいい?
- 手続きの流れについて詳しく解説
- 保有商品の入れ替え(スイッチング)の手続き方法について解説
- 法改正によりiDeCoは掛金の増額以外にも積み増しができるようになる
- iDeCoは2022年から加入可能年齢が65歳まで拡大される
- iDeCoは企業型DCとの併用がよりスムーズになる
- 万が一iDeCoの掛金が払えなくなった場合の対処法を解説
- iDeCoは毎月の掛金を減額することも可能である
- iDeCoは掛金の拠出を停止することが可能である
- まとめ:iDeCoで掛金の増額をするための手続き方法について
iDeCoは掛金を増額することはできるの?【手続き方法を解説】
こんにちは。マネーキャリア編集部FPの西田です。
先日、30代サラリーマンから以下の相談を受けました。
「20代半ばからiDeCoに加入しています。最近、金銭的に余裕がでてきたので、iDeCoの掛金を増額したいと考えています。掛金を増額することはできますか?」
結論から言うと、iDeCo(イデコ)は掛金を増額できます。
ただし、iDeCoの掛金の変更は年1回と定められていますので、増額する際は一年間にわたって無理なく払い込める金額に設定してください。
本記事では、iDeCoの掛金について詳しく説明した後、iDeCoの掛金の変更方法について各種金融機関ごとに詳しく解説していきます。さらに、iDeCoが制度改正によって積み増ししやすくなったことについても説明します。
本記事が、iDeCoの増額を検討されている方の参考になりますと幸いです。
iDeCoの掛金額の変更は年に1回のみ可能である
iDeCoの掛金額の変更は年に1回のみ(毎年12月から11月の拠出期間)と定められています。
年間の掛金額を決める際は短期的スパンではなく、一年間におよんで設定した金額を払い込めるかよく考えましょう。
iDeCoの加入区分ごとに掛金の上限額を確認しよう
iDeCoとは自助で老後の資金を形成するための制度です。
iDeCoを活用すれば、税制優遇などのメリットを得ながら、老後資金を形成できます。
しかし、iDeCoの掛金はいくらでも掛けられるわけではなく、加入区分ごとに掛金の上限があるので気を付けてください。
以下、iDeCoの掛金の設定について解説していきます。
月5000円から掛金の設定が可能
iDeCoは月額5,000円から掛金を設定できます。5,000円以下で掛金を設定することはできません。
毎月の掛金を数万円単位に設定しなくとも、月々5,000円(年間60,000円)掛けるだけでも、節税をしながら老後資金を貯めることができます。
iDeCo加入区分ごとの掛金上限額
iDeCoは加入区分、雇用形態などによって掛金の上限額が異なります。
加入区分ごとの掛金上限額は、以下の表を参照してください。
雇用形態 | 毎月の掛金の上限額 |
---|---|
会社員 | 1万2,000円~2万3,000円 (企業年金の有無などによって異なる) |
自営業・フリーランス | 6万8,000円 |
公務員 | 1万2,000円 |
専業主婦(夫) | 2万3,000円 |
iDeCoは国民の老後資金形成をサポートする制度です。
そのため、企業年金などの保障が薄い会社員や、国民年金だけの自営業・フリーランス、あるいは専業主婦(夫)の掛金上限額は高く設定されています。
自営業・フリーランスには、厚生年金や退職金がないため、会社員や公務員よりも自分自身で老後資金を形成していくことが求められているのです。
iDeCoの掛金額の設定について
iDeCoは毎月の掛金額について、5,000円から各自に定められた掛金の上限額の範囲内で自由に設定できます。
2018年以前は、毎月掛金を拠出する方法しかありませんでした。
しかし、2018年1月に制度が改正されたことで、月単位だけでなく、年単位でも拠出できるようになりました。
年単位で拠出する場合の拠出期間は、12月分の掛金から翌年の11月分の1年間となります。
事前に届出を出すことにより、利用者はこの期間の拠出金額を自分で設定できます。そのため、ボーナス月の払込料を多く設定したり、お金が必要な月の掛金を少なめに設定することもできるようになりました。
iDeCoの掛金の変更手続きの流れを詳しく解説【SBI証券】
SBI証券の場合、iDeCoの掛金の変更手続きの流れは以下の通りです。
- 現在の掛金の納付状況を確認する
- 増額方法を決める
- 運営管理期間から必要な書類を取り寄せする
- 必要書類を取り寄せ、記入して返送する
- 手続き完了後、2ヶ月後から掛金の変更が適用される
それでは、掛金の変更手続きにおける各段階について詳しく見ていきましょう。
①現在の掛金の納付状況を確認
SBI証券のマイページにログインし、掛金の納付状況の確認をしてください。
確認方法は次の手順になります。
- 会員サイトにログイン
- 右上のメニューボタンから「資産状況」をクリック
- 「拠出金と資産残高の推移」の項目までスクロールし、「拠出金詳細」をクリック
- 毎月払い込んでいる掛金額を確認
②増額をするやり方を決める
iDeCoの増額のやり方は、
- 毎月の掛金を増やす
- ボーナスが支給される月だけ掛金を増やす
- 年末に残っている枠を全部使い切る
のいずれかになります。
ご自身の都合に最も合った増額方法を選択してください。
③運営管理期間から必要な書類を取り寄せ
メモ(章タイトルですが、「期間」→「機関」ではないでしょうか?)
増額方法が決まったら、運営管理機関から必要な書類を取り寄せてください。
必要書類の請求方法は増額方法によって異なります。
毎月定額で増額する場合
毎月定額で増額する場合は、加入者掛金額変更届を提出します。
マイページから加入者掛金額変更届の請求を行ってください。
書類を請求するには、氏名、送付先の住所、連絡先、基礎年金番号などの入力が必要になります。
請求手続き完了後、1~2営業日後には書類を発送してもらえるはずです。
ピンポイント(ボーナス月、年末など)での増額の場合
ピンポイントで増額する場合は加入者掛金額変更届とあわせて、加入者月別掛金額登録・変更届の提出が必要になります。
書類の請求はコールセンターでしかできません。
SBI証券の「iDeCo(個人型確定拠出年金)サポートデスク」に電話して、必要書類を請求してください。
- 固定電話 0120-581-214(平日および土曜日(年末年始を除く)8:00-18:00)
曜日や時間帯にもよりますが、電話がつながるまで数十分かかるケースも少なくないようです。
④必要書類に記入して返送
書類が到着したら、書類を記入して返送してください。
ここで、書類記入時のポイントを確認しておきましょう。
加入者掛金額変更届
返送書類にあわせて記入例も送られてきますので、記入例を参考に記入しましょう。氏名の横に印鑑を押す欄があるので、印鑑を忘れないようにしてください。
加入者月別掛金額登録・変更届
加入者月別掛金額登録・変更届に関しても、記入例が付いてきますので安心してください。加入者月別掛金額登録・変更届記入時には、
- 翌々月の引き落とし分から増額できるため、「掛金額」の「掛金額変更を申し出た月の翌々月から」、増額後の掛金額を記入
- 「納付済欄」の「掛金額変更を申し出た月の翌月まで」には、これまでの掛金額を記入
することに注意してください。
また、加入者掛金額変更届と同様、氏名の横に印鑑を押すことを忘れないでください。
⑤2ヶ月後から掛金の変更が適用される
手続きが完了したら、2ヵ月後から掛金の変更が適用されます。
残高不足などによって引き落としができなかった場合、拠出がなかったものとなります。追納を行うこともできなませんので注意してください。
イオンのiDeCoの場合掛金の増額はどうすればいい?
イオンのiDeCoにおける掛金の増額方法について解説していきます。
イオンのiDeCoを利用されている方は参考にしてみてください。
掛金額の変更は年に1回可能である
イオンのiDeCoも掛金の変更は年に1回のみ可能です。
ご自身が一年間にわたって無理なく払込めるだろう金額を設定するようにしてください。
毎月一定額の掛金を掛けていたが毎月の掛金金額のみ変更する場合
一定額の掛金を月々掛けており毎月の掛金額のみ変更されたい方は、加入者掛金額変更届の提出が必要です。
加入者掛金額変更届はイオン銀行の各種お手続きからダウンロードしてください。郵送料金はご自身での負担となります。
コールセンターに電話し、加入者掛金額変更届を請求することも可能です。
お電話にて必要書類を入手されたい方は、確定拠出年金コールセンターに問い合わせてください。
- 0120-867-401 (月曜日~金曜日 9:00~21:00/土・日曜日、祝日、振替休日 9:00~17:00 (12月31日~ 1月3日、ゴールデンウィークの一部の日およびメンテナンスの日を除く))
毎月一定額の掛金を掛けていたが引落月や金額を月別に指定する場合
引落月や金額を月別に指定される方は、加入者掛金額変更届 に加えて、加入者月別掛金額登録・変更届を提出する必要があります。
加入者掛金額変更届、及び加入者月別掛金額登録・変更届は、各種お手続きからダウンロードしてください。郵送料金はご自身での負担となります。
コールセンターに電話し、加入者掛金額変更届、及び加入者月別掛金額登録・変更届を請求することも可能です。
お電話にて必要書類を入手されたい方は、確定拠出年金コールセンターに電話してください。
- 0120-867-401 (12月31日~ 1月3日、ゴールデンウィークの一部の日およびメンテナンスの日を除く))
みずほのiDeCoの場合掛金の増額はどうすればいい?
みずほにおいてもiDeCoの掛金増額は年1回行うことができます。
ここでは、みずほのiDeCoの掛金増額方法を解説していきます。みずほのiDeCoを利用されている方は参考にしてみてください。
iDeCo加入者の場合の必要な手続き【加入区分ごとに解説】
掛金の増額方法は加入区分によって異なります。
加入区分は3種類あります。
- 第1号被保険者(自営業者とその家族、学生など)
- 第2号被保険者(会社員、公務員・私立学校教職員)
- 第3号被保険者(専業主婦(夫))
iDeCo運用指図者の場合の必要な手続き
運用指図者の方は、加入のお手続きが必要です。
コールセンターへ問い合わせ、必要書類を請求してください。
- 0120–867–401(平日 9:00~21:00/土日祝日 9:00~17:00)
楽天iDeCoの場合の掛金の増額はどうすればいい?
楽天iDeCoを利用されている方も、年1回まで掛金の増額を行えます。
ここでは、楽天のiDeCoの掛金増額方法を解説していきます。楽天のiDeCoを利用されている方は参考にしてみてください。
手続きの流れについて詳しく解説
楽天iDeCoの増額の方法について解説していきます。
加入情報などの変更には、国民年金基金連合会への届け出が必要です。
手続きに必要な書類は、加入状況、加入者情報を変更したい場合の手続きから入手できます。
楽天iDeCoの掛金の増額は、必要書類の請求後、以下の手順に従って手続きを行ってください。
- 必要書類の郵送(加入者)
- 審査(楽天証券)
- 受付・登録(国民年金基金連合会)
- 受付・登録(JIS&T社)
- 楽天証券サイトで結果の確認(加入者)
保有商品の入れ替え(スイッチング)の手続き方法について解説
スイッチングとは、運用中の保有商品の一部、もしくは全部を売却して商品を入れ替えることです。
スイッチングのやり方は次の通りになります。
- 楽天証券ウェブにログイン
- 「確定拠出年金」>「注文」をクリックし、「保有商品の入替」を選択
- 売却したい商品を選択
- 売却する商品と入れ替え対象となる商品を選択
- 売却数量を確認し、「申込確認」をクリック
- 内容を確認し、間違いがなければ「はい」をクリック
法改正によりiDeCoは掛金の増額以外にも積み増しができるようになる
法改正により、多くの人にとってiDeCoは利用しやすくなりました。
- 加入可能年齢が65歳まで拡大される
- 企業型DCとの併用がよりスムーズになる
iDeCoは2022年から加入可能年齢が65歳まで拡大される
現在、iDeCoに加入できる年齢は60歳までです。
しかし、2022年5月から、国民年金被保険者である65歳までが加入対象となります。
60歳以降も会社員、公務員として働く65歳未満の方、任意加入被保険者として国民年金に加入している65歳未満の方もiDeCoに加入できるようになります。
iDeCoは企業型DCとの併用がよりスムーズになる
現在のiDeCoでは、企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入している約750万人は、iDeCoへの加入が認められませんでした。
iDeCoに加入するためには、企業型DCの会社掛金の上限をiDeCoの拠出限度額分引き下げる労使合意、ならびに規約の変更が必要でした。
2022年10月から、本人の意思だけでiDeCoに加入できるようになります。
企業型DCと同時加入する際のiDeCoの拠出限度額は、次の2つのルールを満たす必要があります。
- 企業年金の有無に応じたiDeCoの限度額内
- 企業型DCの会社掛金+iDeCoの掛金の合計額が、企業型DCの限度額内
万が一iDeCoの掛金が払えなくなった場合の対処法を解説
iDeCoは「家計が悪化し、掛金を払うことが難しくなった」などの理由であっても、途中解約すると、元本割れする可能性が非常に高いです。
iDeCoの掛金が払えなくなった場合、以下の方法をとってください。
- 毎月の掛金を減額する
- 掛金の拠出を停止する
iDeCoは毎月の掛金を減額することも可能である
iDeCoの支払いが厳しくなった場合、減額するという方法があります。
途中で払えなくなったからといって、解約、及び返金は難しいので注意してください。
減額する場合、1,000円単位で変更可能です。
最低掛金額は5,000円、口座管理手数料も別途発生します。
iDeCoは掛金の拠出を停止することが可能である
iDeCoの最低掛金額である月額5,000円の支払いが難しい場合、掛金の拠出を一時的に停止できます。
停止する場合、利用している金融機関から加入者資格喪失届を請求し、必要事項を記入しして返送してください。
拠出を停止している間は、運用指図者になります。掛金の拠出を行わず、停止以前に拠出した分の資産の運用を行います。
掛金の拠出を停止すると、所得控除を受けられなくなるので気を付けてください。
まとめ:iDeCoで掛金の増額をするための手続き方法について
この記事では、「iDeCoで掛金の増額をするための方法」について解説してきました。
iDeCoの掛金の増額は年1回できます。頻繁に変更できるものではないため、拠出額を決める際は長期的スパンで考えるようにしてください。
掛金を増額する方法は、利用している金融機関、及び払込み方法によっても異なりますが、いずれにおいても書類の提出が必要です。
掛金の変更内容が反映されるまでに1ヵ月半から2ヵ月程度かかりますので、はやめのお手続きをおすすめします。
マネーキャリアでは、他にもiDeCoの運用に役立つ記事を多く掲載していますので参考にしてみてください。。