専業主婦の妻には医療保険はいらないって本当?高額療養費制度の影響は?のサムネイル画像
▼この記事を読んで欲しい人
  • 専業主婦の妻で医療保険がいらないのか知りたい人
  • 保険の見直しを検討している専業主婦の人
  • これから医療保険に加入するか検討している専業主婦の人
▼この記事を読んでわかること
  • 医療保険が必要な専業主婦の特徴
  • 専業主婦が入院したときの費用と影響
  • 医療保険の選び方 

専業主婦の妻は医療保険がいるのか、いらないのかを解説します。医療保険が必要な人の特徴を丁寧に紹介するので、自分に医療保険が必要なのか不要なのかがわかります。医療保険が必要な人は、保険の選び方も紹介しているので参考にしてください。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

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専業主婦の妻には医療保険はいらないって本当?

専業主婦の妻に医療保険がいらないかどうかは、結論から言うと人によります。


  • 夫の収入や働き方(会社員なのか自営業なのか)
  • 世帯の貯蓄額
  • 子どもがいるかどうか

などによって変わるからです。各家庭によって家族構成や家計状況が違うため、専業主婦でも医療保険が必要になる場合も不要になる場合もあります。


女性は妊娠出産や女性特有のがんで男性に比べると若いうちから入院手術をする可能性が高いです。様々な入院手術のリスクへ備える方法として医療保険を使うかどうか知ることが大切です。

医療保険がいらない専業主婦の方

医療保険は十分な貯蓄があれば不要といえます。


保険はあくまでも備えなので、いざというときに経済的負担が大きくならないようにするためのものだからです。生命保険文化センターの調査によると、平均入院日数は17.7日、1日でかかる入院費の自己負担の平均額は20,700円、よって1回の入院でかかる費用は「約366,390円」であることがわかります。


この費用が貯蓄から問題なく出せるのであれば医療保険は不要です。


また、夫の社会保険に加入している専業主婦の方は、会社の健康保険が独自で定めている「付加給付」という制度を利用すると、高額療養費制度よりもさらに自己負担を抑えられます。


付加給付で医療費の自己負担が減れば、入院や手術でかかる費用も少なくなり、医療保険の必要性は低くなります。 ※高額療養費とは、年齢や所得に応じて1ヶ月でかかった高額な治療費の自己負担を抑える制度です。


自営業やフリーランスの妻は国民健康保険のため付加給付は利用ができないので注意してください。社会保険に加入していても付加給付の制度がない健康保険組合もあるので、各健康保険組合のホームページで確認してみましょう。

医療保険の必要性が高い専業主婦の方

医療保険の必要性が高い専業主婦の特徴は、以下の4つに当てはまる人です。

  • 重い病気にかかった場合にあらゆる治療を受けたい人
  • 医療費の自己負担分を賄うほどの貯蓄がない方
  • 遺伝的に持病を発症しやすいと考えられる方
  • 家族が仕事などで介護や育児をできない場合
  • 個室や少人数部屋で入院したい方 
どれか一つでも当てはまる場合、長期的もしくは一時的にでも医療保険が必要と言えます。詳しく解説していきましょう。

重い病気にかかった場合にあらゆる治療を受けたい人

がんや心疾患、脳血管疾患などの三大疾病と言われる病気や難病などの重い病気になったとき、治療の選択肢を広く持っておきたい人は医療保険をおすすめします。


先進医療の治療を受ける場合、健康保険(1〜3割負担)が使えないため自己負担が増えます。先進医療とは、厚生労働省が定めている最先端の高度な医療技術をもった治療方法です。


例えば、がんの治療に行われている重粒子線治療は治療費に300万円以上の費用がかかります。


医療保険の先進医療特約に加入すると、厚生労働省の定めている先進医療にかかった費用を保険金で受け取りが可能です。保険会社によっては、直接医療機関に支払いをしてくれるのでまとまったお金が支払えるか心配な方も安心して先進医療が受けられます。


重い病気になったときにお金の心配をせずに治療方法を選択したいと考えている人は医療保険が必要でしょう。 

医療費の自己負担分を賄うほどの貯蓄がない方

高額療養費制度や付加給付などを使って自己負担額を抑えたとしても医療費の支払いに不安がある人は医療保険が必要です。


貯蓄しているから大丈夫と思っている人も注意するべきポイントがあります。それは貯めているお金が入院費用で使えるお金かどうかです。

  • マイホームや車の頭金にしようとしていたお金
  • 教育費に使う予定のお金
上記などのような、それぞれの家庭で将来必ず必要になる予定のお金だった場合、そのお金を医療費の支払いに使って大丈夫かどうかをイメージしましょう。

医療費がかかったときに使える貯蓄ができているか不安な人は、医療保険が必要です。お金が貯まるまでの一定期間でもいいので医療保険で備えておくことをおすすめします。 

遺伝的に持病を発症しやすいと考えられる方

家族や親族が病気に罹患していて、同じ病気になる可能性がある人は事前に医療保険に加入をしておくことをおすすめします。


理由は2つあります。1つは病気に罹患したときにできるだけ医療費の負担を減らせるからです。もう1つは、病気に罹患してしまう、もしくは兆候があり検査などをすると医療保険に加入しにくくなるからです。


持病があると健康な人に比べて入院手術のリスクが高くなることから、医療保険に加入ができなくなります。「保険に入りたくても入れない」ということにならないためにも、事前に備えておくほうがよいでしょう。

家族が仕事などで介護や育児をできない場合

専業主婦の場合、家事と一緒に介護や育児に多くの時間がかかっています。もし専業主婦の妻が入院や手術をして家事や介護・育児がすべてできなくなったとき、代わりにできる人が家族にいるでしょうか。


代わりに家事や介護・育児をしてくれる人がいなかったり、毎日できなかったりする場合は、以下のようなサービスの利用も検討せざるを得ないかもしれません。

  • 家事代行サービス
  • 外部介護サービス
  • 育児サービス
入院や治療が長引けば長引くほど医療費がかかるだけでなく、利用するサービスの費用もかさみます。

サービスは利用せず家族が代わりに家事や介護・育児をするから大丈夫、と考えるのはまだ早いです。家族が専業主婦の妻の代わりに家事や介護・育児をする事になったとき「家族の収入減に繋がらないか」を考えましょう。

外部のサービスを利用することで発生する費用や家族が代わりに家事などをする場合の収入減に対して、医療保険が助けになります。 

個室や少人数部屋で入院したい方

入院するときは大部屋から個室までどの部屋で過ごすかによって差額ベッド代といわれる部屋代が異なります。差額ベッド代は健康保険が適用されないため完全に全額自己負担であり、個室や2人部屋など人数が少ない部屋になればなるほど費用が高いです。


病院や地域によって費用が変わります。以下は平均的な差額ベッド代の費用です。

1人部屋8,221円
2人部屋3,122円
3人部屋2,851円
4人部屋2,641円
平均6,527円

引用元:住友生命保険 入院にかかる費用「差額ベッド代」って何ですか?


大部屋は差額ベッド代がかかりませんが、カーテンで仕切られただけの空間であるためプライバシーがありません。他人の生活音が気になったり、自分が他人に気をつかったりするため個人差は有るものの大きなストレスがかかります。


個室や少人数部屋を希望する場合は、差額ベッド代を補うために医療保険で備えるとよいでしょう。 

専業主婦が医療保険に加入するか判断するうえで参考になるデータ

専業主婦の妻に医療保険が必要かどうか、データをもとに考えてみます。

  • 専業主婦の家事の経済的価値はいくらくらい?
  • 専業主婦の生命保険加入率
  • 専業主婦の入院にかかる費用とその影響
医療保険が必要かどうかの判断材料にもできるので、根拠をもって医療保険に加入できるようにしっかりと確認しておきましょう。

専業主婦の家事の経済的価値はいくらくらい?

専業主婦が毎日おこなっている家事・介護・育児などに対しては、どこからも給与が発生するものではなく、無償のものです。もし専業主婦に給与を支払うことになった場合、いくらになるのかを内閣府のデータから読み取ってみます。


内閣府の出している家事活動評価から読み取ると、専業主婦は1年のうちに2,100時間を家事介護育児などに使っています。


1年間毎日5.7時間を家事に当てている計算です。機会費用法で計算すると、1年で159万円、時給にすると757円です。1日約4,239円の経済的価値があります


※機会費用法とは家計が無償労働を行うことによる逸失利益(市場に労働を提供することを見合わせたことによって失う賃金)で評価する方法です。

専業主婦の生命保険加入率

生命保険文化センターの「令和3年度生命保険に関する全国実態調査」によると、所得がない配偶者の生命保険加入率は79.5%でした。


約8割の専業主婦が生命保険に加入している事がわかります。世帯別の医療保険の加入率を見ると配偶者の医療保険加入率は約65%で、終身保険の次に医療保険の加入率が高い結果です。


専業主婦だからという理由で加入しない人は少なく、医療保険の需要は高いと言えるでしょう。

専業主婦の入院にかかる費用とその影響

高額療養費制度を使えば医療費の負担に上限が有るため一定額で抑えられます。


入院の平均日数は17.7日、1日でかかる自己負担の平均額は20,700円なので、かかる費用の平均は「約366,390円」です。


専業主婦の代わりに家事代行サービスや育児サポートを使うとなると、更に費用が上乗せになるでしょう。


【例:家事代行サービスを利用する場合】

  • 1回あたりの平均利用時間は2〜3時間
  • 3時間の費用は7,000〜14,000円
  • 毎日利用することになれば1週間で42,000円〜98,000円
  • 平均入院日数17.7日×平均自己負担額20,700円=約366,390円+家事代行サービス約40万~約50万円
入院にかかる医療費のみではなく、家族の生活にかかわる出費もあることを知っておく必要があります。

専業主婦の医療保険の選び方

医療保険が必要な専業主婦の方は、数多くの医療保険からどのように選べばいいか悩まれると思います。医療保険は以下のような手順で検討すると決めやすいため、ひとつずつ確認しましょう。

  1. 必要だと感じる保障内容や特約を決める
  2. 無理なく支払えるおおよその保険料を決める
  3. 1と2に合致する医療保険を複数比較検討する
自分一人で複数の医療保険を比較するのは労力がかかるため、医療保険の比較サイトを利用することをおすすめします。簡単に複数の医療保険から自分にあった医療保険が見つけられます。

特にマネーキャリアの比較サイトは、自分にあった条件を入力するだけで絞り込みを行うことができ、自分の考えにぴったりな医療保険が見つかります。
  • 自分に必要だと感じる保障内容や特約がわからない
  • 契約内容に不安がある
  • どちらの医療保険がいいのか判断に迷う

など自分では医療保険が決められない人は、保険のプロに相談しましょう。マネーキャリアでは無料で保険相談ができるサービスを提供しています

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まとめ:専業主婦には医療保険はいらないって本当?

専業主婦には医療保険が必要な人もいるし、不要な人もいるというのが結論です。


【医療保険が不要な人】

  •  貯蓄が十分にあり医療費やその他出費を貯蓄でカバーできる人

【医療保険が必要な人】

  • 重い病気にかかったときに治療の選択肢を広くしておきたい人
  • 貯蓄額に不安がある人
  • 遺伝的に持病を発症しやすいと考えられる人
  • 介護や育児をかわりにできる人がいない人
  • 入院時は個室や少人数の部屋を利用したい人 
医療保険が必要だと感じた場合、無理のない範囲で保険料を調整し、いざというとき備えておくことが大事になります。専業主婦の妻が入院や手術をすることは、医療費がかかるだけでなく、家族の生活に大きく影響する出来事です。

専業主婦は収入がないから医療保険は不要というわけではないことを知っておきましょう。