
大きい節約効果を求めるなら、固定費の見直しは必ず行いましょう。ただし、具体的に何をするべきかわからないと、実際にはできないかもしれません。そこで、今回の記事では「固定費の見直し」について、1)具体的に何をすべきか、2)その際の注意点の2点を主に解説します。
この記事の目次
目次を閉じる固定費とは何か?
固定費とは、毎月一定額を必ず支払う費用のことです。
これに対し、食費など、支払額が月ごとに変動する費用は変動費と言います。
固定費の具体例としては、家賃、電気代・ガス代などの光熱費、携帯電話代・ネット回線代などの通信費を思い浮かべると分かりやすいでしょう。
そして、固定費を見直すことには、以下のメリットがあります。
- 一度見直せば大きな節約効果が長く続く
- 節約することによるストレスが少ない
ただし、単に安いものに乗り換えれば良いというわけではありません。 個々の固定費について、見直す際のポイントを詳しく解説します。
固定費の一覧
家計における固定費の具体例を、わかりやすくするために表でまとめました。 家賃のように毎月発生するものもあれば、自動車税のように年1回だけ発生するものもあります。 いつ、どんな固定費が発生するかは、こまめにチェックしておきましょう。
固定費の例を以下の表にまとめました。
固定費はクレジットカードやPayPayで払うとお得?
固定費を払う際も、工夫を凝らしましょう。 考えられるのは、クレジットカードやQRコード決済の「PayPay」で払う方法です。
まず、ポイント還元率1.0%(100円につき1ポイント、1ポイント=1円相当)のクレジットカードで支払った場合を考えましょう。 仮に、毎月の固定費が9万円だったとして、これをすべてクレジットカードで支払えば900ポイント(=90,000円÷100円×1ポイント)貯まる計算になります。
また、PayPayの場合、基本のポイント還元率は0.5%です。 しかし、支払元として公式クレジットカードである「PayPayカード」を登録した場合、還元率が以下のように変わります。
- PayPayの利用による還元率:0.5%
- PayPayカードの利用による還元率:1.0%
固定費9万円をすべてPayPayで払えば、毎月1,350ポイント(PayPayポイント)付与されます。 1ポイント=1円相当と考えた場合、1,350円ずつお得になると考えましょう。
なお、PayPayにはPayPayステップという優待システムがあります。 対象サービスの利用など、所定の条件を満たせばさらにポイント付与率が上がる仕組みです。
PayPayの利用による還元率が最高で1.5%までアップするため、合計2.5%もの高還元率が見込めます。
家計における固定費の金額はどのくらいが適正?
一般的に、家賃は手取りの4分の1から3分の1程度が妥当と言われています。
また、ファイナンシャルプランナーの横山光昭氏によれば、収入の20%を貯蓄することを考えた場合、理想的な家計の支出は固定費が45%、流動費が
35%とのことです。
参照:ARUHIマガジン「 「固定費」と「変動費」の理想的な割合とは? ~家計再生のプロ 横山光昭さん連載~」
仮に、一人暮らしで手取り収入が毎月20万円だった場合、これらの割合に基づいて計算した家賃と家賃を含めた固定費の金額は以下のようになります。
- 家賃:5万円~6万6,000円程度
- 家賃を含めた固定費:9万円
現実的には達成がかなり難しいため、収入の10%を貯蓄し、固定費の割合を50%、変動費の割合を40%として考えましょう。
この場合、家賃を含めた固定費は10万円までになるため、だいぶ余裕がでるはずです。
一方、2人以上で暮らしている場合で、毎月の手取り収入が40万円だった場合は、固定費の割合を45%、変動費の割合を35%とし、残りの20%を貯蓄に回してもよいでしょう。
この場合、それぞれの金額は以下のようになります。
- 家賃:10万円~13万円程度
- 家賃を含めた固定費:18万円
- 変動費:14万円
- 貯蓄:8万円
たしかに、この水準で納められれば、1年で100万円近く貯金できるため、かなり余裕も出るはずです。
家賃:住居費を見直す
住居費の見直しは、持ち家か借家かによってポイントが異なります。 まず、持ち家の場合は住宅ローンの借り換えがカギになるでしょう。
当初の金利が高かった場合、金利の低い住宅ローンに切り替えることで、毎月の返済額や総返済額が大幅に減らせる可能性があります。 しかし、実際に借り換えをする際は、手数料などの諸経費が数十万円単位でかかります。 借り換えで圧縮できる返済額より諸経費のほうが高かったらあまり意味がありません。 事前にシミュレーションをし、借り換えをするべきかを検討しましょう。
一方、賃貸の場合は家賃の見直しが必要になります。 一般的に、家賃は手取り収入の3分の1程度が良いとされますが、毎月の収入や住んでいる地域によっても事情は多少異なるでしょう。 そこで試してほしいのが、住んでいる地域の平均家賃との比較です。 あまりに高い場合は、安くしてもらえるよう大家さんと交渉してみましょう。
また、勤務先がリモートワークを導入しているなら、都心ではなく家賃の安い地方に引っ越すのも節約につながります。 ただし、引っ越しの諸経費がかかるため、長期的な家賃の節約額も踏まえつつ検討しましょう。
通信費:通信キャリアを見直す
通信費を見直す際は、通信キャリアの見直しがカギになります。 まず、モバイル回線の場合ですが、代表的なのが「格安SIM」に乗り換えることでしょう。
格安SIMの会社(MVMO、仮想移動体通信事業者)は、自社でモバイル用の回線網を有していません。 NTTドコモなどの大手キャリア(MNO、移動体通信事業者)の回線網を一部借りているため、安い料金プランでサービスを提供できるのです。 ただし、キャリアメールが使えなくなったり、通信が不安定になったりする可能性はあります。 気になるなら、大手キャリアの中での格安プランに切り替える方法も検討してみましょう。
一方、固定回線の場合は、オプションを確認し、不要なものを解約することが先決になります。 加えて、固定回線自体を解約し、モバイルルーターに切り替えるのも1つのやり方です。 しかし、オンライン会議が多いなど、データ通信量が多く、かつ高速接続の環境が必要なら、あまりおすすめはできません。 この点も踏まえて、どういうやり方で固定費を減らすかを考えてみましょう。
保険料:保険を見直す
保険の見直しは、生命保険と火災保険に分けて考えましょう。
- 生命保険の場合
まず、生命保険の場合ですが、必要な補償や保証期間は、人によって異なります。 小学校入学前の子どもを育てている家庭と、子どもがすでに社会人になって独立した家庭とでは、まったく求めるものが違うはずです。 そのため、補償期間や内容を総合的に見直し、オーバースペックであると判断したら、特約を解除したり、一度保険契約自体を解約して入りなおすのも良いでしょう。
ただし、以下の点には注意してください。
- 再度審査が必要
- 時期によっては解約払戻金が払込保険料を下回る
- 加入年齢が高くなっているため、保険料が逆に高くなる可能性がある
- 火災保険の場合
一方、火災保険の場合は、2022年10月1日から保険料の引き上げが予想されます。
2021年6月16日に損害保険料算出機構により、参考純率(保険金支払いに充当する部分の保険料率のこと)の引き上げが発表されたためです。
全国平均で10.9%の引き上げを発表したため、これに連動して保険会社も火災保険料を10%前後値上げすることが予想されます。
見直しを行うなら、引き上げ前である今(2022年6月)がベストでしょう。
電気代:電力会社を見直す
電気代を減らしたい場合は、電力会社を見直すのも1つの方法です。 ただし、2022年に入り、電気代は上がり続けています。
理由の1つとして考えられるのが、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻でしょう。 ロシアは、火力発電の燃料である天然ガス(LNG)の一大生産国です。 同国と対立する欧米諸国や日本では、今後LNGが調達できるか不安視されるようになりました。 そのため調達価格も急騰したことから、電気代も上がりつつあります。
この影響を大きく受けたのが、2016年の電力自由化により小売り事業に参入したいわゆる新電力会社です。 小売事業から撤退したり、破産したりした会社も出ています。 存続している会社でも、大幅な値上げに踏み切ったり、新規受付を停止したりしている状況です。
このような状況を鑑みると、しばらくは「新電力で契約してあまりに高かった場合は、その地域を管轄する大手電力会社のプランに切り替えて様子見をする」のが現実的な対応策になるでしょう。
使っていないサブスクを解約する
家計において案外盲点になりがちなのが、サブスクに対する出費です。 コンスタントに使っているなら何ら問題ありませんが、最後に使ったのがいつかもわからないくらい使用頻度が低いものは解約しましょう。 特に「初月無料」などのキャッチフレーズに惹かれて契約したものの、解約し忘れている場合は注意が必要です。
サブスクは月額使用料がそう高くないため気軽に契約してしまいがちですが、積み重なるとかなりの出費になります。 「本当に節約につながるのか」「使用する頻度は高いか」を見極めてから加入しましょう。