
法改正などにより私たちの暮らしのルールは日々変化を続けています。2022年10月より変更される、私たちの暮らしに関わるお金のトピックスをお届けします。
この記事の目次
目次を閉じる最低賃金、過去最高の引上げへ

2022年8月2日に開催された中央最低賃金審議会で、最低賃金の大幅な引上げ決まりました。今年度は47都道府県すべてで最低賃金の引上げが実施されます。地域によって最大33円、全国平均では31円と、過去最高額の引上げとなります。
地域別の引上げ額
最低賃金は地域ごとの状況に合わせて決定される為、全国一律の金額ではありません。 毎年の引上げ額も地域によって違います。最低賃金を確認する際には、住んでいる場所ではなく、職場のある地域を確認してください。
最低賃金の歴史と今後
昭和22年に制定された労働基準法において最低賃金を定めることができるという規定が定められ、 その後昭和34年に最低賃金法によって最低賃金制度が導入されました。
昭和52年の東京の最低賃金は345円となっており、平成元年には525円、令和元年に1,013円と、令和に入ってからようやく1,000円を上回りました。
厚生労働省によると最低賃金の引上げ率は「年率3%程度を目途」とされていますが、就職氷河期ピークと言われる平成14年・15年(2002年・2003年)はほとんどの地域で引上げされておらず、新型コロナ感染症が発生した令和2年(2020年)は0円~3円の引上げに留まっています。
諸外国との比較
2020年版世界(OECD加盟国)の「最低賃金」ランキングを見てみると、上から順にオーストラリア12,9ドル、ルクセンブルク12,6ドル、フランス12,2ドルとなっており、日本は8,2ドルで14位となります。
「平均年収」で見ていくと、上から順にアメリカ69,392ドル、アイスランド67,488ドル、ルクセンブルク65,884ドルとなり、日本は38,515ドルで22位という結果になっています。
近年では、諸外国の賃金アップに比べ日本の賃金が低く抑えられていると知られていますが、その背景には、長引くデフレ、諸外国と比べて割安な消費税、根強く残る終身雇用制度など、様々な要因があるとされています。
まとめ
最低賃金は、私たちの生活に直結する大事な制度です。 最低賃金は毎年見直しされていますので、自分の仕事の時給が最低賃金を下回っていないか、都度確認しておきましょう。
ただし、政府は今後も最低賃金を引き上げていく方針を打ち出してはいますが、円安や様々な世界情勢による物価上昇、日本の景気後退などで、家計が更に厳しくなっていくことも予想されます。最低賃金の上昇だけに頼らず、自分自身の生活費を今一度見直す必要があるかもしれませんね。
児童手当の特例給付が廃止に

2022年10月支給分より児童手当法が改正され、高所得者世帯における児童手当の特例給付が廃止されます。夫婦どちらかの年収が1,200万円を超える世帯が対象と言われていますが、これはあくまで目安であり、実際には扶養人数によって基準となる年収が変わってきます。
児童手当の支給額
以下が現在の児童手当の支給額です。
- 3歳未満の児童:一律15,000円
- 3歳以上小学校終了前の児童:10,000円(第3子以降は15,000円)
- 中学生:一律10,000円
児童手当の「特例給付」
児童手当「特例給付」対象外の所得と収入目安
前述のとおり年収960万円を超える場合には一律5,000円の特例給付が支給されていますが、今回の制度改正により、年収1,200万円程度を超える場合は特例給付の対象外となることが決められました。
所得上限限度額

ただし、上記の所得上限は、夫または妻の所得が高い方が対象です。夫婦の合算収入が対象ではありませんので、共働きが不利になるわけではありません。
まとめ
パート・アルバイトの社会保険の適用範囲が拡大

2022年10月、2024年10月と、段階的に短時間労働者への社会保険(厚生年金・健康保険)の適用範囲が拡大されます。しかし実は、企業の規模によってはすでに2016年からスタートされています。以下の要件をすべて満たす従業員は、社会保険の被保険者となります。
現行の適用範囲(2016年10月~)
- 従業員数:501人以上
- 週の所定労働時間:20時間以上
- 雇用期間:1年以上見込まれる
- 賃金月額が88,000円以上(年収106万円以上)
- 学生でないこと
2022年10月~の適用範囲(今回)
- 従業員数:101人以上
- 週の所定労働時間:20時間以上
- 雇用期間:2か月以上見込まれる
- 賃金月額が88,000円以上(年収106万円以上)
- 学生でないこと
2024年10月~の適用範囲
- 従業員数:51人以上
- 週の所定労働時間:20時間以上
- 雇用期間:2か月以上見込まれる
- 賃金月額が88,000円以上(年収106万円以上)
- 学生でないこと
どうしても社会保険に加入したくない場合は?
中には、「社会保険料を支払うと手取りが減る。世帯全体の収入が減ってしまう。」と心配される方もいます。どうしても社会保険に加入したくない場合は、週の所定労働時間を20時間未満に抑えるか、年収を106万未満に調整する必要が出てきます。
ただし、新たに社会保険に加入することによって、
- 厚生年金に加入することで、将来の年金受給額が増える
- 病気で休みが長引いても、傷病手当金を受給することができる
- 保険料を会社が半分負担してくれるので、現在国民年金や国民健康保険に加入している人は保険料が安くなることがある
- 年収や労働時間の上限を気にせず働くことができれば、今以上のキャリアアップや、ゆとりある生活の実現へも繋がる
など、デメリットばかりではありません。
まとめ
雇用保険料率が引き上げへ

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、雇用環境の悪化から雇用保険の支出が大幅に増えたことにより、財政が悪化し2020年10月から雇用保険料率が引き上げられることが決まりました。
雇用保険とは
労働者の負担引き上げはいくらか?
雇用保険の保険料=賃金の総額×雇用保険料率
一般企業の雇用保険料率:0.3%から0.5%へ引き上げ。
農林水産・清酒製造・建設事業の紅葉保険料率:0.4%から0.6%へ引き上げ。
つまり、一般事業で賃金の総額が30万円の人は、2022年9月までは900円だった雇用保険料が、2022年10月から1,500円に引き上げられることとなります。
新型コロナウイルス感染拡大の影響
雇用保険の今後
iDeCoへの加入要件が緩和

これまで企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入されている会社員は、企業型DCの規約によってはiDeCoへの加入が認められていませんでした。2022年の法改正により、一定の要件を満たせばiDeCoへの加入が可能になります。
iDeCoとは?
iDeCoの特徴
企業型確定拠出年金(企業型DC)加入者のiDeCo加入の要件緩和
2022年10月1日から、企業型年金規約の定めによりiDeCoに加入できなかった企業型DC加入者の方も加入できるようになります。 ただし、各月の企業型の事業主掛金額と合算して月額5.5万円をまで、掛金(企業型の事業主掛金・iDeCo)が各月拠出であること、企業型DCのマッチング拠出を利用していないこと、が必要となります。