

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 外貨建て保険はやってはいけないと言われる理由5選
- 為替リスクが大きい
- 手数料・コストが高い
- 複雑で仕組みが分かりにくい
- 解約返戻金が低い
- 保険としての機能が中途半端
- 外貨建て保険はやってはいけない?と不安な方はFPの無料相談を活用しよう
- 外貨建て保険で大損しないための注意点とは?
- 為替手数料や保険の手数料を確認する
- 単一通貨ではなく複数通貨に分散して為替リスクを軽減する
- 短期解約を避ける
- 外貨建て保険が向いている人の特徴
- 為替リスクを十分に理解し、許容できる人
- 長期運用を前提に考えている人
- 保障と資産運用をバランスよく求める人
- 他の資産運用商品と分散投資したい人
- 金利差に魅力を感じる人
- 相続対策を考えている人
- 外貨建て保険が向いていない人の特徴
- 為替リスクや商品の仕組みを十分に理解していない人
- 元本割れを絶対に避けたい人
- 短期間で資金が必要になる可能性がある人
- 手数料やコストに敏感な人
- 保険の保障機能を重視する人
- 投資や金融商品に不慣れな人・高齢者
- 外貨建て保険はやめたほうがいいと感じた場合におすすめの資産形成方法
- 【まとめ】外貨建て保険はやめがほうがいいと言われる理由とは?迷った場合は専門家に相談しよう
外貨建て保険はやってはいけないと言われる理由5選

元本保障がない、リスクがある、ということは大きく利益が得られる可能性もあるということです。資産が増える確率が高くても、やってはいけない理由は次の5つです。
- 為替リスクが大きい
- 手数料・コストが高い
- 複雑で仕組みが分かりにくい
- 解約返戻金が低い
- 保険としての機能が中途半端
外貨建て保険は、元本の保障がなく損する確率も大きいことを理解したうえで契約するべきものです。仕組みが複雑なので、理解できない場合は契約しない方が無難でしょう。
外貨建て保険をやめた方がいい、5つの理由をそれぞれ詳しく説明します。
為替リスクが大きい
外貨建て保険で特に気をつけてほしいことは、為替リスクが大きいことです。為替リスクとは、為替レートが常に変動することにより、将来のレートを正確に予測するのが難しく、損失が生じる可能性があることを指します。
為替レートとは、日本円と外貨の交換比率です。為替レートは常に動いており、場合によっては短時間で大きく動くこともあります。例えば1ドル100円と、1ドル200円では交換レートが倍違います。
為替レートの動きを予想することは難しく、予想がたまたま当たることはあってもいつも当てることは困難です。毎日の動きで実質的な資産が増えたり減ったりすることを為替リスクと言います。リスクは確実でないこと、不確実性のことを言います。
手数料・コストが高い
外貨建て保険をやってはいけないと言われている理由は、手数料やコストが高めだからです。
資産運用の成果はコストが低いか高いかが大きく影響します。運用結果がよく資産が増えたとしても、手数料負担が大きくなると、コストを引いた後の実質的な運用益は減ってしまうでしょう。
コストは為替手数料、保険料の運用コスト、解約控除などが当たります。外貨投資の場合、契約時から解約時までに円高か円安になったかでも投資の結果が変わってきます。
複雑で仕組みが分かりにくい
外貨建て保険は、仕組みが複雑なため、リスクやコスト、保障内容を十分に理解しないまま契約してしまうケースが多いです。特に高齢者が銀行窓口などで勧誘され、内容をよく理解せずに加入するトラブルも増えています。
よくわからない商品を契約する場合は、失っても可能な金額で契約することはもちろん、あくまでも自己責任であることを理解しておく必要があります。
金融商品はたくさんあります。新しい商品や初めて聞く商品も多いでしょう。金融機関は収益性の高い商品を勧める可能性が高いです。疑問や不安を感じたら、即答せずに第3者である専門家に質問する機会をつくりましょう。
解約返戻金が低い
長期契約が前提の保険商品は、契約初期に解約すると、元本割れになるケースが多いです。あらかじめ何年かけると解約返戻金が何%くらいになるかを確認しておきましょう。
商品設計上、一定期間保有しないと支払った保険料よりも解約返戻金が低いことが考えられます。運用する側も長期運用をしなければ、安定収益は得られないのです。
短期で解約すれば、元本は割れることを覚悟のうえで契約する必要があります。
保険としての機能が中途半端
外貨建て保険は、増やすことにも重点を置いており、保険としての保障内容はあまりよくありません。
外貨建て保険の種類 | 主な特徴 |
---|---|
外貨建て終身保険 | 一生涯の死亡保障があり、貯蓄性も兼ね備えている |
外貨建て養老保険 | 一定期間の死亡保障と、満期時には満期保険金を受け取れる |
外貨建て個人年金保険 | 老後の資金準備を目的とし、積み立てた資金を年金形式で受け取れる |
日本円より金利が高い外貨で運用し、長期で増やすことを目指しています。
外貨建て保険はやってはいけない?と不安な方はFPの無料相談を活用しよう

外貨建て保険は特殊な商品です。明確が目的があれば選択することもよいでしょう。勧められたからと言って安易に契約すべき商品ではありません。
外貨建て保険は、払い込んだ保険料が外貨で運用されます。外貨は米ドル、ユーロ、豪ドルなど、円よりも金利が高い通貨で運用されるケースが多いでしょう。世界の基軸通貨である米ドルが一番多く利用されています。
日本円だけでなく、外貨に資産を分散させたいと思っている人は、外貨建て保険だけではなく、他にも様々な商品があります。他の商品も検討しながら、自分に合った商品を探してみましょう。

外貨建て保険で大損しないための注意点とは?

外貨建て保険で大損しないための注意点は3つあります。
- 為替手数料や保険の手数料を確認する
- 単一通貨ではなく複数通貨に分散して為替リスクを軽減する
- 短期解約を避ける
ご自身の目的やリスク許容度を十分に考慮し、外貨建て保険のメリットとデメリットを確認しましょう。
為替手数料や保険の手数料を確認する
為替手数料は通貨ごとに違います。世界の基軸通貨の米ドルは需要が多いため手数料は低めです。ユーロや豪ドルは米ドルに比べて為替手数料は高めです。
どの外貨で運用するかでも運用成果が違ってきます。金利が高い通貨で運用して、利益が多くなっても、為替手数料が高額になると利益が減ってしまうでしょう。為替手数料も考えて総合的に判断する必要があります。
保険会社が徴収する手数料は、為替スプレッド、解約控除、管理費用などがあります。
単一通貨ではなく複数通貨に分散して為替リスクを軽減する
為替リスクを減らす方法はひとつの通貨だけではなく、複数通貨に分散投資することも考えられます。
為替の変動は、通貨ごとに違う場合が多いでしょう。2つ以上の通貨で運用すれば、リスク分散にはなるでしょう。
外貨建て保険は、米ドルで運用される商品が多く、次に多いユーロや豪ドル以外の保険商品は限られています。複数通貨の分散は選択肢が少ないかもしれません。
短期解約を避ける
外貨建て保険で大損しないためには長期運用をすることが必要です。外貨建て保険は、一般的に10年以上の長期運用を前提とした商品設計となっています。
長期運用は、短期的な為替変動や金利変動に左右されにくく、複利効果を期待することで、資産形成することができます。
外貨建て保険は契約初期に解約すると、手数料(解約控除)が高く設定されています。外貨建て保険での短期運用は、元本割れのリスクが非常に高く避けた方がよいでしょう。
外貨建て保険が向いている人の特徴

外貨建て保険は以下のような人におすすめできます。
- 為替リスクを十分に理解し、許容できる人
- 長期運用を前提に考えている人
- 保障と資産運用をバランスよく求める人
- 他の資産運用商品と分散投資したい人
- 金利差に魅力を感じる人
- 相続対策を考えている人
6項目のうち、ほとんどが該当するという人は向いているかもしれません。
為替リスクを十分に理解し、許容できる人
外貨建て保険は為替変動によるリスクが大きいため、円安や円高による損益を冷静に受け止められる人に向いています。
日本円での投資は為替リスクがないので、運用成果がそのまま投資成果になり大変わかりやすいでしょう。しかし外貨建て保険は、外貨での運用成果が良好でも為替変動を加味すると、場合によっては、ほとんど成果が帳消しになるパターンもありうるのです。
為替の変動を予想するのは困難です。為替が動く要因は様々あり、経済動向や国際情勢、金利の変動、戦争など、要人の発言でも為替相場は変動することがあります。
長期運用を前提に考えている人
外貨建て保険は長期で運用しなければ、十分な投資成果が得られない場合が多いでしょう。
外貨建て保険は、契約してすぐに解約すると元本割れすることが多い商品です。10年以上の長期で運用し、途中解約しない覚悟がある人が向いています。
将来外国で生活したいと考えている人は、長期運用で外貨をうまく増やすことができれば、円に交換せずに増えた資産を有効に使えるかもしれません。
保障と資産運用をバランスよく求める人
他の資産運用商品と分散投資したい人
外貨で分散投資をしたい人は、外貨建て保険が向いているでしょう。既に日本円での資産運用を行っており、日本円以外の通貨でも運用をしたい人には適しています。
特定の通貨に集中して投資するのではなく、複数の異なる通貨に分散することで、為替変動のリスクを低減する効果が期待できるでしょう。例えば、ある通貨が下落しても、別の通貨が上昇していれば、全体としての影響を緩和できる可能性があります。
各国の経済状況や金利政策は異なるため、複数の通貨で運用することで、より多くの収益機会を得る可能性があるでしょう。
金利差に魅力を感じる人
日本では低金利が続いています。2024年3月マイナス金利が解除されたとはいえ、諸外国に比べればまだ低い状態が続いています。
日本より金利が高い通貨に預金すると、効率よく運用できる可能性が高いでしょう。高金利の運用をしたい人は外貨建て保険が向いています。
2025年5月現在の10年物の日本国債の金利は1%台、一方米国国債の金利は4%台となっています。この金利差を見ると利益を享受したいと思う人は多いでしょう。
相続対策を考えている人
外貨建て保険も生命保険の一種なので、死亡保険金の「非課税枠」を活用した相続対策で加入する選択肢もあるでしょう。
法定相続人が受け取る死亡保険金には非課税枠があります。非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」で計算されます。この非課税限度額内の死亡保険金には相続税は非課税です。
外貨建て保険の場合、死亡時の為替レートで円換算された金額が相続財産として評価されます。
外貨建て保険が向いていない人の特徴

次のような人には外貨建て保険はおすすめできません。
- 為替リスクや商品の仕組みを十分に理解していない人
- 元本割れを絶対に避けたい人
- 短期間で資金が必要になる可能性がある人
- 手数料やコストに敏感な人
- 保険の保障機能を重視する人
- 投資や金融商品に不慣れな人・高齢者
該当項目が多い人は他の商品を検討した方がよいでしょう。
為替リスクや商品の仕組みを十分に理解していない人
外貨建て保険は、為替相場の変動によって受取額が大きく変わる商品です。為替リスクや手数料、商品の仕組みをしっかり理解できていない人には向いていません。
リスクを避けたい人は向いていませんが、避けたいと思うのは為替リスクや商品の仕組みが理解できていない、ということもあるでしょう。
為替リスクや商品の仕組みに向き合い、メリットとデメリットを理解できれば、外貨建て商品も検討の余地があるかもしれません。
元本割れを絶対に避けたい人
投資商品にはリスクはつきものです。契約初期に解約すると元本割れするリスクは高いですが、長期で運用すれば、元本割れのリスクは低くなるでしょう。
しかし、長期で運用しても元本割れの可能性があります。外貨建て保険は、満期時に外貨から円に交換する際のレートによっては、元本が割れてしまうこともありうるのです。
円に交換せずに外貨でそのまま持っておき、元本割れしない為替レートまで待つことができれば損失は防げるかもしれません。
短期間で資金が必要になる可能性がある人
外貨建て保険は長期運用が前提の商品です。数年以内にまとまった資金が必要になる可能性がある人、流動性を重視する人には向きません。
外貨建て保険は、長期運用をしなければ、思うような運用結果が得られないケースが多いでしょう。短期で解約すれば元本割れで大きく損をする確率が上がります。
余裕資金で契約し、長期でおこなうことを前提に検討しましょう。
手数料やコストに敏感な人
外貨建て保険は、保険会社に支払う手数料や為替手数料が高めです。コストパフォーマンスを重視する人、手数料を抑えたい人には向いていません。
外貨建て保険は、円建ての保険商品と比較して、為替スプレッド、解約控除、管理費用などが高額な場合があります。
手数料やコストが高いと、運用益が相殺され、期待したほどの資産形成ができない可能性があります。為替差益が出ても、手数料で相殺されてしまうかもしれません。
保険の保障機能を重視する人
投資や金融商品に不慣れな人・高齢者
投資や金融商品に不慣れな人や高齢者は外貨建て保険は向かないので注意しましょう。
金融商品販売法は、金融商品を販売する業者が、顧客に金融商品を販売する際に、顧客に対して説明義務を負い、説明をしなかった場合に損害賠償責任を負うことを定めた法律です。
消費者保護の観点から制定されたものです。その中でも適合性の原則は、金融商品を販売する際に「顧客の知識や経験、財産の状況に応じた商品をすすめなければならない」ことを定めています。
外貨建て保険は初心者向きの商品ではありません。投資経験が少ない人には外貨建て保険はおすすめできないことになっています。
外貨建て保険はやめたほうがいいと感じた場合におすすめの資産形成方法
外貨建て保険は意向に合わないと思う人は、下記を参考にしてください。
資産形成 方法 | つみたてNISA | iDeCo | 個人向け国債 | 個人年金保険 | 投資信託 | 外貨預金 |
---|---|---|---|---|---|---|
特徴 | 売却益は非課税 | 毎月の掛け金は 所得控除 の対象になる | 期限が 決められている | 老後資金の ための積立 | 複数の商品に 分散投資できる | 円預金より利率は高い |
こんな人に おすすめ | 長期で資産運用 をしたい人 | 長期で老後資金 を貯めたい人 | リスクを 取りたくない人 | 保険と貯蓄を 1本でやりたい人 | 分散投資したい人 | 円以外の資産を 持ちたい人 |
リスク | あり | 購入商品による | 元本割れは 少ない | 初期で解約すると
元本割れの可能性大 | あり | 為替リスクあり |
リターン | 長期でやるほど リターンは高い | 長期でやるほど
リターンは高い | 少ない | 少ない | 購入商品による | 大きい場合あり |
それぞれ特徴に違いがあるので自分にはどれが合うか考えてみましょう。複数の方法を組み合わせるとリスク分散になります。
【まとめ】外貨建て保険はやめがほうがいいと言われる理由とは?迷った場合は専門家に相談しよう

外貨建て保険の特徴
- 手数料が高い
- 為替リスクがある
- 保険の保障内容は少な目
- 仕組みが複雑なので上級者むけの商品
外貨建て保険は、投資と保険が1つになっている商品なので、仕組みがわかりずらいかもしれません。投資は投資、保険は保険だけの単一商品の方が、わかりやすいでしょう。
外貨建て保険は向かないと思った方は、投資と保険を別々に契約しましょう。商品の選択に迷う場合はマネーキャリアの専門家に相談しましょう。
マネーキャリアは、お金のことに関して全般的に相談可能です。保険や資産運用はもちろんライフプラン、家計の見直しなど何でも相談しましょう。
