内容をまとめると
- つみたてNISAの金額変更デメリットは、積立金を減額すると長期的な資産形成に遅れが生じ、複利効果を最大限に活かしにくくなる可能性があります。また、増額した場合でも、一度使った非課税枠は戻らないため、計画的に活用する必要があります。
- 金額変更のベストタイミングは「収入が増えたとき」です。逆に、減額する場合は、収入が減少した際や他の大きな支出が発生する前に検討するのが良いでしょう。
- つみたてNISAで金額変更する際は損失を大きくしないためにも、マネーキャリアの「NISAの無料相談窓口」に相談!国家資格を保有した専門家に何度も無料で相談できます。
監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
つみたてNISAの金額変更のデメリットは?
つみたてNISAの積立金額は、毎月変更することが可能です。
しかし金額変更にはデメリットがあります。
- ドル・コスト平均法の効果が薄れてしまう
- 資産運用上ではタイミング次第で損失が大きくなる
ドル・コスト平均法は定期的に一定額を購入することで、投資リスクを回避する投資方法です。
つみたてNISAの金額変更は、ドル・コスト平均法のメリットが享受しにくくなります。
また金額変更をするタイミングを読むことは、難しくリスクもあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
デメリット①:ドル・コスト平均法が機能しにくくなる
NISAの金額変更は、ドル・コスト平均法による平均購入単価の平準化されるという効果が薄れてしまうといえます。
ドル・コスト平均法は、定期的にあらかじめ決まった金額を投資し続けることで、「いつも高値の時にあたってしまう」ことや、「安値のタイミングを逃している」ことが避けられます。
つまり高値の時は購入する口数が減り、安値の時は口数を多く購入しているからです。
つみたてNISAが支持を集めている理由は、ドル・コスト平均法である程度のリスクが抑えられる点です。
ドル・コスト平均法を機能させるためには、頻繁に積立金額を変えないことがポイントになります。
積立金額を増減させるとしたら、月ごとではなく数か月単位での金額変更にしておくとよいでしょう。
デメリット②:資産運用上ではタイミング次第で損失が大きくなる
つみたてNISAの金額変更は、資産運用上ではタイミング次第で損失が大きくなる場合もあることに注意が必要です。
積立投資は定額を積み立てることで、同じ投資金額でも価額が低い時には多く購入でき、価額が高い時は少なく購入できるため投資のリスクを回避できます。
しかし、価額が高い時に多く購入した場合、価額が値下がりして低くなった時に損失の幅が大きくなってしまいます。
また相場の予想は簡単でなく、狙い通りに安い価額で購入できるかどうかはわかりません。
積立投資で得られるメリットを最大限に活かすためには、頻繁な金額変更は避けたほうがいいでしょう。
定期的に一定金額を長く積み立てを続けることを、優先して考えるようにしましょう。
金額変更がおすすめできないケース・デメリットが大きくなるケース
金額変更がおすすめできないのは、株価の暴落に合わせてつみたて額を増やすケースです。
まとまった資金を一括で投資する場合は、下落したタイミングで購入することで利益を増やすこともできます。
一方、つみたてNISAは毎月定額で購入する積立投資です。
積立投資では株価のタイミングを見計らって、その月によって増やしたり減らしたりするのは難しいです。
証券会社によりますが、一定の決められた期間に設定し、翌月からつみたて額の変更ができるようになるなどのルールもあります。
うまく下落したタイミングで金額変更してたくさん購入できても、また高騰してきた時を考えるとつみたてNISAは一定金額の投資なのであまり意味がなくなってしまいます。
つまり株価の暴落に合わせて金額変更をするのがおすすめできない最大の理由は、つみたてNISAの制度内容と変更しながら購入していくという行為が矛盾しているからです。
金額変更を検討しても良いケース・メリットが大きくなるケース
NISAの積立金額の変更を検討しても良いケースは2つあります。
- 収入や貯金の減少により積立金額を減らす
- 資金に余裕ができたことにより積立額を増やす
収入や貯金が減ったので積立額を減らす、資金に余裕ができたのでつみたて額を増やすと
いったケースでの金額変更はいいでしょう。
普段の生活に支障がでない、または余剰資金で投資をするという考え方が大切です。
金額変更を検討しても良いケース2つを詳しく見ていきましょう。
①収入や貯金の減少により積立額を減らす場合
つみたてNISAは、長期間かけて同じ金額を積み立てて運用するのが基本です。
しかし家計の状況が変わり、今までの積立金額の負担が重くなることもあるかもしれません。
子どもの進学や住宅ローンなどがかさみ生活費が足らなくなるようであれば、一時的に積み立ての減額を検討してもいいでしょう。
また減額を検討する前に、家計の見直しをしてみることをおすすめします。
生命保険や通信費などの固定費は、今よりもお得なプランがみつかればひと月に1~2万円の余裕ができるかもしれません。
少額でも積立投資を続けることが大切なので、積立の負担が重くなった場合はまず家計を見直しましょう。
それでもなお負担であるならば、積立額を減らすのもありです。
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②資金に余裕ができたことにより積立額を増やす場合
資金に余裕ができた時は、つみたてNISAの金額変更を検討する絶好のタイミングです。
NISAの非課税枠は翌年に持ち越しはできませんので、資金に余裕があれば増額をして使い切るのがおすすめです。
つまり「始めた時点よりも資産に余裕ができた場合」で「このままのペースだと非課税枠が残ってしまう場合」は、積立額を増やすことを検討するといいでしょう。
しかし一番大切なのは、つみたてNISAの積立額を増やす場合は余裕資金で行うことです。
普段の生活に支障が出るのでは、本末転倒です。
積立額を増やす場合は、家計が苦しくならない金額なのかよく考えて決めましょう。
つみたてNISAの金額変更はいつでもできる?
つみたてNISAの金額変更はいつでもできます。
収入や貯金の減少で積立額を減らしたり、逆に資産に余裕ができたら積立額を増やしたりと、調整が必要な時期もあるかもしれません。
またネット証券はWebサイトですぐに金額変更できて便利です。
積立額は状況に合わせて変更できることや、ネット証券での金額変更の方法について詳しく見ていきましょう。
つみたてNISAの積立額はいつでも変更可能
つみたてNISAの非課税枠である年間40万円を超えない範囲で、積立額はいつでも変更可能です。
収入や貯金が減少して家計が苦しい時期は一時的に積立額を減らしたり、逆に収入が増えて資産に余裕ができたら積立額を増やしたりするとよいでしょう。
家計の状況に合わせて、無理なく積み立てを続けることができます。
また金額変更の申し込みは、各金融機関によって締め切り日が決まっている点に注意しましょう。
締切日までに金額変更を設定すると、次回の積立から反映されます。金額変更の締切日は、利用している金融機関でスケジュールを確認しておくといいでしょう。
楽天証券などのネット証券はすぐに金額変更できる
楽天証券などのネット証券の場合は、Webサイトで金額変更がすぐにできます。
以下の4つのステップで完了です。
- 変更する積立設定を選ぶ
- 積立設定の変更する項目を入力する
- 変更内容を確認する
- 変更を完了する
つみたてNISAの金額変更で非課税枠ぎりぎりまで使い切る方法
つみたてNISAの非課税枠をぎりぎりまで使い切るには、金額変更が必要な場合があります。
月の設定金額を上限までにしていない場合や、年の途中から積立を始めた場合です。
つみたてNISAの金額変更で、非課税枠ぎりぎりまで使い切る方法は2つあります。
- 増額設定をする
- ボーナス設定をする
つみたてNISAの非課税枠ぎりぎりまで使い切る方法について、それぞれ詳しく解説します。
非課税枠ぎりぎりまでに変更する方法①増額設定をする
楽天証券のみで使えるシステムですが、増額設定をすると非課税枠を使い切ることができます。
楽天証券では、つみたてNISAの積立金額の上限は33,333円です。月33,333円x12ヵ月間積み立てるとほぼ40万円の非課税枠を使えます。
しかし年の途中から積立を始めた場合は、月の上限である33,333円だけでは40万円の非課税枠を使い切ることができません。
例えば、年度の途中の7月から始めた場合です。
毎月33,333円を積立てると、33,333円ⅹ6ヵ月=199,998円になり非課税枠は余ってしまいます。
そこで毎月さらに33,333円の増額設定をすることによって、33,333円ⅹ6ヵ月=199,998円の増額ができ、年額39,996円の買い付けができます。
増額設定は楽天証券でしか使えませんが、柔軟に調整できる便利なシステムです。
非課税枠ぎりぎりまでに変更する方法②ボーナス設定をする
ボーナス設定は主にネット証券で取り扱っており、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、au株カブコム証券などで行えます。
ボーナス設定は、非課税枠40万円に満たない場合に、年2回まで毎月の積立額に上乗せすることができる機能です。
もし40万円の非課税枠を超えてしまった場合は、その積み立ては失効するか、課税口座で積み立てられます。
しかしボーナス設定は、特定の月に投資金額が偏ってしまうのがデメリットです。
増額した月に株価が値上がりすれば、普段よりも多く高値で購入することになるためです。
相場に一喜一憂しないで済むためにも、できるだけ毎月の積立額を増やす方法の方が無難でしょう。
つみたてNISAの金額変更の注意点
つみたてNISAは、金額変更をする場合に注意点があります。
特に増額したい場合になりますが、つみたてNISAは長期的な運用を続けていくことが重要なため、数年以内に使う予定のあるお金は増額に回さないことです。
つみたてNISAは投資信託を運用しますので、元本が変動します。購入した時よりも安くなってしまい、元本割れすることもあるかもしれません。
しかし長期的に運用を続けていれば、投資のリスクが分散され元本割れの可能性が低くなる傾向があります。
ただし途中で売ったり積立投資を辞めてしまうことになると、このような効果は薄くなってしまいます。
そのため長期的に運用できる金額は幾らなのか、よく考えて決めましょう。
つみたてNISAの金額変更を行いやすい証券会社
比較的金額変更を行いやすいのは、ネットの証券会社です。
以下の証券会社は、金額変更がしやすくなっている機能があります。
- SBI証券「NISA枠ぎりぎり注文」「課税枠シフト注文」
- マネックス証券「NISA非課税投資枠使い切り設定」
年の途中からつみたてNISAを始めた場合や、スタート時よりも余裕ができた場合などに、非課税枠ぎりぎりまで使い切ることができるメリットがあります。
証券会社ごとに金額変更の機能について特徴を見ていきましょう。
①SBI証券「NISA枠ぎりぎり注文」「課税枠シフト注文」
SBI証券はその月だけ積立額を増やす「ボーナス設定」と併用して、「NISA枠ぎりぎり注文」又は「課税枠シフト注文」を使えるところが特徴です。
NISA枠ぎりぎり注文は、積立が年間上限額を超える場合枠に収まるように自動的に調整される設定です。つまり、現行の制度ですと120万円超の部分は注文されません。
一方課税枠シフト注文は、積立が上限を超える場合に超えた部分をNISA口座とは別の課税口座で積み立てる注文になります。
つまりNISAぎりぎり注文では上限額の注文は取り消されますが、課税枠シフト注文は超えた部分は課税口座で積み立てられるということです。
SBI証券はボーナス設定を使い、NISA枠ぎりぎり注文又は課税枠シフト注文ができるので、NISAの非課税枠を使い切る金額変更が柔軟にできます。
②マネックス証券「NISA非課税投資枠使い切り設定」
マネックス証券は、NISAの非課税枠を使い切ることができるように、ボーナス設定以外にも「NISA非課税投資枠使い切り設定」があります。
積立金額が非課税枠を超える場合、自動的に積立金額を調整してくれる機能です。
例えば非課税枠が残り1万円の時に3万円の積立が設定されている場合は、3万円の積立は失効します。
しかしNISA非課税投資枠使い切り設定をすれば、非課税枠が自動的に調整されるのです。本来の積立3万円が1万円に変更され、NISA非課税枠を使い切ることができます。
またマネックス証券は、非課税枠を超える買い付け金額は設定できません。
NISA非課税投資枠使い切り設定は、毎月の積立額とボーナス設定を合わせて40万円に設定していたが、分配金の再投資によって非課税枠を消費してしまった場合などに使いたい機能です。
まとめ:つみたてNISAの相談はマネーキャリアへ
今回はつみたてNISAの金額変更のデメリットや、変更のベストタイミングについて解説してきました。
もう一度、「つみたてNISAの金額変更をしてもよいケース2つ」について確認しましょう。
- 収入や貯金の減少により積立金額を減らす
- 資金に余裕ができたことにより積立額を増やす
家計が苦しく、積立金が負担になった場合は、家計を見直すことから始めるといいでしょう。
しかし「実際に家計を見直すのは難しい」、「誰かに相談しながら考えたい」と思う方もいるかと思います。
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つみたてNISA以外にも家計や資産運用など、お金にまつわるお悩みについてアドバイスがもらえます。
ぜひ一度、マネーキャリアに相談してみてはいかがでしょうか。