- 外貨建て保険に興味のあり、加入を考えている方
- 保険による保障と積立を両立したい方
- 外貨建て保険が危険というイメージのある方
- 自分に合った保険の選び方を知りたい方
- 保険や投資の経験がなく、失敗するのが心配な方
- 外貨建て保険の優先度
- 利率に惑わされない外貨建て保険の選び方
- 外貨建て保険のリスクと注意点
- 外貨建て保険にかかる手数料の種類
- 為替変動で起こるリスクとメリット
高金利な海外で運用することで、高い利率が期待できる外貨建て保険。ですが利率だけで選んで大丈夫なのでしょうか。ニーズに合った保険を探すには、将来設計を見据えた選び方が必要です。ここでは利率に惑わされない外貨建て保険の選び方を、初心者にもわかりやすく紹介します。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
外貨建て保険の選び方
外貨建て保険は円建てよりも利率が高く、積立貯蓄としても利用される保険です。
海外の通貨でやり取りするので敷居の高いイメージがあり、どのように選べばいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
そんな初心者の方への第一歩として、ここでは外貨建て保険の選び方を紹介します。
以下の要領で決めていけば、あなたにピッタリの保険が見つかるはずです。
- まずは外貨建て保険の必要性を考えよう
- 付けたい保障と保険料の目安を決めてから商品を選ぼう
- 貯蓄目的か保障目的かを決める
- 必要な保障額や返戻金額を算出する
- どのタイプの外貨建て保険にするか決める
- 保険期間や払込期間を考える
- 保険料の目安を決める
- 条件に合う外貨建て保険を探して加入する
- 外貨建て保険を選ぶなら保険の専門家に相談するのが一番おすすめ
まずは外貨建て保険の必要性を考えよう
はじめに、あなたにとって外貨建て保険が必要かどうかを考えてみましょう。
外貨建て保険の優先度は?
保険のなかで、外貨建て保険の優先度はどのくらいなのでしょうか。
さまざまな保険と比べると、外貨建て保険の優先度は決して高くはありません。
理由は以下の3つがあげられます。
- 外貨取引によるリスクをともなうから
- 保障の幅が小さいことが多いから
- 資産運用が基本となるから
外貨建て保険が必要な人は?
- 保険金や返戻金をできるだけ増やしたい
- 運悪く受取金が払い込んだ保険料より下回っても気にならない
- 決まった額を受け取れなくても困らない
付けたい保障と保険料の目安を決めてから商品を選ぼう
保険の選び方でやってしまいがちなのは、いきなり商品を比較して決めようとしてしまうこと。なにも考えずに保険内容を見ても、自分に最適な内容がわからず迷うだけです。
まずは付けたい保障と保険料の目安を決めておきましょう。
外貨建て保険は貯蓄に重きを置いているため、保障はほかの保険と比べてコンパクトにまとめられている特徴があります。
よって、付ける保障は最低限にするのがおすすめです。
また、保障以外の特約(有料オプション)は以下のようなものがあります。
- 円入金・円支払特約…払い込みと受け取りを円にできる
- 保険料払込免除特約…後遺症の残る事故など特定の条件下で保険料が無料になる
- 定期支払特約…利率の一部を定期的に受け取る
- 保険タイプの移行特約…年金払いや終身などに変更できる
貯蓄目的か保障目的かを決める
つづいての選び方のポイントは、「保険の目的を決める」です。
外貨建て保険は貯蓄目的と保障目的の両方を兼ね備えたものです。
どちらを優先して加入するかを考えておくと、保険の選択がスムーズになります。
貯蓄が目的の場合は、外貨で資産を増やしたいというニーズに応えられます。
日本よりも金利の高い国の通貨で運用することにより、円建てよりも利率を高く設定できるのです。
また、外貨として積み立てておくことで、日本円の価値が下がったときのリスクヘッジとしても使えます。
保障が目的の場合は、死亡・高度障害などのリスクに備えられるのが強みです。
外貨建て保険の保障は基本的に最低保証が付いているため、為替の変動で赤字になったとしても一定額を受け取ることができます。
ただし、満期保険金や解約返戻金は最低保証がないので注意しましょう。
保険によっては介護保障や医療保障を付けられるものもあり、貯蓄と保障のバランスはそれぞれ異なります。
あなたの目的に合わせた選び方をするのが重要です。
必要な保障額や返戻金額を算出する
保険の目的を決めたら、つぎは保障額や返戻金額がどれくらい必要なのかを考えましょう。
保障額とは死亡・高度障害などの場合に受け取る金額、返戻金額は満期時や解約時に受け取る金額をいいます。
保障額や返戻金額をどのくらい設定するかは、各家庭の家族構成や年収、支出、将来設計によってさまざまです。
それでは、実際にどの程度の金額が必要となるのでしょうか。以下の計算式に当てはめて実際に算出してみましょう。
(遺族の支出 - 遺族の収入)× 備えたい期間 + 葬儀費用 + 相続税
この式を簡単に説明すると、「その後の収入と生活費・学費・ローンなどを比べて赤字分を保険で補う」ということです。
相続額が計3,600万円以上(相続人数により変動)の場合は相続税がかかるので、そのぶんも足しておきましょう。
また、未成年の子どもがいる家庭では遺族基礎年金が、会社の規定によっては遺族基礎年金+遺族厚生年金が出るため、そちらも「遺族の収入」に入れてください。
2023年で受け取れる遺族基礎年金は、
795,000円+子の加算額
となっており、加算額は1~2人目だとひとりにつき228,700円、3人目以降は76,200円ごとに増えます。おおよそで大丈夫なので、上記のように計算してみて保障額や返戻金額が不足しないような設定にするのが、保険の選び方のポイントです。
どのタイプの外貨建て保険にするか決める
外貨建て保険には大きく分けて3つのタイプがあり、どれにするか決めておくのも選び方のひとつです。
受取方法や保障の種類により、一般的には以下のように分類されます。
- 外貨建て終身保険
- 外貨建て個人年金保険
- 外貨建て養老保険
保険期間や払込期間を考える
保険には保険期間と払込期間が設定されています。
- 保険期間…保険が有効な期間
- 払込期間…保険料を支払う期間
保険料の目安を決める
保険の選び方で一番気になるのは、保険料ですよね。
外貨建て保険は保険料を積み立てていくイメージなので、掛け捨ての保険のように「保障を利用しなければ無駄になる」というわけではありません。
保険料の金額は自分で選択でき、そこから各種手数料を引いた金額に利率がかけられます。
先ほど算出した保障額をもとに保険料の目安を計算したいところですが、詳細な数字を出すには保険の設計書が必要です。
ここでは事前準備として、現在の収支を確認し、現実的に払える金額の目安だけ決めておきましょう。
保険料に関する注意点をあげると、
- 保障や特約を増やすほど、保険料が高くなる(保険料から引かれる手数料が上がる)
- 円で払う場合は為替相場によって払う料金が変わる
条件に合う外貨建て保険を探して加入する
ここまで外貨建て保険の選び方をクリアすれば、あとは条件に合う商品を探し出して加入するだけです。
似たような内容の保険でも、比較してみると実は全然違ったということもあります。急いで決めずにじっくりと見比べてみてください。
おそらく、上記で決めた「保険の選び方」の内容とピッタリ合致するものが見つからないことも多いと思います。
保険商品それぞれが実際にどんな特色を持っているかを確認しながら、妥協できる点を探って候補を見つけましょう。
保険を比較検討する際には、外貨建て保険の比較サイトを利用するのがおすすめです。
比較サイトでは、条件を絞ることで各種保険を見やすく並べてくれるので、自分に合ったものを簡単に見つけることができます。
外貨建て保険を選ぶなら保険の専門家に相談するのが一番おすすめ
さて、これまで外貨建て保険の選び方を説明してきましたが、「決めることが多くて難しい」「調べるのが面倒」と感じた方もいるかもしれませんね。
実際、保険を選ぶのには時間と労力がかかります。
なぜなら将来の自分を想定し、必要な分だけを計算していかなくてはいけないからです。
また、数多くある保険から選択しなければならない手間もあるでしょう。
自分だけではなかなか決められないという方は、保険のプロにどの外貨建て保険にすべきかを相談するのもおすすめです。
マネーキャリアでは無料の保険相談サービスを提供しています。
プロに相談して確実に自分にフィットした保険を選びたいという方は、以下のボタンから相談を申し込んでみてください。
外貨建て保険を選ぶ際の注意点
外貨建て保険の選び方がわかったところで、つぎは選ぶ際の注意点を紹介します。
以下の3点に気をつけながら保険を探しましょう。
- 実質利回りをチェックしておく
- 為替リスクを把握しておく
- 返戻率や基準利率だけ見て商品を決めない
実質利回りをチェックしておく
外貨建て保険の各サイトを見ると、パーセンテージで示された積立利率の表記があります。
「つまり、保険料×積立利率で受け取れる保険金が計算できるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、これは間違いです。
なぜなら、積立利率には手数料分が引かれていないから。
手数料を引いた最終的な利回りを「実質利回り」といい、「受取金額÷払込金額」で計算します。
この実質利回りを契約時にきちんと確認することが重要です。
外貨建て保険で払込保険料から引かれる一般的な手数料はつぎのようなものがあります。
- 初期費用・維持費・運用費
- 利率更新費用
- 保険関係費用
- 年金管理費(年金受取時)
- 為替手数料(円と外貨の取引時)
- 解約控除(10年以内に解約する場合) など
為替リスクを把握しておく
外貨建て保険が危険といわれる原因が、為替による元本割れのリスクです。
元本割れとは、支払った保険料よりも少ない受取額で返ってくることをいいます。
外貨建て保険で為替リスクが生まれるのは、払い込みと受け取りのタイミングです。
払い込むときは円の価値が低い時期(円安)、受け取るときは円の価値が高い時期(円高)に損をしてしまいます。
たとえば、月100ドル払い込み、5,000ドル受け取る場合の、為替変動による差を見てみましょう。
払い込み | 受け取り | |
---|---|---|
1ドル=70円(円高) | 7,000円 | 350,000円 |
1ドル=100円 | 10,000円 | 500,000円 |
1ドル=130円(円安) | 13,000円 | 650,000円 |
円高時と円安時では2倍ちかくも差が出てしまいました。
逆に円高で払い込み円安で受け取れば利益も増えることになるため、為替相場による金額の変動はメリットにもなります。
上手に活用したいところですが運も大きく絡んでくるため、為替リスクはしっかりと理解し、必ず注意しておくべき点です。
返戻率や基準利率だけ見て商品を決めない
返戻率や基準利率(積立利率)だけで保険を判断しない、というのも保険の選び方で重要です。
これらの数字に惑わされたり利益だけにとらわれたりせず、目的やニーズに沿った保険を見つけるようにしましょう。
もちろん、返戻率や利率は外貨建て保険の魅力のひとつですが、それだけで判断するのは危険です。
なぜなら、返戻率や利率は保険会社が設定する手数料や支払方法、特約の付加などによって最終的な額は変化しますし、為替相場や金利の変動によっても変わります。
それらすべてが総合して保障額や受取金額が決まるので、保険会社が示した返戻率や基準利率が高いからといって、必ずしも積立金が高くなるとは限らないのです。
外貨建て保険を選ぶなら返戻率や基準利率だけでなく、あなたが必要なだけの保障額や返戻金額、保険期間や払込期間、そして為替リスクやコストなども複合して考え、あなたに合った商品を選ぶようにしましょう。
まとめ:外貨建て保険の選び方
この記事では外貨建て保険の初心者のために、選び方や注意点を紹介しました。
海外通貨での取引は経験者でないとイメージがつかみにくいかもしれませんが、外貨建て保険なら保険会社が両替を代わりにやってくれるので、多少気が楽なのではないでしょうか。
ただ、為替によるリスクや手数料の高さなど、デメリットも存在します。
高利率にだけ目を奪われないよう、しっかりと中身を理解してから加入しましょう。
そしてもし困ったことやわからないことがあれば、マネーキャリアの無料相談サービスをぜひ使ってみてくださいね。