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「住宅ローンの借り換えに残高証明書が必要?」「年末残高証明書が必要な場合は?」このような悩みを抱える人は多いでしょう。そこで本記事では住宅ローンの借り換えに必要な年末残高証明書や紛失した場合の対処法について解説します。ぜひ最後までご覧ください。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

住宅ローンの借り換えに年末残高証明書が必要?


こんにちは。マネーキャリア編集部です。


 先日、数年前に住宅購入をされた40代男性の方からこんな相談がありました。


「今の住宅ローンは金利が高いから、借り換えをしたいけど何か書類が必要?」

「住宅購入してから勝手にポストに入っている年末残高証明書って何?」


住宅ローンを一生に何度も契約することは少ないですよね。


 多くの人の場合、知識や経験が少ない状態で、人生で最も高額な金額を借り入れることも珍しくありません。


 また住宅ローン契約当初は、この金融機関で借り入れするのがベストだと判断しても、収入状況が変わったり、団体信用生命保険などの保証内容を見直したくなることがあります。


 住宅ローンを借り換えるにはたくさんの手続きが必要です。


 手続きの時に必要な「年末残高証明書」についてこの記事ではわかりやすく解説しています。

  • 年末残高証明書とは?
  • 年末残高証明書に記載されている中身は?
  • 年末残高証明書が必要なのはいつ?
  • 年末残高証明書が投かんされる時期は?
  • 住宅ローン借り換え後の年末残高と住宅ローン控除額の計算方法とは?
  • もし年末残高証明書を紛失したら?
住宅ローン関連の書類は難しいと感じている方、住宅ローンの借り換えを検討している方のお手伝いになれば幸いです。

年末残高証明書は残高を証明する書類

年末残高証明書とは、住宅ローンのうち、その年の末時点での金額が記載された書類です。


ローン契約をしている各金融機関から、毎年郵送されます。


住宅ローン契約から、10年間受けることができる住宅ローン控除の金額はこの書類を基にして確定されます。 (住宅ローン控除期間は2021年時点では13年間に延長されています。)


名称はローン契約している金融機関によって異なり、

  • 住宅取得に係る借入金の年末残高等証明
  • 融資額残高証明書
となっていることもありますが、基本的な内容は変わりません。


また、住宅ローン借り換え時には今あるローン残額を一括返済し、新しくローンを契約することになるので、正確な残額を提示するために年末残高証明書が必要になります。

年末残高証明書の記載内容

年末残高証明書には、何が書かれているのでしょうか。


各金融機関によって様式は異なりますが、記載されているのは以下の内容です。

  • 住所・氏名
  • 借入金の内訳
  • 住宅借入金の年末残高・当初残高
  • 償還期間
  • 住宅取得対価等の額

以上の中には普段あまり聞き慣れない用語もありますよね。


ひとつずつ解説していきます。

借り入れをしている人の住所・氏名

年末残高証明書が届いたら、まず契約者本人の住所・氏名を確認しましょう。


住宅購入後にあたっては、慣れない手続きに引っ越しもあり、慌ただしくなりがちです。


氏名に間違いがないか、住所変更忘れはないかしっかり確認してください。


ペアローンを組んでいる場合は、ローンを組んでいる人それぞれに年末残高証明書が送られてきます。


一部届いたと安心せず、確認を忘れないようにしましょう。

借入金の内訳

「借入金の内訳」には、どのような支払いのために借り入れをしているのかが記載されています。


住宅ローンの場合は、

  • 住宅のみ
  • 土地のみ
  • 住宅及び土地
この中から契約内容に則して選択され、記載されています。

住宅借入金の年末残高

「住宅借入金の年末残高」の欄には、住宅ローン契約時の金額から今までに返済した金額を差し引いたその年の末日時点での予定残額が記載されます。


この年の末日の残高に従って、来年の住宅ローン控除額が確定されるので差異がないかよく確認しておきましょう。

住宅借入金の当初残高

「住宅借入金の当初残高」の欄には、住宅ローン借り入れをしたトータルの金額と、ローン契約の年月日が記載されています。


その年の末日の残高と併せてに確認することで、今まで返済したローン額と残りのローン額を把握することができます。

償還期間

「償還期間」の欄には、住宅ローン借り入れ月と完済予定月が記載されています。


償還とは、ローン(債務)を返済するという意味です。

なので、償還期間=返済期間と言い換えることができます。


償還期間は月単位で数えられます。

例えば20年ローンなら20年後の契約月の次月、35年ローンなら35年後の契約月の次月までとなります。


金融機関によっては「償還期間又は賦払い期間」と記載されている場合もあります。

住宅取得対価等の額

「住宅取得対価等の額」とは、住宅ローン控除の対象となる金額のことで、

住宅・土地の購入代金+諸費用の一部のことを指します。


基本的には、建物+土地の税込金額になりますが、設計料や住宅と一体として取得した設備(電気設備や給排水設備など)も含まれます。


この金額は、金融機関によって記載されているものとされていないものがありますが、

住宅購入一年目に必要な確定申告時に書かなければならない項目ですので、わからなければ住宅購入の不動産担当者に確認しておきましょう。

年末残高証明書が必要な場合を解説

金融機関から毎年送られてくる年末残高証明書ですが、自分でローン残額を確認する以外にどんな時に使えるのでしょうか。


この書類を使うのは、主に

  • 住宅ローン控除を受けるとき
  • 住宅ローンを借り換えるとき
この二点です。

①住宅ローン控除を受ける時

住宅ローン控除とは、国が定めている制度で、住宅購入にともなう借り入れ金額のうち、年末時点での残額の1%を次年度の所得税から控除する仕組みです。


住宅ローン減税ともいい、借り入れから10年間(消費税増税にかかる措置のため2021年時点では13年間)適用されます。


適用されるには各種条件がありますが、高額なローンを返済していく上でぜひ受けておきたい制度です。


年末残高証明書は、年末調整や確定申告の際、税務署が所得税控除額を確定するための必要書類です。


住宅を取得した翌年始めに、控除を受けるために確定申告を行います。


その際、年末残高証明書が他の書類と合わせて必要書類となっています。


他に収入がない会社員の場合、2年目からは年末調整で住宅ローン控除の手続きを行えますが、その際にも年末残高証明書が必要書類となっていますので、届いたらしっかり保管しておきましょう。

②住宅ローンを借り換える時

金利などの条件を変更したいときは、残っているローンの借り換えを行う場合があります。


例えば金利の見直しなら、元々契約した金利よりも0.3%以上金利が低くなる場合に有効です。


住宅ローンの借り換えは、ローン残額分を他の条件の良い金融機関から借りて、元々の金融機関へ一括返済することで完了します。


現在のローン残額がわからないと、新しい金融機関でいくらローン契約をすればいいのかわかりませんよね。


ローン残額を正確に明示するために、年末残高証明書が必要となります。

住宅ローンの年末残高証明書が送られてくる時期

住宅ローンの年末残高証明書がローン契約をしている各金融機関から送られてくるのは、10月~年末にかけてです。


手続きをしなくても自動的に送られてきますが、金融機関によって封書やはがきサイズなど様式は異なりますので、見落とすことがないようこの時期の郵便物はしっかり確認しましょう。


この時期には、保険会社から保険料控除証明書なども送られてくるので、書類の紛失や混同には要注意です。


もしこの時期以降に住宅ローン契約を行った場合は、翌年1月ごろに受け取ることになります。

住宅ローン借り換え後の年末残高計算方法

「住宅ローンの優遇金利期間が終わって、来年から金利が上がるから借り換えを考えたい」

「団信の保障内容を見直したい」


ローンの金利を低くしたい場合や当初の補償内容を見直したいときは、ローンの借り換えを検討される方が多いと思います。


しかしローン契約から10年または13年以内の、住宅ローン控除適用期間内に借り換えする場合、年末残高の計算はどうなるのでしょうか。


住宅ローンの借り換え金額は、借り換え前の金額と必ずしも同じになるわけではありません。

  • 借り換え前の住宅ローンの残高が同じか大きいケース
  • 借り換えによる新たな住宅ローン等の借入時の金額が大きいケース
2つのケースに分けて、詳しく説明していきます。

①借り換え前の住宅ローンの残高が同じか大きい場合

新しく契約した住宅ローンの金額≦元の住宅ローン残額

はじめに金融機関から借りていたローン残額と同額の借り換えの場合や、それよりも少ない金額で新たに借り入れをした場合。

このケースでは、住宅ローンの控除額の計算の仕方は借り換え前と同じです。

新しく契約した住宅ローン金額のその年末日の残高の1%が、次年度の控除額となります。

②借り換えによる新たな住宅ローン等の借入時の金額が大きい場合

新しく契約した住宅ローンの金額>元の住宅ローン残額

借り換え時、新しく借り入れるローン金額の方が元のローン残額より上回るケースがあります。

これはなぜかというと、ローン借り換えのタイミングで、リフォーム費用や借り換えの諸費用を新たなローンに組み込むことがあるからです。

住宅ローンの借り換えには、金利を下げるメリットがある一方、融資手数料や保証料など約30万円~100万円の諸費用がかかります。

ですから、借り換えを計画する際には諸費用を含めて検討する必要があります。

また、新たに契約したローン金額の方が多くなる場合、住宅ローン控除の計算方法は以下のようになるので注意が必要です。

新しく借り入れたローンの年末残額×借り換え前のローン残額÷新しいローンの借入額

今回は適当に設定した金額で実際に計算してみましょう。
  • 新たなローンの年末残額1900万円
  • 借り換え前のローン残額1500万円
  • 新しいローンの借入額 2000万円
とするとその年の住宅ローンの控除額は

1900万円×1500万円÷2000万円=1425万円

1350万円×0.01(1%)=14.25万円

となりますので、控除額は14.25万円が上限となります。

このケースでは、単純に年末残額の1%が控除額とはなりませんので気を付けてください

住宅ローンの借り換え後も年末調整をすればローン控除を受けられる

借り換えを当初契約後10年以内もしくは13年以内にしてしまうと、今まで受けられていた控除は受けられなくなるのでしょうか?


ローンを借りなおして金利が下がったとしても、控除が受けられなくなってしまうのは残念ですよね。


結論から言うと、ローン借り直した後も条件に合致していれば年末調整で控除の対象になります。


条件は以下の二点です。

  • 借入金を借り入れ元の住宅ローン返済に充てること
  • 住宅ローン控除を受けるための基本的な条件を満たしていること

条件①借入金を借入前の住宅ローン返済に充てる

新たな金融機関で契約した借入金を、前の住宅ローン返済に充てて、前の金融機関での借り入れ分は完済しましょう。


一部だけ借り換えるということはできませんので、前の住宅ローン残額を年末残高証明書の内容を確認して、全額借り換えるようにしてください。

条件②住宅ローン控除を受けるための基本的な条件を満たしている

金利見直しや保証内容見直しを目的として新しく借り直した後も、条件に合致していれば住宅ローン減税(控除)を受けられます。


ここで住宅ローン減税(控除)を受けられる条件を確認しておきましょう。


条件は以下の通りです。


条件が多く難しく見えますが、意外と当てはまる方が多いと思われます。

  • 住宅購入日から6ヶ月以内に入居、各年の年末日時点でそこに住んでいること
  • 床面積が50平方メートルより大きいこと(16坪以上)
  • その世帯の所得合計金額が3000万円より少ないこと
  • ローン返済期間が残り10年以上あること
  • 今回購入した物件以外で長期譲渡所得の課税の特例などの適用外であること

(参考:国税庁 住宅借入金等特別控除の適用要件)


借り換え前に控除を受けていた方は大体の条件を満たしていると思います。


一点だけ、「返済期間が残り10年以上に設定されていること」については注意が必要です。


例えば、借り換え前にローン残り年数が13年あった場合、

  • 住宅ローン控除の対象になる期間内で、残り返済年数11年に設定して借り換え…控除対象になる。
  • 借り換えの時に残りの返済年数を9年に変更…元々は控除の対象である期間内であっても控除から外れる。

元々住宅ローン控除が適用される期間内でも、借り換えによって適用外になってしまうこともあります。


金利が低くなるからといって安易に借り換えを進めるのではなく、手数料と一緒に控除の条件もしっかり考慮して計画的に進めることをお勧めします。

年末残高証明書を紛失した場合

「あれ?受け取ったはずの年末残高証明書がない!」

「年末残高証明書がなくても借り換えの手続きはできる?」


人によっては年末にかけて、控除関係の書類が多く郵送されてきて、管理しているつもりがいつの間にかなくなっていることもありますよね。


発行してもらった年末残高証明書を紛失してしまった場合は、ローン借り入れをしている金融機関に連絡すれば再発行してもらえます。


再発行手続きをしてから発行まで数日かかる場合がありますので、その他の手続きに影響が出ないよう、紛失に気づいたら早めに相談するようにしましょう。

金融機関で再発行することができる

住宅ローンの年末残高証明書を紛失してしまったら、金融機関で再発行できます。


大手金融機関や地方銀行など、店舗を持っている金融機関でローン契約をしている場合は

電話か窓口で相談しましょう。


その際、本人確認書類(各種健康保険証や運転免許証)、口座番号等が必要になりますので窓口に出向く前にローン契約をしている金融機関に確認してください。


また、再発行には手数料が必要な場合もあります。

金融機関によって異なりますが、400円から1100円あたりが目安になります。


ネット銀行で契約している場合は、ホームページ上で問合せることができます。

ローン契約をしているネット銀行がコールセンターを設けている場合は、電話でも相談可能です。


どちらも郵送か窓口で受け取ることになりますので、再発行の手続き前には、住所変更が終わっているかどうか確認しましょう。

必要に応じていつでも再発行可能

年末残高証明書は、必要なときに応じてどの時期でも再発行してもらえます。


では年末調整残高証明書がどんな時に利用するのでしょうか?


例えば、こんなケースです。

  • 住宅ローンの借り換えを行うとき
  • その年の年末残高証明書発行後に、繰り上げ返済を行ったとき

借り換えに年末残高証明書が必要なことは、前述のとおりです。


その他、繰り上げ返済を10月以降に行った場合にも再発行してもらうと良いでしょう


次回の控除は繰上げ返済後の残りローン額によって決定されますので、古い方の書類と入れ替え、混同しないように注意してください。

資産運用について迷ったらお金のプロに相談すべき理由

ここまで、年末残額証明書と住宅ローン控除について説明してきました。


とはいえ、

「今まで税金関係の勉強をしたことがなくて、控除とか聞き慣れなくて難しい…」

「申請漏れで損したくない。もっと詳しく知っておきたい。」


といった悩みや要望もあると思います。


そのような皆さんはお金のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのがおすすめです。


FPは、住宅ローン関係はもちろん、個人に合わせたライフプランやローン完済のための資産運用などの相談にも最適な提案をすることができます。


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まとめ:年末残高証明書をチェックして正しく扱おう

この記事では、住宅ローン控除や住宅ローンの借り換え時に必要な年末残高証明書について解説してきました。


年末残高証明書は

  • 金融機関から毎年、秋から年末にかけて送られてくる
  • その年の年末時点でのローン残額
  • 次年度の住宅ローン控除額を確定するために必要
  • 借り換え時のローン残額確認に必要
  • もし紛失してしまっても再発行可能
でした。


年末残高証明の見方を学び、毎年しっかりチェックして適切に手続きを行うことで住宅ローン控除などの恩恵を受けられるかもしれません。


確かに書類関係は難しいこともありますが、国の制度を適切に利用し、安心して住宅ローン完済を迎えたいですね。


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