投資信託がマイナスになったらどうする？売却・放置・買い増しの判断基準を徹底解説！

投資信託を始めると、基準価額の増減に一喜一憂となることがあります。とくに、数値がマイナスに転じたときは「このまま損失が拡大するのでは？」と不安になるものです。

投資信託がマイナスになる理由は複数あり、主な要因として市場環境の変動、組入資産の価格下落、経済情勢の悪化、手数料や信託報酬の影響などがあげられます。

長期運用を前提としている投資信託で、短期的な値動きに過度に反応するのは避けるべきです。運用の基本は「長期・分散・積立」です。一時的なマイナスに動揺せず、冷静な判断が大切です。

投資信託の損益は「基準価額」によって判断します。基準価額とは、投資信託の純資産総額を総口数で割った1口あたりの価格のことです。

基準価額が購入時よりも下がると、評価損（含み損）が発生します。たとえば、10,000円で購入した投資信託の基準価額が9,500円になった場合、500円のマイナス（評価損）となります。

評価損益は次の計算式で求められます。

評価損益 = (現在の基準価額 - 購入時の基準価額) × 保有口数

注目すべき点として、評価損益はあくまでも「ペーパー上の損益」であり、実際に売却するまでは確定しません。市場が回復すれば、マイナスからプラスに転じる可能性もあります。

投資信託のパフォーマンスを測るうえで、基準価額の推移を定期的に確認するのは重要ですが、短期的な変動に一喜一憂せず、長期的な視点で見ることが大切です。

投資信託は株式や債券などの金融商品に投資しているため、市場環境の変動に大きく影響されます。

株式市場が下落すれば、株式に投資している投資信託の基準価額も下がりやすくなります。日経平均株価やNYダウなどの指標に連動するインデックス型の投資信託は、とくにその傾向が顕著です。

経済危機や政治的混乱、自然災害などの予期せぬ出来事も市場を大きく揺さぶる要因となります。たとえば、2008年のリーマンショックでは、多くの投資信託がマイナスに転じました。

しかし、市場環境の変動は投資のチャンスでもあります。価格が下がっている時こそ、同じ金額でより多くの投資信託を購入できる好機と捉えることもできます。

積立投資を行っている場合は、市場の下落局面でもコツコツと購入を続けることで「ドル・コスト平均法」の効果を得られ、長期的には有利に働くことが多いです。

投資信託を保有していると、さまざまな費用が発生します。費用は投資成績に影響を与える要因となります。

主な費用には以下のものがあります。

• 購入時手数料：投資信託を買う際にかかる費用
• 信託報酬：投資信託の運用管理に必要な費用（年率で表示）
• 信託財産留保額：解約時に信託財産から差し引かれる金額
• その他の費用：監査費用、売買委託手数料など

投資信託がマイナスになったとき、多くの投資家は不安を感じ、「どうすればよいのか」と悩みます。

まず考えるべきことは、投資信託の値下がりが一時的なものなのか、それとも長期的な問題なのかを見極めることです。マーケットの動向や投資信託の特性、自分の投資目的などを踏まえて判断するのが重要です。

選択を誤ると損失が拡大したり、回復のチャンスを逃したりする可能性があります。冷静な判断が求められる場面ですが、最適な選択肢から選びましょう。

投資信託がマイナスになったとき、最も選ばれる選択肢が「放置する」です。とくに長期的な値上がりが期待できる金融商品であれば、そのまま保有し続けるのは理にかなっています。

全世界株式や米国株式などのインデックスファンドは、長期的には上昇傾向にあることが過去のデータから確認できます。

たとえば、VT（バンガード・トータル・ワールド・ストックETF）やVTI（バンガード・トータル・ストック・マーケットETF）は、リーマンショック後の下落からも回復し、長期的には大幅なプラスを記録しています。

放置する際のポイントは、以下の点に注意しましょう。

• 投資信託の値動きをあまり頻繁にチェックしない
• 一時的な市場の変動に一喜一憂しない
• 当初の投資目的を忘れない

マイナスになった投資信託を売却するのは、「損切り」とも呼ばれます。投資信託を売却する判断は、以下のような状況で検討する価値があります。

1. 投資信託の将来性に疑問がある場合：投資信託の目論見書や運用実績を見直し、将来的な値上がりが期待できないと判断した場合は、売却も選択肢となる
2. 資金が必要になった場合：住宅購入や学費など、3年以内に大きな出費が予定されている場合は、含み損が拡大するリスクを避けるため、売却検討の必要がある可能性がある
3. メンタル面での影響が大きい場合：投資信託の値下がりによる精神的なストレスが日常生活に支障をきたすほど大きい場合は、売却すると心の平穏を取り戻せることもある

投資信託がマイナスになったときのもう一つの選択肢は、「買い増し」です。これは「ナンピン買い」とも呼ばれ、価格が下がったときに追加購入し、平均購入単価を引き下げる戦略です。

買い増しの効果は以下のとおりです。

• 平均購入単価の引き下げ：（例）100円で10口購入後、80円まで下落した時点で追加10口購入すると、平均購入単価は90円になる
• 少ない価格上昇で利益が出やすくなる：上記の例では、基準価額が90円を超えた時点で利益が出始める
• 価格下落時に多くの口数を購入できる：同じ投資金額でも、価格が下がっているときの方が多くの口数を購入できる

投資信託をマイナスのまま売却するか、プラスになるまで待つかの判断に加え、売却する場合は税金面での影響も考慮する必要があります。投資信託の売却には税金が関わるため、基本的な知識を持っておくことが大切です。

利益が出た場合は課税対象となりますが、逆に損失が出た場合は「損益通算」や「繰越控除」と制度を活用できる可能性があります。制度を理解し、適切に対応すると、投資における税負担を最適化できます。

投資信託を売却して利益（譲渡益）が出た場合、その利益には「申告分離課税」が適用されます。税率は一律20.315%（所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%）です。

税金の計算方法は以下のとおりです。

譲渡益（売却価格 - 取得価格 - 売却手数料）× 20.315% = 納税額

たとえば、100万円で購入した投資信託を120万円で売却した場合、譲渡益は20万円となり、約4.063万円（20万円×20.315%）の税金がかかります。

投資信託の税金に関して押さえておきたいポイントには、以下があげられます。

1. 分配金にも課税される：投資信託から分配金が支払われた場合も、同じく20.315%の税率で課税される
2. 特定口座と一般口座の違い：特定口座（源泉徴収あり） 金融機関が自動的に税金を計算・納付、特定口座（源泉徴収なし） 確定申告が必要、一般口座：確定申告が必要
3. NISA口座での運用：NISA（少額投資非課税制度）を利用すれば、年間の投資枠内で得た利益や分配金は非課税になる
4. iDeCo（個人型確定拠出年金）：iDeCoで運用している投資信託は、運用益が非課税になるほか、掛金も所得控除の対象となる。ただし、60歳までは原則として引き出せない

投資信託を売却して損失が出た場合、確定申告をすると「損益通算」や「繰越控除」の制度を活用できます。

損益通算とは、その年に発生した他の譲渡所得や配当所得との相殺ができる制度です。たとえば、A投資信託で10万円の損失が出たが、B株式で15万円の利益が出た場合、損益通算によって課税対象額を5万円に減らすことができます。

損失を出した年に十分な利益がない場合には、繰越控除を利用できます。これは、損失を最大3年間繰り越して、将来の利益と相殺できる制度です。

確定申告の際の注意点は以下のとおりです。

1. 申告期限を守る
2. 必要書類の準備
3. e-Taxの活用
4. 専門家への相談

投資信託がマイナスになると、多くの人は不安になり、早急に対策を講じたくなります。しかし、感情的な判断は投資ではマイナスに働くことが少なくありません。

投資の世界では「長期・分散・積立」の基本原則が重要視されています。原則に従い、冷静な判断をすると、一時的なマイナスに動揺せず、長期的な資産形成を実現できる可能性が高まります。

マイナスの状況でも焦らずに対応するためのポイントを押さえて、賢明な投資家としての判断力を養いましょう。

投資信託は短期的な値動きではなく、長期的な成長を目指す金融商品です。歴史的に見ると、株式市場は短期的には上下動を繰り返しますが、長期的には上昇する傾向にあります。

長期投資の視点を持つことの重要性は以下の点にあります。

• 複利効果の恩恵：長期間投資を続けることで、「利益に対する利益」の複利効果を享受できる
• 短期的な変動の影響を小さくする：投資期間が長いほど、短期的な市場の変動がポートフォリオ全体に与える影響は小さくなる
• 時間分散のメリット：長期投資では、時間をかけて投資すると、「買いタイミング」のリスクを分散できる

投資信託がマイナスになる状況では、分散投資の重要性を再認識すべきです。分散投資とは、資金を複数の異なる資産クラスに分けて投資し、リスクを抑える手法です。

効果的な分散投資のポイントは以下のとおりです。

• 資産クラスの分散：株式、債券、不動産（REIT）など、性質の異なる資産に分散投資すると一つの資産クラスが下落しても、他の資産クラスがその影響を緩和する可能性がある
• 地域の分散：日本だけでなく、米国、欧州、新興国など、世界各地の市場に投資すると、特定の国や地域の経済状況に左右されにくくなる
• 時間の分散：一度に全額を投資するのではなく、時間をかけて少しずつ投資すると、市場のタイミングリスクを軽減できる

投資信託がマイナスになったとき、単に放置するだけでなく、定期的に運用状況を見直すことも大切です。見直しの頻度は、四半期に一度や半年に一度など、自分のスタイルに合わせて設定しましょう。

効果的な見直しのポイントは以下のとおりです。

1. 投資目的や目標を再確認する：当初の投資目的（老後資金、教育資金など）に変化がないか、目標金額や達成時期は適切かを確認
2. アセットアロケーションを確認する：株式や債券などの資産配分が、自分のリスク許容度や投資目標に合っているかを見直す。年齢や家族構成、収入状況の変化に応じて調整も検討する
3. 個別の投資信託のパフォーマンスを評価する：各投資信託のパフォーマンスを同じカテゴリーの他の商品と比較し、期待どおりの結果が出ているかを確認
4. 信託報酬やコストを見直す：支払っている信託報酬やコストが適切かどうかを確認し、必要に応じて低コストの商品への乗り換えも検討

投資信託の運用で迷いや不安を感じることは誰にでもあります。とくにマイナスになった時は、感情的になりがちで冷静な判断が難しくなることもあります。そんな時こそ、専門家のアドバイスを求めることが大きな助けになります。

専門家は豊富な知識と経験を持ち、客観的な視点からアドバイスを提供してくれます。投資の世界は複雑で、常に変化しています。一人で悩むよりも、プロのサポートを受けながら資産運用の道を歩むことで、より効果的な投資戦略を立てられます。

ファイナンシャルアドバイザー（FA）は、個人の資産運用や家計の見直しをサポートする専門家です。投資信託がマイナスになった際に相談すると、多くのメリットが得られます。

FAに相談する主なメリットは以下のとおりです。

• 客観的な視点からのアドバイス：感情に左右されず、データや実績に基づいた冷静な判断をサポートしてくれる
• 個人に合わせたカスタマイズ：年齢、収入、家族構成、リスク許容度などを総合的に考慮し、あなたの状況に合った最適な運用プランを提案してくれる
• 最新の市場動向や金融商品の情報提供：常に変化する金融市場や新しい金融商品など、最新の情報を得られる
• 長期的な資産形成の視点：短期的なマイナスに一喜一憂するのではなく、長期的な資産形成の視点からアドバイスをもらえる

投資信託の運用に悩んだ際、マネーキャリアのような無料相談サービスは非常に役立ちます。マネーキャリアでは、経験豊富なファイナンシャルアドバイザーに無料で相談できるサービスを提供しています。

マネーキャリアの無料相談サービスの特徴は以下のとおりです。

• 完全無料で利用可能：相談料や成約手数料などは一切かからず、気軽に専門家のアドバイスを受けられる
• 中立的な立場からのアドバイス：特定の金融機関や商品に縛られない中立的な立場から、最適なアドバイスを提供してくれる
• オンライン相談にも対応：忙しい方でも自宅や外出先から気軽に相談できるよう、オンライン相談にも対応
• 幅広い相談内容に対応：投資信託のマイナス対応だけでなく、iDeCoやNISA、ライフプランニングなど、幅広い金融相談に対応

本記事では、投資信託がマイナスになった際の原因、対処法、税金面での注意点、冷静な判断のためのポイント、専門家への相談方法を解説しました。

投資信託は長期的な資産形成に適した金融商品ですが、市場の変動によってマイナスになることもあります。しかし、適切な知識と冷静な判断があれば、一時的なマイナスに振り回されることなく、効果的な運用を続けることができます。

▼投資信託がマイナスになる主な理由

・市場環境の変動による組入資産の価格下落

・信託報酬や手数料による資産の目減り

・運用期間が短すぎる（長期投資の視点が欠けている）

・分散投資が不十分

投資信託のマイナスに対処するためには、「放置する」「売却する」「買い増しする」と3つの選択肢があります。どの選択肢が最適かは、投資目的、時間軸、リスク許容度などによって異なりますが、長期・分散・積立の基本原則を守ることが重要です。

マイナスの投資信託を売却する場合は、税金面での影響も考慮する必要があります。とくに損失が出た場合は、確定申告による損益通算や繰越控除の活用を検討しましょう。

冷静な判断のためには、長期投資の視点を持ち、分散投資でリスクを抑え、定期的に運用状況を見直すことが大切です。短期的な値動きに一喜一憂せず、自分の投資目標に沿った運用を心がけましょう。

投資の道は一人で歩むのが難しいときは、ファイナンシャルアドバイザーなどの専門家に相談すると、客観的なアドバイスを得られます。マネーキャリアのような無料相談サービスを活用して、自分に合った最適な運用方法を見つけることも選択肢の一つです。