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記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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複数の金融機関・口座からiDeCoを利用することはできるのか?

こんにちは、マネーキャリア編集部です。


老後の生活は2,000万円以上必要ともいわれ、老後に備え「iDeCo」への関心が高まっています。


iDeCoは、支払った掛金(拠出金)を運用し、60歳以降に掛金とその運用で得た利益を合わせて受取れる私的年金制度です。


iDeCoの掛金は金融機関を通して運用しますが、複数の金融機関や口座を利用できません。


しかし、複数の運用商品や銘柄を選ぶことは可能です。


そこで、先日このようなご相談をいただきました。

今、iDeCoの投資先は1つなのですが、複数の運用商品を選ぶ際の注意点はありますか?
iDeCoを始めようと思っているのですが、投資先を複数選ぶ予定です。選ぶポイントはありますか?

iDeCoの毎月の掛金額は最低5,000円から設定でき、人によって12,000円・20,000円・23,000円と最高額が変わります。


iDeCoは、投資状況に応じて60歳以降に受取れる給付金額が変わるため、投資先は慎重に選びたいところです。


そこで今回は、iDeCoの投資先を決める際に注意してほしいポイントや、投資先を複数に変える際の注意点について解説します。


iDeCoを検討している方や、投資先を複数に変更しようとしている方のお手伝いになれば幸いです。

iDeCoは複数の運用商品・銘柄を運用することはできる!

iDeCoは、掛金の運用を複数の運用商品に割り当てることが可能です。


iDeCoは、掛金を運用することでより老後の資金を増やせます。そのため、投資先の選択が重要です。


iDeCoで投資できる商品は、「元本確保型商品」と「投資信託」の2種類から自分で選択します。


「元本確保型商品」とは、定期預金や保険であり掛金の元本が減らない分、増える幅も少ないのが特徴です。


「投資信託商品」とは、ファンドマネージャーがiDeCoを利用している方の掛金を集め運用資金とし、株式や債券などに分散投資する商品です。


順調にいけば元本確保型商品よりも利益を生むことが期待できます。しかし、あくまで運用なので元本割れし、60歳以降に受けとる金額が総掛金額よりも少なくなる可能性があります。


iDeCoで扱われる投資信託の商品を大きく分けると、以下の5種類があります。

  • 国内株式型
  • 海外株式型
  • 国内債券型
  • 海外債券型
  • バランス型

例えば、5種類の中でリターンが大きいのは、「海外株式型」ですが同時に元本割れしてしまうなどリスクも大きいのが特徴です。


また、「国内債券型」はリスクが低いものの、リターンも小さくなってしまいます。そして「バランス型」は、他4種類の投資先をバランスよく組み合わせて運用するタイプです。


このように、それぞれ投資先によってリターンとリスクが異なるため、iDeCoでは投資先を複数選択してリスクマネジメントを行うことも可能です。


また、年齢などライフスタイルに応じて、運用先を変更することもできます。


しかし、これまで投資の経験や知識がない場合、投資先を選ぶことにハードルが高く感じてしまうという方も少なくありません。


まずは、興味を持った商品の資料請求をしてみましょう。

興味を持った商品の資料請求をしよう

これからiDeCoへ加入する方は、複数の金融機関を選んで資料請求をしましょう。金融機関の多くは、iDeCo向けの投資商品として20本程度の投資先を持っています。


金融機関によって保有するiDeCo向けの投資商品が異なるため、比較してみるのがおすすめです。


iDeCoは、複数の金融機関の口座を同時に利用することができません。保有するiDeCo向けの投資商品によって、金融機関を選ぶきっかけにもなるでしょう。


また、資料を確認することで不明な点が明確になり確認がしやすくなります。

iDeCoの投資先を複数に変えるときの注意点を2つ解説!

すでにiDeCoの運用を開始している方も安心してはいけません。


運用状況や今の年齢、生活スタイル、老後の資金の目標などに合わせて運用商品を再検討する必要があります。


iDeCoは、投資状況に応じて資産割合を変更することが可能です。


iDeCoの掛金50%を元本確保型商品、残りを海外株式型で運用していたものの、株価が上がり投資信託商品の資産割合が2倍になった場合、元本確保型商品の資産割合を増やすことで、安定した資産を確保しつつ運用することもできます。


また、60歳まであと数年なのでこれまでの積極的な運用ではなく、リスクを減らして運用する方法へ切り替えるという変更も可能です。


運用商品を見直す場合は、金融機関によるもののインターネットや電話で行えるため、運用状況を気にかけておくことが大切です。


ただし、投資商品を複数に変更する場合、注意してほしい点が2つあります。

  • 手数料に気をつける
  • 基準価格を確認する

それぞれの注意点について詳しく解説します。

①手数料に気をつける

iDeCoの運用商品を変更する際には、手数料が発生することがあります。


iDeCoの運用商品を変更する場合、「配分変更」と「スイッチング」の2つの方法があります。


配分変更とは、これから支払う掛金で投資する商品の種類や配分を変更する方法です。すでに運用している商品は変更されず、そのまま運用が続きます。


スイッチングとは、現在運用しいる商品を一度売却し、別の商品へ運用を変える方法です。毎月の掛金の運用先は変わりません。


例えば、A商品で運用していた30万円でB商品を購入し、その後の毎月の掛金はA商品で運用することになります。毎月の掛金もBで運用したい場合は、配分変更の手続きが必要です。


スイッチングにより運用商品を変更した場合に注意してほしいのが、「手数料」です。


運用商品の売却時には「信託財産留保額」、購入時には「販売手数料等」の手数料かがかるケースがあります。


信託財産留保額とは、運用商品を換金した場合に負担する手数料です。商品によって信託財産留保額が差し引かれるものがあります。


売却・購入した運用商品によってかかる手数料が異なるため、変更する前に確認をしておきましょう。

②基準価額を確認する

運用商品を変更する場合、その商品の「基準価額」を確認します。


基準価額とは、投資信託の値段のことであり、1口もしくは1万口当たりの金額で表示されています。


基準価額は、現在の投資先や、購入しようとしている投資先の時価評価額の計算などに用いられます。

基準価額×(保有口数÷1万口)=時価評価額

例えば、10万口保有し1万口当たり10,000円の基準価額であった場合、10,000円×(10万口÷1万口)で100,000円が時価評価額となります。


しかし、この基準価額は日々変動しています。


金融機関によるものの変更手続きには時間がかかるケースが多く、変更しようと思ったときには利益があったとしても、手続きが完了した際には元本割れをしてしまうこともあります。


タイミングによって、損をしてしまう可能性があるため基準価額をよく確認しながら見定めましょう。

iDeCoの投資先の選び方のポイント3つを解説

ここからは、iDeCoの運用商品の選び方のポイントを紹介します。


運用商品によって、コストが高い、リスクが高いなど選びにくい商品もあるため、自分で見極めることも大切です。


iDeCoの投資先は、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

  • 元本確保型か元本変動型を決める
  • リスクとリターンを確認する
  • 投資配分を決める
それぞれについて詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。

①元本確保型か元本変動型を決める

iDeCoの運用商品を決めるためには、先述した「元本確保型商品」か元本変動型である「投資信託商品」か選択する必要があります。


それぞれの特徴をよく理解した上で投資先を選びましょう。


元本確保型商品

「絶対に損をしたくない」「資産はある程度確保しておきたい」という方は、「元本確保型商品」を選ぶのがおすすめです。


元本確保型の主な商品は「定期預金」と「保険」す。しかし、昨今の日本では定期預金による利子などの大きいリターンは望みにくいと言わざるを得ません。


しかし、iDeCoの特徴である所得控除等の税負担の軽減を受けられます。


金融機関で定期預金を利用するよりも節税効果が期待できるため、節約しながら安定した「老後資金」を目的に資産形成したい方にもおすすめです。


元本変動型商品(投資信託)

「もっと老後の資金を用意したい」「大きなリターンを得たい」という方は、元本変動型商品

がおすすめです。


iDeCoの元本変動型商品は投資信託です。


元本確保型商品とは違い、大きいリターンが期待できる反面、元本割れを起こす可能性があります。


投資信託には株式と債権がありますが、株式は「インデックスファンド」もしくは「アクティブファンド」から選びます。


インデックスファンドとは、日経平均株価、ダウ平均株価といったさまざまな株価指数などと同じ値動きになることを目指すコストを抑えた投資信託です。


アクティブファンドは、インデックスファンドを上回るように運用する分、コストが高い傾向にある投資信託です。


それぞれのファンドは、先述した国内株式型・海外株式型などといった投資する地域を選べます。


元本確保型商品+元本変動型商品(投資信託)

「損をしたくないけど、リターンも期待したい」「ある程度の資金を残し、運用もしたい」といった方には、元本確保型商品と投資信託の併用も可能です。


運用だけでは心配という方も、資金をある程度確保しながら運用し資産を増やすことも期待できます。


iDeCoの「運用し資産を増やす」といったメリットを、安心を確保しながら利用したい方におすすめです。

②リスクとリターンを確認する

iDeCoを運用するには、リスクとリターンをよく理解する必要があります。


一般的に最もリスクとリターンが低いのは元本確保型商品、最もリスクとリターンが高いのがアクティブファンドの海外株式型です。


掛けた金額以上の老後資金を残したいというのは、誰もが望むことでしょう。そのためには投資信託に挑戦する必要がありますが、元本割れは避けたいところです。


そこで、iDeCoの運用商品を選ぶ際の材料のひとつになるのが、「騰落率(とうらくりつ)」です。


騰落率とは、過去一定期間内に起こった値上がり・値下がりについての指標を表しています。


例えば、10,000円が1ヵ月後に15,000円に値上がりした場合、騰落率は15%と表示されます。


投資先の銘柄の騰落率を確認することで、リスクを軽減しリターンを予測した商品を選びやすくなります。

③投資配分を決める

複数の投資先を選ぶ場合、投資配分をよく検討しましょう。


例えば、投資してリターンを狙いつつ守る部分は守るといった場合、値動きの大きい海外株式への投資割合を大きくし、残りは債権や為替ヘッジ機能つきの海外債券やバランス型を取り入れるなど、「分散投資」を検討しましょう。


年齢的に安定よりもまで攻めた投資をして大きいリターンを狙いたい場合は、海外株式と国内株式に高い割合をおき、元本確保型商品で老後資金を用意するという方法もあります。


iDeCoの以外で老後の資金を準備している方は、iDeCoのは大きいリターンで攻めの姿勢で投資一択で利用するのもひとつです。


ライフスタイルや年齢によって、投資配分を検討し選択しましょう。

まとめ:iDeCoは複数商品を運用できるが、金融機関はひとつ!

この記事では、iDeCoを複数の運用商品を利用する場合のポイントや注意点や、投資先の選び方などについて解説しました。


iDeCoは運用商品を分散して投資できます。しかし、利用できる金融機関・口座はひとつです。金融機関によって保有する運用商品が異なるため、利用する金融機関を慎重に選びましょう。


そのため、次のようなポイントに注意して投資先を検討してください。

  • 気になる金融機関のiDeCoに関する資料を取り寄せる
  • 手数料や基準価額を確認する
  • ライフスタイルに合った運用方法を決める
  • リスク&リターンを騰落率などを使って検討する
  • 複数の投資先を選ぶ場合は、投資配分を決める
iDeCoは、始めたら60歳まで解約しないのが前提です。そのため、金融機関を選ぶ場合はその特徴はもちろん、保有する銘柄をよく確認してください。

また、iDeCoは自分のライフプランに合わせて複数の投資先を選ぶことで、リターンを期待しながら老後の資金を準備できます。

もし、iDeCoの分散投資に迷ったらマネーキャリアへぜひご相談ください。お金の専門家がお客さまにあったプランを提案させていただきます。

またマネーキャリアでは、iDeCoに関した記事はもちろん、生活に役立つお金に関する情報を複数掲載しています。ぜひご覧ください!