
内容をまとめると
- iDeCoを放置すると、資産の運用が停止したり、手数料がかかり続けたりというリスクがある。
- 放置によるデメリットとして、税制優遇の喪失や運用商品のパフォーマンス低下が挙げられる。
- iDeCoを放置しないためには、転職や退職時の手続きを忘れずに行い、定期的な運用状況の見直しが必要。
- 自分で管理するのが難しい場合は、「ファイナンシャルプランナーに無料相談できる、マネーキャリアの無料相談」を活用するのも一つの方法。

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
iDeCoを放置するとどうなる?発生するリスクを解説
iDeCoを放置すると、以下のような資産運用や税制面のリスクが発生します。
- 手数料負担が増加する
- 運用指図者になる可能性がある
- 運用商品の見直し機会を逃す
iDeCoの放置には、掛け金を継続する場合と停止する場合で異なるリスクがあります。
iDeCoで損をしないためにも、リスクについてきちんと理解するのが重要です。
手数料負担が増加する
iDeCoの口座を放置してしまうと、運用状況に関わらず一定の手数料が継続して発生します。
具体的には、口座管理手数料や信託報酬といった費用が定期的に引き落とされ、これが長期間続くことで資産が徐々に目減りしてしまうリスクがあります。
拠出を停止した場合でも、口座を保有している限り月額数百円から千円程度の手数料が発生します。
この金額は一見少額に思えるかもしれませんが、数年単位で積み重なると無視できない負担となります。
そのため、iDeCoを放置せず、定期的に口座状況を確認し、必要に応じて手続きをおこなうことが重要となります。
運用指図者になる可能性がある
iDeCoを放置すると、拠出金の停止により運用指図者というステータスに移行するリスクがあります。
運用指図者とは、新たな拠出を行わず既存の資産のみを運用している状態を指し、運用指図者になる可能性があるのは以下のような人です。
- 60歳未満で会社を退職した
- 企業型DCのある会社に転職した
- 公務員になった
運用指図者になると、iDeCoの大きなメリットである税制優遇措置が受けられなくなります。
また、運用益に対しても通常の税金が課せられる可能性があり、資産の増加が抑えられる要因ともなり得ます。
さらに、運用指図者の状態では手数料の負担が続くため、資産の目減りリスクが一層高まります。
運用商品の見直し機会を逃す
iDeCoを掛け金を継続しながら放置すると、運用商品の見直し機会を逃すリスクがあります。
市場環境や年齢に応じてリスク許容度が変化する中、運用方針を放置したままでは資産が十分に育たない可能性もあるのです。
また、新しい金融商品が登場しても気づかず、より良い選択肢への乗り換えを逃す恐れもあります。
運用状況を確認しないままでいると、相場下落時に適切な対応ができず、損失が拡大することもあります。
そのため、定期的な見直しと調整を行うことが資産形成には欠かせません。
iDeCo放置のケース別の影響と対処法
iDeCoを放置した際の影響は、状況によって異なるリスクが発生します。
ここからは以下の3つのケースに分けて、それぞれの影響と対処法を詳しく解説します。
- 転職時に放置した場合の影響
- 退職後に放置した場合の影響
- 長期間放置した場合
転職時に放置した場合の影響
転職時にiDeCoを放置する、すなわち、企業型確定拠出年金から個人型iDeCoへの移管手続きを怠ると、資産運用にさまざまなリスクが発生します。
まず、企業型から個人型への移管が行われないと、資産が現金として保留され、運用が停止してしまいます。
この間も口座管理手数料は発生するため、資産が目減りするリスクがあります。
また、移管手続きが完了しない限り、新たな拠出も行えず、税制優遇も受けられなくなります。
退職後に放置した場合の影響
退職後にiDeCoを放置すると、拠出が停止し、運用指図者としての状態に移行する可能性があります。
この状態では、新たな拠出ができず、税制優遇も受けられません。さらに、運用商品の見直しが行われないため、市場の変動に対応できず、資産の成長が停滞するリスクがあります。
退職後の対策としては、再就職先での企業型年金への加入や、個人型iDeCoへの移管手続きを速やかにおこなうことが重要です。
また、退職期間中も口座管理手数料が発生するため、資産の状況を定期的に確認し、必要に応じて運用方針を見直すことが求められます。
長期間放置した場合
長期間放置した場合、iDeCoの運用が市場の変化に対応できなくなり、資産が目減りするリスクが高まります。
運用商品のパフォーマンスが悪化していても見直しを行わなければ、損失が拡大する可能性もあるでしょう。
また、資産配分のバランスが崩れたまま放置されると、特定のリスクに偏る恐れがあります。
ライフステージや経済環境の変化に応じて運用方針を見直すことが、資産形成の安定につながります。
定期的に運用状況を確認し、必要に応じてリバランスを行うことが重要です。
iDeCoの放置を避けるためにすべき対策
iDeCoを適切に管理するためには、放置を防ぐための基本的な対策を押さえておきましょう。
以下の3つが、放置を防ぐために特に重要な対策です。
- 転職時は個人型iDeCoへの移管手続きを確実に行う
- 定期的に運用方針の見直しを行う
- ファイナンシャルプランナーへの相談を活用する
これらを実践すれば、税制優遇のメリットを無駄にせず、将来の資産形成を計画的に進めることができます。
iDeCoを始めたら終わりではなく、ライフプランに合わせてしっかりと管理する意識が大切です。
転職時は個人型iDeCoへの移管手続きを確実に行う
転職時には、企業型確定拠出年金から個人型iDeCoへの移管手続きを確実におこなうことが重要です。
まず、転職前に現在の勤務先の人事部門や運営管理機関から必要な手続きを確認しましょう。
次に、新しい勤務先での年金制度の有無を確認し、必要に応じて個人型iDeCoへの移管を進めます。
この際、移管手続きが遅れると運用が停止し、手数料が無駄に発生するリスクがあるため、迅速な対応が求められます。
また、移管手続き後も定期的に運用状況を確認し、必要に応じて運用商品の見直しをおこなうことが大切です。
定期的に運用方針の見直しを行う
iDeCoの資産運用を効率的におこなうためには、定期的な運用方針の見直しが欠かせません。
市場の変動やライフステージの変化に応じて、資産配分を適切に調整することで、リスクを抑えつつリターンを最大化することが肝要です。
具体的には、年に一度は運用商品のパフォーマンスを確認し、必要に応じてリバランス(資産配分の比率を元の目標バランスに調整する)を、おこなうことをおすすめします。
また、自分のリスク許容度や投資目的に応じた運用方針を設定し、長期的な視点で資産運用を進めることが重要です。
定期的な見直しを習慣化することで、iDeCoのメリットを最大限に活用することができるでしょう。
ファイナンシャルプランナーへの相談を活用

iDeCoの管理や運用に不安を感じる場合、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談も、非常に有効です。
専門家であるFPは、個々のライフプランや資産状況に応じた最適なアドバイスを提供してくれます。
例えば、転職や退職後の移管手続きの具体的な方法、運用商品の見直し方、税制優遇を最大限に活用するための戦略など、幅広い分野でサポートが受けられます。
また、自分自身では気付かないリスクや見落としがちなポイントについても的確に指摘してくれるため、より効率的で安全な資産運用が可能になります。
iDeCoの放置に関するリスクや対処法まとめ
この記事では、iDeCoを放置した場合に生じるリスクと、その対策について解説しました。
放置する状況によってリスクの内容が異なるため、各ケースに応じた対応が重要です。
記事の内容をまとめると以下の通りです。
- 放置によって発生する主なリスクは「手数料負担の継続」「運用方針の自動変更」「資産の目減り」
- 転職・退職などのライフイベント時には、確実な手続きが必要
- 運用商品の見直しを行わないと、運用効率が低下する可能性がある
- 放置を防ぐには、定期的な運用確認とライフプランに応じた調整が効果的