
- 住宅ローン控除について、適用可否の判定や具体的な控除額
- 必ず知っておくべき建売住宅にかかる諸費用について
- 建売住宅の購入に向け、今からでもすべきこと
建売住宅の購入を検討されている方は、数百万円単位で支払いに影響する、知っておいて損のない内容ですので、本記事で知識を身につけておくことをおすすめします。
内容をまとめると
- 建売住宅は注文住宅よりも価格を抑えられるメリットなどがあるものの、返済計画や住宅ローン控除を受けられるかなどを注意して購入する必要がある。
- 住宅ローン控除や、住宅購入および住宅ローンを組む際にかかる諸費用は、数百万円の支払いに影響を与えるため考慮に入れておかなければならない。
- 固定費の見直しや、将来のライフプランの計画などは、建売住宅の購入に際し必ず必要となるため、現段階から並行して実施すべきである。
- しかしながら、住宅ローン控除や固定費の見直しなどは、個別具体的な内容となるため、一人で考え込まずマネーキャリアを通じて専門家に相談した方が効果的である。

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 建売住宅の住宅ローンの仕組み
- 建売住宅の住宅ローンは手続きがシンプル
- 建売住宅は注文住宅より自己資金が少なくて済む
- 建売住宅で住宅ローンを組むメリット
- 価格が抑えられる
- 現物を見てから購入できる
- 立地がいい(住みやすい)
- すぐに入居できる
- 手続きが楽
- 建売住宅で住宅ローンを組む際の注意点
- 自分の年収、借入可能額を考慮し返済計画を立てる
- 住宅ローン控除を受けられるか確認する
- 正確な購入費用を把握する
- 建売住宅の住宅ローン控除
- 省エネ基準により適用可否、控除可能額が変わる
- 省エネ基準適合住宅とは
- その他住宅ローン控除の適用条件
- 具体的な住宅ローン控除額をシュミレーション
- 建売住宅購入にかかる諸費用とは
- 諸費用の目安
- 建売住宅購入にかかる諸費用の内訳
- 住宅ローン契約にかかる諸費用の内訳
- 一部諸費用は住宅ローンに含めて借りることが可能
- 【建売住宅】頭金について
- 頭金を入れると返済が楽になる
- 頭金を用意するのに時間をかけすぎない
- 住宅ローンを組んで建売住宅を購入する前にやっておくべきこと
- 固定費の見直し
- 将来かかるお金を考えておく
- 返済計画に無理がないか確認する
- 購入の意思を固める
- まとめ
建売住宅の住宅ローンの仕組み
建売住宅は家と土地がセットで、既に完成されたものを購入するので、手続きがシンプルなどの利点があります。
また、注文住宅ほど自己資金を要すこともないため、追加で「つなぎ融資」なども必要ないことが多いです。
建売住宅における住宅ローンの特徴について紹介します。
建売住宅の住宅ローンは手続きがシンプル
注文住宅の場合は、先に土地を購入してから、家を建てるというステップを踏みます。
そのため、建築が開始する際の「着手金」や「中間金」、「残金決済」などの費用を用意しなくてはなりません。
これら住宅が完成する前の支払いには住宅ローンが使えません。
基本的には自己資金を準備しますが、他にも「つなぎ融資」などを利用して対応することもあります。
このように、注文住宅は考えることが多く、建売住宅の方がシンプルです。
建売住宅は注文住宅より自己資金が少なくて済む
注文住宅は住宅が完成する前の「着手金」などをどう準備するか考える必要があります。
仮に、全て自己資金で対応するとなった場合、現在の賃料(住居費)に加えての支払いとなり、大きな負担となります。
建売住宅であれば、一時的に家計の資金が減ってしまうことは少ないため、不測の事態が起きた場合でも柔軟な対応が可能なため安心です。
建売住宅で住宅ローンを組むメリット

また、注文住宅よりも建売住宅の方が分かりやすく、手続きもシンプルというメリットもあります。
以下に、建売住宅の代表的なメリットを紹介します。
- 価格が抑えられる
- 現物を見てから購入できる
- 立地がいい(住みやすい)
- すぐに入居できる
- 手続きが楽
価格が抑えられる
建売住宅の大きなメリットが物件価格です。
建売住宅は、同じ規格で複数の住宅をまとめて建設することが多いため、資材などを大量に仕入れることができ、コストを抑えることができます。
また、建物の設計を標準的なものとしており、購入者は自分のニーズに応じて追加設備を選択できるようにするなどして、初期費用を抑えています。
このため、注文住宅などに比べて販売価格が安く設定されることが多いです。
現物を見てから購入できる
建売住宅は住居が完成した状態で販売されているため、実際に物件を見てから安心して購入を検討できます。
家具の配置や外構のデザインを具体的にイメージしやすいため、どのような生活スタイルになるかを判断もしやすいです。
実際に住むイメージを想像しやすく、住んでからのギャップを減らすことができます。
立地がいい(住みやすい)
建売住宅は需要の高いエリアに建設されることが多く、良い立地、自分の住みたいところに住むチャンスが増えます。
また、建売住宅は地域の住環境やニーズを考慮して建てられるため、利便性が高いエリアに住むことができるかもしれません。
周辺環境や学校、商業施設へのアクセスなどが整備されていることも多いです。
すぐに入居できる
多くの場合、建売住宅はすでに完成しているか、完成間近の状態で販売されています。
そのため、購入を決めてからすぐに入居できるのが大きな魅力です。
各種手続きがスムーズに進めば、最短1ヶ月程度で入居が可能な場合もあります。
転勤や子供の入学など、タイミングが重要な時に迅速も可能です。
手続きが楽
土地と建物がセットで販売されるため、注文住宅のように別々に手続きを行う必要がなく、住宅ローンの手続きもスムーズに進められます。
また、注文住宅の場合、土地の購入から始まり、建物の設計や工事の進捗に応じて複数回に分けて代金を支払う必要がありますが、建売住宅はその必要がありません。
さらに建物についても、注文住宅のような複雑な打ち合わせや設計変更が不要なため、時間が取られることは少ないです。
建売住宅で住宅ローンを組む際の注意点

住宅ローンは様々なことを考慮したうえで、組む必要があります。
自分の年収や家計の収支などの割と把握しやすいものから、数十年先の不確定な将来のことまで考えなければなりません。
住宅ローンの返済ができなくなってしまわないよう、以下の点を踏まえ返済計画を考えてください。
自分の年収、借入可能額を考慮し返済計画を立てる
自分の年収や属性によって、金融機関からの借入可能額が決まります。
購入する住宅の価格、借入可能額、そして実際に返済可能な金額は日々の生活から考え、無理のない返済計画を立ててください。
返済可能か見通しがつかないにも関わらず、身の丈に合わない物件を購入することがないよう注意してください。
住宅ローン控除を受けられるか確認する
住宅を購入する際に、住宅ローンを利用すれば、一定の条件のもと住宅ローン控除を受けられます。
特に、住宅の性能に関する要件は、自分で性能を決めて建てる注文住宅とは違い、不動産業者などにしっかり確認しておくべきです。
借主の年収や住宅の価格にもよりますが、総額数百万円の減税(還付)を受けられます。
住宅ローンを組む際は、必ず住宅ローン控除を受けられるかあらかじめ確認しておく必要があります。
正確な購入費用を把握する
建売住宅は土地と建物がセットで販売されているため、価格が分かりやすいのが特徴ですが、契約前にはその他の費用について調べておく必要があります。
契約に関する諸費用や、設備や外構の追加のオプション費用、引越し費用など物件価格以外にかかる費用はあります。
「思ったより高くて後悔した」といったことがないように、細かいところまで把握しておくことが大切です。
建売住宅の住宅ローン控除
建売住宅でも住宅ローン控除は受けられます。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した際に受けられる税制上の優遇措置のことです。
年末時点の住宅ローン残高の0.7%を上限に、最長13年間にわたり、所得税や住民税の金額が控除される制度となります。
この記事内では新築住宅を購入する場合についてのみ説明することとします。住宅ローン控除は中古住宅でも適用されます。)。
省エネ基準により適用可否、控除可能額が変わる
住宅ローン控除の適用可否のポイントとして、購入する住宅の省エネ基準(環境性能)があり、とても重要です。
2024年1月以降に自治体などの建築確認を受けた新築住宅の場合、省エネ基準を満たす住宅でない場合は、住宅ローン控除を受けられないため注意してください。
住宅の性能 | 住宅ローン最大控除額 | 控除期間 |
---|---|---|
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 4,500万円 | 13年間 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 13年間 |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 13年間 |
その他の住宅(※) ※省エネ基準を満たさない住宅。 2024年以降に新築の建築確認を受けた場合、対象外 | 0円 | ー |
省エネ基準適合住宅とは
住宅ローン控除の対象となる省エネ基準適合住宅について、それぞれの省エネ基準を説明します。
住宅の性能 | 基準に関する説明 |
---|---|
認定長期優良住宅 | 長期にわたり良好な状態で住み続けることができる住宅で、 国土交通省が定める基準を満たした住宅 |
認定低炭素住宅 | 二酸化炭素の排出量を減らす仕組みや設備を備えた住宅で、 所管行政庁(都道府県や市区)の認定を受けた住宅 |
ZEH水準省エネ住宅 | 国が定めた省エネ性能基準において、断熱等性能等級5以上および 一次エネルギー消費量等級6以上の住宅 |
省エネ基準適合住宅 | 国が定めた省エネ性能基準において、断熱等性能等級4以上および 一次エネルギー消費量等級4以上の住宅 |
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
※参照:住宅ローン減税ー国土交通省|国土交通省HP
その他住宅ローン控除の適用条件
住宅性能以外の適用条件は以下のとおりです。
- 住宅ローンの返済期間は10年以上であること
- 居住用住宅であること
- 床面積が50m2以上あること(一部の住宅は40m2以上50m2未満で適用可)
- 住宅ローンを借りた人の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 住宅の引渡しからから6ヵ月以内に入居し、引き続き居住していること など
具体的な住宅ローン控除額をシュミレーション
住宅ローン控除の具体的な金額等をシュミレーションしてみます。
<シュミレーション条件>
- 年収: 600万円
- 借入額: 4000万円
- 物件の種類: 省エネ基準適合住宅
- 返済期間: 35年(元利均等返済)
- 金利: 1.5%(全期間固定型)
- 入居開始月: 2024年5月
- 住宅ローン年末残高: 3929.6万円(初年度)
住宅ローン控除の計算
控除の適用
建売住宅購入にかかる諸費用とは
建売住宅を購入する際には、物件価格に加えて多くの諸費用が必要です。
これらの費用は、購入前から購入後にかけて発生し、全体の資金計画にしっかりと組み込むことが重要です。
事前にこれらの費用を把握し、余裕を持った資金計画を立てることが、住宅購入後のゆとりある生活につながります。
諸費用の目安
諸費用は一般的に物件価格の5〜10%程度かかると言われています。
諸費用は建売住宅の購入時と、住宅ローンを組む時のそれぞれに発生するので注意が必要です。
以下に4,000万円の建売住宅を購入する際にかかる諸費用の例を紹介します。
建売住宅購入にかかる諸費用の内訳
金額 | 詳細 | |
---|---|---|
仲介手数料 | 約120〜200万円 | 物件価格の3%+6万円(税別)に消費税を加算した金額。 |
印紙税 | 約1〜3万円 | 売買契約書に貼付する印紙代。 |
登録免許税 | 約60万円 | 所有権移転登記にかかる税金(不動産価格の0.15%)。 |
司法書士報酬 | 約5〜10万円 | 登記手続きの代行を依頼する際の報酬。 |
不動産取得税 | 約0〜120万円 | 固定資産税評価額の3%(特例措置により非課税になる場合もあり)。 |
固定資産税・都市計画税 | 約日割り計算で数万円 | 年の途中で購入した場合に発生する税金。 |
合計すると、住宅購入にかかる諸費用はおおよそ 200万円〜400万円 となります。
住宅ローン契約にかかる諸費用の内訳
金額 | 詳細 | |
---|---|---|
事務手数料 | 約3〜10万円 | 金融機関に支払う手数料。 |
保証料 | 約0〜80万円 | 住宅ローンの保証会社を利用する場合にかかる費用(金融機関によって異なる)。 |
印紙税 | 約2万円 | 住宅ローン契約書に貼付する印紙代(借入額が1,000万円以上の場合)。 |
登録免許税(抵当権設定登記) | 約4万円 | 抵当権設定にかかる税金(借入額の0.1%)。 |
司法書士報酬 | 約5〜10万円 | 抵当権設定登記の手続きを依頼する際の報酬。 |
火災保険料 | 約10〜20万円 | 住宅ローン契約時に加入する火災保険の保険料。 |
合計すると、住宅ローンを組む際の諸費用はおおよそ 30万円〜200万円 となります。
一部諸費用は住宅ローンに含めて借りることが可能
諸費用だけでも数百万かかり準備が大変です。
しかし、諸費用も一般的に住宅ローンに含めることが可能です。
仲介手数料や、登記費用、住宅ローンに関する諸費用は住宅ローンに含めることが一般的には可能ですが、金融機関によりことなるケースもあるので、事前に確認しておくのがおすすめです。
【建売住宅】頭金について
頭金を入れることができれば、借入額が減らせるため、その分返済計画にゆとりを持つことができます。
ただし、頭金をすぐに用意できない家庭もあり、頭金を入れずにフルローンで住宅ローンを組む家庭も一定数います。
自分の場合は、頭金を入れるのか、入れるならばどの程度入れるのか考えてから住宅を購入する必要があります。
頭金を入れると返済が楽になる
頭金を入れて、借入額を減らすことができれば、借入額にかかる利息も減らすことができます。
したがって、理論上は可能な限り頭金を入れておいた方がよいということになります。
ただし、頭金を入れすぎると家計における余剰資金が少なくなることも考慮しなければなりません。
万が一のことに備えて、手元に自由に使える資金も用意しておかなければならないため、バランスを考えて判断する必要があります。
頭金を用意するのに時間をかけすぎない
いくら頭金があった方がいいとは言え、頭金の準備に時間をかけるのは得策とは言えない場合もあります。
資金を貯めている間に、住宅購入のタイミングを逃したり、金利が上昇し返済負担が大きくなってしまうかもしれません。
また、住宅ローンを完済する年齢が上がってしまうリスクもあります。
ライフプランや将来のライフイベントを考慮し、最適なタイミングで住宅を購入することを考え、その際に用意できる頭金を入金するのがよいと言えます。
住宅ローンを組んで建売住宅を購入する前にやっておくべきこと
これまでの内容で、建売住宅を購入するにあたり、住宅ローン控除の仕組みや、諸費用などのお金に関する知識を身に付けることができたと思います。
しかし、知識を付けるだけでは、万全と言えません。
住宅購入を検討している今から、購入に向けてできることは他にもあるので、紹介していきます。
固定費の見直し
固定費の見直しは、住宅購入に関わらず実施すべきです。
住宅ローンを組んだ場合、これまでよりも住居費の割合が増えることが一般的なため、あらかじめ削れる支出は削っておくことをおすすめします。
具体的には、通信費や各種サブスク費、保険などを見直すと効果が高いことが多いです。
なお、見直す際には一人で考えるのではなく、信頼できるFPなどに相談すると効率的に実施できます。
将来かかるお金を考えておく
住宅ローンの返済期間は一般的に20〜35年と言われています。
長期的な返済となるため、可能な限り将来を予測して返済計画を立てることが重要となります。
住宅ローンを組む前でも、子どもの進学にかかる費用や、車の購入、家電の買い換え予定などはあらかじめプランニングできるはずです。
将来の不安をなくすためにも、しっかりと今のうちから今後のことを考えておくことをおすすめします。
返済計画に無理がないか確認する
自分の年収から借入可能額と、実際に借りる額を検討しておくことが大切です。
一般的に年収の6〜7倍を借入額と設定すると、無理のない返済計画が立てられると言われています。
借入額が多くないか、また仮に借入額が多くとも夫婦共働きで収入を増やすなどの、対応策も考えておければ安心です。
購入の意思を固める
住宅を購入することを決めたら後悔のないよう、踏ん切りをつけることも大事です。
住宅の購入は金額が大きく、また住宅ローンは長期にわたるため、後から「こうしておけば良かった」と思いがちです。
しかし、そんなことを考えていては、いつまで経っても住宅を購入することはできません。
ある程度自分の納得いくまで調べて、決断したのならば、その時の決断がベストだったと割り切る気持ちも必要です。
まとめ
建売住宅を購入する際には、住宅ローンや各種諸費用などのお金の知識を身に付ける必要があります。
あわせて、住宅購入を検討しているのであれば、固定費の見直しや、ライフプランについても同時進行で考えておかなければなりません。
しかし、住宅ローン控除の金額や、固定費の見直しに伴う月々のローン返済額の算出など、個別具体的なケースを全て自分一人で考えるには限界があります。
そんな時に有効なのが、信頼できるFPなどへの相談です。
一人で考えると、その内容が合っているかも不安になります。
人生における大きな決断をしようとしている時だからこそ、自分一人で考え込まず、他の人の意見も参考にしながらベストな選択をしていきましょう。