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iDeCo(確定拠出年金)は、複数の商品に対して分散投資することをが大切な投資信託です。

このとき、多くの商品に分散するのが良いと考えている人も多いでしょう。じつは商品を分散しすぎてしまうと、分散効率が落ちてしまうことをご存じでしょうか。

この記事では、これからiDeCoの利用を検討中の方を対象に、分散しすぎるデメリットや、運用を失敗しないコツについて解説しています。

老後資金を上手に貯めるために、各項目をチェックしてみてください。


確定拠出年金であるiDeCoの分散しすぎは効果がないの?とお悩みの方向けに、分散しすぎるデメリットや、効果がないと言われる理由を解説しています。失敗しないコツについても解説しているので、利益を出す動き方を覚えていきましょう。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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iDeCo(確定拠出年金)の分散しすぎるデメリット


iDeCo(確定拠出年金)は、複数の商品に対して投資を行うリスク分散型の投資信託です。しかし、分散しすぎてしまうと利益を生み出しにくくなると言われているのをご存じでしょうか。


まずは、「iDeCo=たくさん分散した方が良い」という認識が間違いであることを理解していただくために、分散しすぎるデメリットを3つ解説します。


  • 同じ値動きの資産同士を組み合わせても分散投資の効果が薄い 
  • 銘柄が増えると1銘柄あたりの投資金額が少なくなる 
  • ひとつひとつの金融商品の動向に目が行き届かなくなる


iDeCoの目的は、老後資金を貯めて生活を豊かにすることです。長期的な考えを持って動く必要があるので、分散しすぎないためにも、ひとつずつ見ていきましょう。

同じ値動きの資産同士を組み合わせても分散投資の効果が薄い

まず、iDeCo(確定拠出年金)のなかで分散投資を行う「メリット」は、ひとつ商品が大きな値値下がりを見せたとしても、異なる動きをする別の商品の値動きでカバーし、利益を減らさない部分にあります。


しかし、商品の分散先を増やしてしまうと、同じ値動きをしてしまう商品が重複する場合があります。


これからiDeCoを始めようとする人の中には、似たような投資先ばかり選んでいる人も多いと思います。しかし、それだとリスクを分散できません。


つまり、大きくマイナスが出た場合には、リスクを分散できずに損益を生み出してしまうのです。


iDeCoで分散投資を行い、しっかりと利益を生み出していくためには、値動きが異なる商品を選択していく必要があります。このとき、ただ沢山の投資先を選んで分散しすぎるのではなく、数を厳選し、必要最低限の商品で分散するのがオススメです。


銘柄が増えると1銘柄あたりの投資金額が少なくなる

iDeCo(確定拠出年金)は、あなたが今得ている収入の一部を使って、将来のための投資を行います。つまり、人によって収入が変わるため、投資限度額は人それぞれであり、銘柄の数が多ければ多いほど、1銘柄あたりの投資金額が少なくなります。


これに対して「別に問題なのでは?」と感じる人もいるでしょう。では、次のことを考えてみてください。


  • 1銘柄に対して100万円を投資
  • 1銘柄に対して50万円を投資

とある銘柄の株価が急騰して5倍になったとします。このとき生まれる利益は次の通りです。

  • 100万円の投資が500万円になる(400万円の利益)
  • 50万円の投資が250万円になる(200万円の利益)

ここからも分かるように、投資額が小さいほど利益が小さくなります。
あまり分散しすぎると、利益を生み出しにくくなるので注意しましょう。

ひとつひとつの金融商品の動向に目が行き届かなくなる

投資商品を選んでiDeCoを運用するとき、定期的に対象銘柄の「評価額の上下」や今後値動きはどうなるかをチェックしておきたいという人もいるでしょう。


このとき、分散しすぎた投資を行ってしまうと、あなたがチェックすべきものが増えてしまいます。つまり、銘柄が増えれば増えるほどチェックに要する手間や時間が増えてしまうということです。


あまり投資信託について詳しくない人であれば、この状況は望ましくありません。


限られた時間内で一つひとつの銘柄を丁寧にケアしていく方がシンプルでわかりやすく、利益を出しやすくなるので、分散しすぎないように気を付けましょう。

iDeCo(確定拠出年金)を分散しすぎている人が投資で分散効果を高めるコツ



iDeCo(確定拠出年金)を分散しすぎている人は、分散しすぎない運用を行いましょう。


ですが、なかには投資信託について詳しくない人も多いはずです。とくに、商品の選び方のノウハウを知らない人もいるでしょう。


ここでは、分散しすぎている人向けに、iDeCoの分散効果を高めるコツを3つ紹介しています。


  • 現金買付余力を20~30%以上残し、資金が100万円以内なら1~2銘柄
  • 値動きが異なる2つ以上の資産を組み入れるようにする 
  • 時間分散によって購入単価を平均化する 

ご紹介する3つのポイントをおさえつつ銘柄を絞っていけば、効率よく利益を生み出せます。

「要点を理解したうえで投資商品を選んでいきたい」と考えている方は、ひとつずつチェックしてみてください。

①現金買付余力を20~30%以上残し、資金が100万円以内なら1~2銘柄

分散投資を行う銘柄の数は、あなたがiDeCoに利用する「資金」の規模から選んでいくのがオススメです。


また、分散投資を行う時には「現時点で入金しなくても買い付けできる現金の余力」を意味する「現金買付余力」を20~30%残しておくことも重要です。


それを踏まえて資金ごとの参考銘柄数を以下に整理します。


  • 証券口座の資金が100万円以内の場合:1~2銘柄
  • 証券口座の資金が200万円以内の場合:2~3銘柄
  • 証券口座の資金が500万円以内の場合:3~4銘柄

分散投資は、少額を投資しても利益額もその分だけ少なくなります。1銘柄あたり50万円~150万円程度の投資額と考えながら、銘柄数を決めていくのがうまく分散効果を高めるコツです。

②値動きが異なる2つ以上の資産を組み入れるようにする

iDeCo(確定拠出年金)で分散投資を行うなら、必ず値動きが異なる2つ以上の商品を組み入れるようにしましょう。


iDeCoで行う分散投資は「ドルコスト平均法」と呼ばれる投資の考え方に基づき、長期的にゆっくりと利益を生み出していく投資方法です。


このとき値動きが異なる商品を選ぶ際には、次の商品を組み合わせるのがオススメです。


  • 株式
  • 証券

また分散投資は、国内・外国という風に、世界各国で値動きが異なる商品を選ぶことにより、分散効率の良い投資が行えます。

一方、複数の投資商品を国内株式にするという風に、同じ値動きの投資方法を選んでしまうと、国内の株価が下落した場合、おさえが効かずに損益ばかり生まれてしまいます。

損益を生み出しにくくするのが分散投資を実施するメリットなので、必ず値動きが異なる資産を組み入れるようにしましょう。ただし、分散しすぎには注意しつつ商品を選ぶのがコツです。

③時間分散によって購入単価を平均化する

分散効率を高める方法のひとつに「時間分散」を行うという方法があります。


時間分散とは、投資のタイミングを分散することによって、1年あたりの価格変動のブレを小さくする投資方法です。時間分散を行っていけば、商品の購入単価を平均化することができ、安全に右肩上がりを期待できる投資が行えます。


たとえば、毎月2万円という資金を準備し、その中で購入できる数量(口数)だけ購入していくといった「定時定額積立投資」を行っていけば、価格変動のブレを小さくできます。


毎月の投資額に強弱があった場合、マイナスが大きい月に高額投資してしまうと、損益が生まれやすくなります。そのため、毎月の投資額を事前に決定しておき、効率よく分散効率を高めていきましょう。

iDeCo(確定拠出年金)の分散投資について解説



分散しすぎた投資を行うデメリット、そして投資のコツが理解できたところで、iDeCo(確定拠出年金)の分散投資の特徴について解説していきます。


  • 投資信託1本でも資産分配することができる
  • どの資産や地域を投資対象とするかでリスクとリターンが決まる
  • パッシブ型とアクティブ型の2種類の分類がある
  • 自分のリスク許容度に応じて資産配分を考える


ここでご紹介するのは、初心者の方に覚えておいてほしいiDeCo運用の基礎知識です。事前に理解しておくことで、安定した資産運用を行えるようになります。


重要なポイントを4項目に分類して解説していきますので、まだ理解できていない項目があれば、ぜひチェックしてiDeCoの運用に役立ててみてください。

①投資信託1本でも資産分配することができる

投資信託を行う中では、株式(国内、外国)や証券など様々な商品を組み合わせるのが良いと言われています。ですが、じつは投資信託1本でも資産分配できることをご存じでしょうか。


たとえば、次のような投資信託の商品を組み合わせていけば、カスタマイズ性に優れる資産分配ができます。


  • 国内株式型
  • 国内証券型
  • 外国株式型
  • 外国証券型
  • バランス型

投資信託は、もともと複数の商品が組み合わさってできたものなので、上記の型式を選ぶことによって、たった1本の投資信託であっても、実質的に資産分配を実現できます。

自分の力でひとつずつ商品を選んでいくのが苦手だという方は、こういった商品がまとまったものを選んでいくのシンプルでわかりやすく、オススメです。

②どの資産や地域を投資対象とするかでリスクとリターンが決まる

投資信託では、選ぶ資産、対象地域によって、商品のリスクとリターンが変動することをご存じでしょうか。


株式と債券という違い、国内と外国という違いがあり、それぞれ異なる特徴を持つことから、投資対象の選び方によってリスクとリターンが変動します。


たとえば、リスク・リターンの大きさは、次の降順で大きくなっていきます。


  • 国内債券
  • 外国債券
  • 国内株式
  • 外国株式

ここから、ローリスク・ローリターンなのが「国内債券」、ハイリスク・ハイリターンなのが「外国株式」だということが分かります。

投資信託商品の選び方によっては、利益の生まれ方が変動するので、どの商品で投資信託するのかしっかりと検討しましょう。また、どれくらいの割合を投資するべきなのか、投資の分配を意識することも大切です。

③パッシブ型とアクティブ型の2種類の分類がある

投資信託には次に示す2つの動き方があります。


  • アクティブ型:投資対象とする市場のインデックスを中長期的に上回る運用成果を目指す手法 
  • パッシブ型:投資対象の市場の動きを示す代表的な指標(インデックス)と、同じ値動きを目指して運用する手法

アクティブ型は、できる限りハイスピードで利益を生み出したい人向けの動き方です。主に、ハイリスク・ハイリターンな商品を対象に投資を行うため、ある程度投資の知識がなければ、マイナスが生まれる可能性があります。

これに対し、パッシブ型はローリスク・ローリターンで投資を行う動き方です。「日経平均株価」「TOPIX(東証株式指数)」に連動させた値動きを目指すため、時間はかかりますが、安定的に利益を生み出せる可能性があります。

④自分のリスク許容度に応じて資産配分を考える

資産に対するリスク許容度は、人によって異なります。


たとえば、資産に余裕があり余剰金の一部を使って投資信託を行う場合には、リスクが生じても生活に大きな影響がないので、投資信託の資産配分に自由度が効きます。


また、資産に余裕がなくできる限り冒険をしない動きが必要だという人なら、投資信託の資産配分にあまり自由がありません。


もし、これから投資する商品への資産配分を決めていこうとしているのなら、まずは現状の自分のリスク許容度がどれくらいなのかを考えていきましょう。


自分の資産状況などを考えずに無理な投資を行ってしまうと、老後資金を貯めるというiDeCoの根本的な目的を見失う場合があります。貯金や将来収入などを考えつつ、資産配分を行ってみましょう。

iDeCo(確定拠出年金)の分散投資でおすすめの運用スタイル



「自分で考えて分散投資を行うのは難しそうだから、運用スタイルなどを決めたうえで動いていきたい」


そう考えているのなら、ぜひここで紹介する2つの運用スタイルを覚えていきましょう。


  • 無難にバランスよく分散投資して運用したい方
  • 投資経験があり自分で組み合わせたい方


この2つの運用スタイルは、iDeCoを利用する大勢が利用しています。そこで、運用スタイルの特徴や利用するメリットを詳しく把握していきましょう。


運用スタイルを持たずに動く人の中には、分散しすぎによってマイナスを生み出してしまう人もいます。そのようなトラブルを避け、安定的に利益を生み出していくためにも、2つの運用スタイルを理解して、スムーズな運用に挑戦してみてはいかがでしょうか。



①無難にバランスよく分散投資して運用したい方

投資の知識がなく、無難にバランスよく分散投資を行い、少しずつ利益を生み出していきたいというのなら「バランス型投資信託」にチャレンジしてみましょう。


バランス型投資信託とは、国内・海外株式や債券などの性格が異なる資産を組み合わせて運用するスタイルのことであり、iDeCo初心者にオススメの運用方法です。


それぞれ異なる値動きを見せることから、大きな値下がりが起きた場合に、資産が大きく減りにくいという特徴を持ちます。


また、バランス型投資信託には次のようなタイプが存在します。


  • 安定型
  • 安定成長型
  • 成長型

選ぶ資産や地域でこのタイプが変わっていくので、自分の投資スタイルに合わせたバランス型投資信託にチャレンジしてみるといいでしょう。

②投資経験があり自分で組み合わせたい方

ある程度の投資経験があり、自分のライフプランや目的に合わせて投資信託を行いたいのなら年齢に沿って「資産分配」という考え方を持つと良いでしょう。


資産分配とは、株式・債券だけではなく、不動産投資やコモディティといった様々な商品を組み合わせつつ分散投資を行うという運用スタイルです。


年々変化する収入や考え方に合わせて、組み合わせの割合を変更しつつ動くため、多少の投資知識があれば、リスクを抑えた運用を行えます。


たとえば、20代ごとに次のような動きをする人もいます。


  • 20~30代:運用に時間を掛けられるため、国内外の株式を中核とした配分で積極的にリターンを追求
  • 40代:「価格変動リスクが高い株式」「為替変動リスクの絡む海外資産」の比率を下げるといった微調整を行う
  • 50代以降:徐々にリスクの低い資産の比率を高めていく

受け取るまでの期間を意識しつつ、年代ごとに組み合わせを変えていけば、その時の情勢にあった運用が可能です。

まとめ|iDeCo(確定拠出年金)の分散しすぎは効果ない?

この記事では、次のことを紹介しました。


  • 同じ値動きの商品ばかり選ぶことや分散しすぎるのは、分散投資として好ましくない
  • 分散しすぎた投資は、1つの商品あたりの利益が小さくなってしまう
  • 時間分散を意識したり、資産に合わせて銘柄の数を調整したりするのがオススメ
  • iDeCoの分散投資は、商品のリスク&リターン、そして組み合わせを意識して運用スタイルを考えるのがオススメ
  • 初心者は「バランス型投資信託」、投資経験者は「資産分配」のスタイルで投資するのがオススメ

今まで、分散投資と言えば、分散しすぎることがリスクを減らす効果があると考えていた人もいるでしょう。しかし、実際には分散しすぎは逆に効果を薄めてしまうという特徴があります。

大切なのは、銘柄の特徴を抑えて、自分の資産にあわせた投資を行うということ。

初心者ならあまり深い部分まで考えずに始められる「バランス型投資信託」、投資経験者なら調整しつつ運用する「資産分配」がオススメです。

老後資金を貯めるためにiDeCoを始めたのであれば、その目標を達成するためにも、ぜひチャレンジしてみてください。