iDeCoの節税効果の仕組みについて解説【iDeCoの3つの節税メリット】のサムネイル画像

▼この記事を読んでほしい人

  • iDeCo3つの節税メリットの仕組みについて知りたい人
  • iDeCo3つの節税メリットの利用方法について知りたい人

▼この記事を読んでわかること

  • iDeCo3つの節税メリットの仕組みについて
  • iDeCo3つの節税メリットの利用方法について
  • iDeCoを利用する際に注意しておきたい点について

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内容をまとめると

  • iDeCoの3つの節税メリットは「iDeCo掛金の全額所得控除、iDeCoから出た利息・運用益が非課税、受け取り時の一定額までの節税効果」
  • iDeCoの節税メリット利用方法を職業や年収別に詳しく解説
  • iDeCoを利用する際に注意すべき点について詳しく解説
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iDeCoには3つの節税メリットがあります。その節税メリットの仕組みを正しく理解して活用しないとiDeCoを利用するメリットがなくなるどころか損する可能性もあります。本記事ではiDeCo3つの節税メリットの仕組みについて解説し、利用方法や注意点をまとめました。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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iDeCoの3つの節税メリットがすごい!【その仕組みについて解説】

こんにちは、マネーキャリア編集部です。


「退職金や年金だけでは老後の資金が足りない」という声をよく耳にする方も多いのではないでしょうか。


「人生100年」ともいわれている昨今の日本では、老後の資金不足がたびたび話題になっています。


そこで注目を集めているのが、個人型確定拠出年金「iDeCo」です。


iDeCoは、毎月お金を積み立て運用することで将来受け取る年金を増やしていく私的年金ですが、節税効果が高いことからも加入する方が増えています。


先日、iDeCoへの加入を検討している方々からこんな質問を受けました。

iDeCoで節税できるって本当ですか?どれくらいお得になりますか?
iDeCoの節税効果を十分に活用するにはどうすればいいですか?

今回は、iDeCoの節税効果について、節税の仕組みも含めて解説します。


iDeCoは、貯蓄して老後資金を蓄えるよりも節税効果が高く、より多くの資金も残せる可能性がある私的年金です。


しかし、一方でよく理解しておかなければいけない注意点もあります。


iDeCoの注意点や、iDeCoが向いている人、不向きな人の特徴についても触れていくので、これからiDeCoの加入を検討している方のお力になれれば幸いです。

節税ができる年金制度「iDeCo」について解説

まずは、「iDeCo」について詳しく理解していきましょう。


iDeCoは、毎月支払う掛金を運用し資金を増やしながら60歳以降に「老齢給付金」を受け取ることを目標とした私的年金です。


保険会社が提供する「個人年金保険」と大きく違うのが次の3つです。

  • 運用して資金を増やすこと
  • 60歳まで基本解約ができないこと
  • 死亡保障などの生命保険がないこと

iDeCoは、解約するためにはさまざまな条件をすべてクリアしなくてはいけません。その条件がとても難しいものであるため、基本的に60歳まで解約できないと覚悟した上で加入する必要があります。


iDeCoへの加入は、iDeCoと取り扱う運営管理機関(金融機関)で加入し運用を行います。


毎月の掛金は最低5,000円からとなり、公的年金の区分や職業によって上限額が決められています。

公的年金区分月額上限年額上限
第1号被保険者68,000円816,000円
第2号被保険者12,000円
20,000円
23,000円
144,000円
240,000円
276,000円
第3号被保険者23,000円230000円

第2号被保険者の場合、公務員の方は12,000円、会社員の方は企業年金の有無によって12,000円・20,000円・23,000円と上限額が分かれます。


5,000円~上限額内であれば1,000円単位で掛金の設定が可能です。


運用した資金は老齢給付金として、60歳以降に年金もしくは一時金としてまとめて受け取るか選択できます。年金での給付最長期間は20年間です。

iDeCoの大きな特徴である「3つの節税メリット」の仕組みとは

iDeCoの大きな魅力である「節税メリット」の仕組みはどのようになっているのでしょうか。


iDeCoの節税メリットは「掛金の支払(拠出時)」「運用」「受け取り」に発揮します。


節税メリットの内容や仕組みについて詳しく解説します。

iDeCoへの拠出時の掛金は全額所得税控除になる

iDeCoの掛金の支払時のメリットは、掛金が「所得税控除になる」ことにあります。


所得控除されると、課税対象の所得が減り、その結果当年分の所得税と住民税が軽減されます。


iDeCoは掛金全額が所得控除の対象となるため、掛金が多ければ多いほど節税効果が期待できます。


そのため、貯蓄で老後資金を用意するよりも節税することが可能です。

iDeCoから出る運用益や利息は非課税になる

iDeCoで得た運用の利益や利息には税金がかからないのも、大きな節税メリットです。


通常、投資信託で運用し、利息やリターンが出た場合は20.315%もの税金がかかります。例えば、100万円の利益が出た場合、203,150円も税金が差し引かれることになるのです。


しかし、iDeCoは税金がかからないため、100万円の利益をそのまま運用へと回すことが可能です。


一般的な投資信託では税金がかかるため、iDeCoを通し運用た方が節税メリットも受けられます。

受け取り時に一定額までの控除がある

iDeCoは、基本的に60歳から「老齢給付金」の受け取りが始まります。受け取り方法は、年金や一時金といった方法から選択できます。


公的年金は税法上雑所得となりますが、iDeCoの老齢給付金の場合は一時金は「退職所得控除」、年金は「公的年金等控除」の対象となります。


いずれの受け取り方法を選らんだとしても税制優遇として控除を受けられるため、老後にも節税メリットがあります。

iDeCoへの掛金の全額所得控除になる節税の仕組みを詳しく解説

iDeCoの掛金が全額所得控除対象であることは紹介しました。


そこで、具体的にどのような流れで節税となるのか、その仕組みを見ていきましょう。

iDeCoの掛金の全額所得控除によって減税される流れ

iDeCoの掛金が軽減される仕組みは、会社員を例として以下のような流れになります。

  1. 掛金の納付
  2. 国民年金基金連合会より「掛金払込証明書」を受け取る
  3. 年末調整時に「掛金払込証明書」を提出
  4. 課税所得控除を受け所得税の還付(当年)や住民税の軽減(翌年)を受ける

このように1年間の「掛金払込証明書」を年末調整時に会社へ提出することで、所得税控除されるため、特に手間はありません。


また、自営業の方など個人払込で税金を納めている方は、「確定申告」で手続きを取ります。

iDeCoの掛金の全額所得控除によって減税された例

そもそも、所得税や住民税は、年収から各控除額を引いた「課税対象」となる所得を基に算出します。そのため、課税所得が大きければ大きいほど税金が高くなります


つまり、年収より控除される金額が多ければ多いほど、課税所得が少なくなり税金が軽くなるのです。


以下のような条件の方が、iDeCoへ加入した場合と加入しなかった場合の税金を比較してみましょう。

  • 職業:会社員
  • 年齢:40歳
  • 年収:600万円
  • iDeCoの掛金:月額2万円、年額240万円
  • 所得税:10%
  • 住民税:10%

まず、iDeCoへ加入しなかった場合の課税職は298万円に対し、iDeCoを加入した場合は、課税所得が274万円となります。


次に、課税所得に対し所得税と住民税を算出してみましょう。

iDeCo加入なしiDeCo加入あり
所得税298,000円274,000円
住民税298,000円274,000円
合計596,000円548,000円

住民税は自治体によって異なるのであくまで仮定ではありますが、iDeCoへの加入あり・なしでは、年間48,000円も減税できるのです。


月にすれば4,000円ですが、仮に20年支払続けたとすると、単純に考えると960,000円もの節税効果があるということになります。

課税所得別にiDeCoの掛金の全額所得控除の減税例を紹介

前述で例として挙げたのは所得税・住民税が共に10%である場合でした。


住民税率は各自治体によって異なるものの、所得税率は課税所得額に応じて5%から45%の7つの段階に分かれています。


そこで、課税所得額別の所得税率と掛金額が12,000円、23,000円、68,000円だった場合の節税額を紹介します。ただし、住民税率は一律10%とし、所得税・住民税の減額を合わせた金額を減税としています。


【掛金月額12,000円の場合】

課税所得所得税率減税
195万円未満5%21,600円
195万円~330万円未満10%
28,800円
330万円~695万円未満20%43,200円
695万円~900万円未満23%47,520円
900万~1,800万円未満33%61,920円
1800万円~4,000万円未満40%72,000円
4,000万円以上45%79,200円

【掛金月額23,000円の場合】

課税所得税所得税率減税
195万円未満5%41,400円
195万円~330万円未満10%55,200円
330万円~695万円未満20%82,800円
695万円~900万円未満23%91,080円
900万円~1,800万円未満33%118,680円
1,800万円~4,000万円未満40%138,000円
4,000万円以上45%151,800円

【掛金月額68,000円の場合】

課税所得税所得税率減税
195万円未満5%122,400円
195万円~330万円未満10%163,200円
330万円~695万円未満20%244,800円
695万円~900万円未満23269,280円
900万円~1,800万円未満33%350,880円
1,800万円~4,000円未満40%408,000円
4,000万円以上45%448,800円

掛金額や所得税率が高ければ高いほど、減税額も多いため税金が軽くなるのが分かります。


iDeCoを始めた場合、自分の課税所得や掛金額に対しどれくらい節税メリットを受けられるのか、目安にしてください。

職業別にiDeCoの掛金の全額所得控除の減税例を紹介

では、職業別に全額所得控除の減税例を見ていきましょう。会社員・公務員・飲食店経営者(自営業)の方の条件は以下のようになります。

【会社員】

  • 年齢:40歳
  • 年収:500万円
  • 掛金月額:20,000円
  • 掛金年額:240,000円

【公務員】

  • 年齢:40歳
  • 年収:600万円
  • 掛金月額:12,000円
  • 掛金年額:144,000円

【飲食店経営者】

  • 年齢:40歳
  • 年収:900万円
  • 掛金月額:68,000円
  • 掛金年額:816,000円

条件を基に、毎年・60歳までの20年間の節税額を、運用利率3%で算出しました。

年間節税額20年間の節税額
会社員48,000円960,000円
公務員28,800円576,000円
飲食店経営者269,280円5,385,600円

20年間iDeCoへ加入すると、会社員で約100万円、自営業者で約540万円もの節税メリットを受けられます。


これだけの節税効果が期待できるのは、iDeCoの強みです。

iDeCoから出る利息や運用益が非課税になる節税の仕組み詳しく解説

iDeCoで得た運用益や利息は、すべて非課税になるため節税効果があると前述しましたが、具体的にどの程度節税できるのか見ていきましょう。


ここからは、iDeCoで得た運用益や利息が非課税になった場合、どのような節税効果があるのか、その仕組みについて解説します。

「利息や運用益が非課税」をそうでない場合と比較して解説

投資信託では、運用益や利息に対して20.315%もの税金がかかります。iDeCoは非課税のため、運用益によって一般的な投資信託と大きな差が生まれる可能性があります。


そこで、具体的にどの程度差が発生してしまうか、比べてみましょう。

iDeCo投資信託
税率20,315%
年間運用益100,000円100,000円
税金0円20,315円
差引運用益100,000円79,685円
20年運用益
2,000,000円1,593,700円

※運用益の変動は含まれておらず、年間運用益が常に10万円だった場合の試算


20年間で406,300円もの節税効果が得られることになります。


運用益や利息が大きければ大きいほど節税効果が見込まれるため、iDeCoは投資信託よりも節税メリットを期待できるでしょう。

iDeCoの運用益が非課税になる例を紹介

iDeCoは、60歳まで長期的で運用を続けるため、運用益の節税効果はより大きくなりやすくなります。


その例として、運用利率3%・投資信託の税率20.315%とし、以下の条件の方が60歳まで運用した場合の、運用益に対する節税額を見ていきましょう。


【23歳 年収280万円 公務員 月額掛金12,000円】

金額
積立期間32年(384ヵ月)
月額掛金12,000円
総掛金額4,608,000円
総運用利益3,113,134円
運用時の総節税額632,434円
【35歳 年収480万円 会社員 月額掛金20,000円】
金額
積立期間24年(300ヵ月)
月額掛金20,000円
総掛金額6,000,000円
総運用利益2,920,156円
運用時の総節税額593,230円
【45歳 年収650万円 会社員 月額掛金23,000円】
金額
積立期間15年(180ヵ月)
月額掛金23,000円
総掛金額4,140,000円
総運用利益1,080,372円
運用時の総節税額219,478円
(※)日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社のシミュレーションにて算出
(※)所得控除は考慮していません。

月額掛金が少なくても、積立期間が長ければ長いほど運営時の節税効果が高いことが分かります。

iDeCoの受け取り時には一定額までの節税効果の仕組みを詳しく解説

iDeCoは、60歳になると「老齢給付金」を受け取ります。


しかし、加入経過時期によって受取れる年齢が変わります。詳しくは、以下の表を参考にしてください。

加入期間受給開始可能年齢
10年以上60歳~70歳
8年~10年未満61~70歳
6年~8年未満62~70歳
4年~6年未満63~70歳
2年~4年未満
64~70歳
1ヵ月~2年未満65~70歳

老齢給付金は、受取り方法によって対象となる控除が異なるのでその仕組みを解説します。

iDeCoの老齢給付金の受け取り方法は一括か年金またはそれらの併用

老齢給付金は、次の方法から自分で選択して受け取ります。

  • 一時金(一括受け取り)
  • 年金
  • 一時金+年金
給付金の受け取り方によって対象となる控除が異なり、同時に節税メリットも変わります。それぞれの受け取り方に対する節税の仕組みについて、詳しく見ていきましょう。

iDeCo老齢給付金を一括で受け取る場合の控除について

老齢給付金を一時金として一括で受け取る場合、「退職所得控除」の対象となります。


退職所得控除は、勤続年数に応じて給付額から控除できます。つまり、iDeCoは掛金を支払った期間に応じて控除金額が変わります。


例えば、30年間積み立てた方の退職所得控除は1,500万円だった場合、1,500万円を超えた金額に対し課税されることになります。


iDeCoの一括受け取りにかかる退職所得控除について【計算方法を解説】

iDeCoの老齢給付金を一括で受け取る場合の退職所得控除額は、以下の計算式で求められます。


【掛金を支払った年数20年以下】

40万円×掛金を支払った年数=退職所得控除額

iDeCoを15年間支払い続けた場合、退職所得控除額は40万円×15年で600万円となります。ただし、80万円に満たない場合は一律80万円の控除を受けられます。


【掛金を支払った年数20年超】

70万円×(掛金を支払った年数ー20年)+800万円=退職所得控除額

35年間iDeCoを支払続けた場合1,850万円までが退職所得控除額であり、非課税となります。


課税対象となる退職所得の求め方は、

(収入ー退職所得控除額)×2分の1=課税退職所得

となるため、上記の方がiDeCoで2,000万円の一時金を受け取った場合、2,000万円ー1,850万円×2分の1=75万円が課税対象となります。


大きく節税メリットを受けられる一時金での受け取りですが、退職所得控除の対象となるのは、会社からの退職金も含めての控除額になるという点に注意が必要です。


仮に、勤続40年退職金が2,000万円、iDeCo加入歴が30年一時金900万円の場合、収入は退職金と一時金の合算となり2,900万円です。


勤続年数とiDeCo加入期間がが重なっている期間に関しては、重複して加算できないため、勤続年数は40年、退職所得控除額は22,00万円となります。


その結果、課税対象となるのは350万円と算出できます。

iDeCo老齢給付金を年金で受け取る場合の控除について

iDeCoを年金として受け取る場合、公的年金と同様に雑所得となり「公的年金等控除」の対象となります。


ただし、公的年金等控除の金額は、公的年金やiDeCo等の雑所得以外の収入額によって計算式が異なるので注意が必要です。


また、iDeCoや公的年金などを合算する総合課税によって課税されるため、控除額が低くなる可能性があることを留意しておきましょう。

iDeCoの年金受け取りにかかる公的年金等控除について【計算方法を解説】

iDeCoの年金受け取りにかかる公的年金等控除では、65歳未満か65歳以上か、そして収入によって3段階に計算方法が変わります。


まずは、収入と年齢に応じた公的年金等控除の計算式を確認しましょう。


【①公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が1,000万円以下の場合】

公的年金等の収入額(A)
公的年金等控除額 65歳未満 / 65歳以上
130万円未満60万円 / 110万円
130万円~410万円未満(A)×25%+27.5万円
410万円~770万円(A)×15%+68.5万円
770万円~1000万円
(A)×5%+145.5万円
1,000万円195.5万円

【②公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が1,000万円超2,000万円以下の場合】

公的年金等の収入額(A)公的年金等控除額 65歳未満 / 65歳以上
130万円未満
50万円 / 100万円
130万円~410万円未満(A)×25%+17.5万円
410万円~770万円(A)×15%+58.5万円
770万円~1000万円(A)×5%+135.5万円
1,000万円185.5万円

【③公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が2,000万円超の場合】

公的年金等の収入額(A) 公的年金等控除額 65歳未満 / 65歳以上
130万円未満40万円 / 90万円
130万円~410万円未満(A)×25%+7.5万円
410万円~770万円(A)×15%+48.5万円
770万円~1000万円(A)×5%+125.5万円
1,000万円175.5万円

例として、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が500万円である場合、①の表を使って計算します。


500万円×15%+68.5万円=143,5万円が公的年金控除額となります。

ケース別にiDeCoの受け取り方法の利用例について解説

3通りの受け取り方法がある老齢給付金ですが、それぞれどのように利用しているのでしょうか。


「一時金」として老齢給付金を受け取る場合、退職金代わりに一括で受け取るケースや、退職所得控除による節税メリットを目的とするケースが多いです。


また、「年金」として受け取る場合、60歳で退職し公的年金を受け取る65歳までの無収入期間をカバーする目的で選ぶ方もいます。


そして「一時金+年金」を選択する場合、一時金としてまとまったお金を用意しつつ、残りを公的年金の補填などを目的として利用する方もいます。


iDeCoの老齢給付金の受け取り方は、給付時期が近付いたときに決められるため、加入時に焦って決める必要はありません。

老齢給付金以外のiDeCo給付金について解説

ここまで、60歳を無事迎えられた場合のiDeCoの給付金について解説しました。


しかし、iDeCoには老齢給付金以外にも、「障害給付金」「死亡給付金」があります。


それぞれについて解説します。

障害給付金について

障害給付金とは、法で決められた高度障害状態になった場合に支払われる給付金です。


受け取り方法は、老齢給付金と同じように3つの方法から選択できます。



死亡給付金について

加入者が亡くなってしまった場合に支払われるのが「死亡給付金(死亡一時金)」です。


死亡給付金の受け取り方法は一時金のみであり、遺族が手続きし受け取ることになります。


死亡給付金は、相続税の課税対象となります。500万円×法廷相続人の人数を超える金額である場合、超えた額に対し相続税がかかるので覚えておきましょう。

iDeCoの3つの節税メリットを利用して実際どれほど節税できる?

iDeCoは、掛金を支払ったとき、運用しているとき、給付を受け取るときの3つの節約メリットがあると解説しました。


そこで、3つの節税メリットをすべて利用した場合、どれくらい節税できるのか以下の条件を例に具体的な節税効果を紹介していきます。

  • 職業:会社員
  • 年齢:35歳
  • 年収:650万円
  • 月額掛金:23,000円

35歳会社員は毎月2.3万25年間の運用で約200万以上の節税効果!

まずは、上記の条件を基に、掛金を支払ったときの節税効果について具体的に見ていきましょう。


【掛金を支払ったとき(拠出時)の節税額】

年間掛金額276,000円
総掛金額6,900,000円
月額節税額6,900円
年間節税額82,800円
総節税額2,070,000円
(※)課税所得:330.5万円 所得税率:20% 住民税率:10%で算出

25年間の節税額は、207万円と節税メリットの効果の高さが分かります。

掛金に対しての節税効果は運用成績に関わらないため、確実に実感できる節税メリットといえます。

3つの節税メリットによって25年間で約270万以上の節税効果がある

iDeCoには、掛金の拠出時だけではなく運用時にも大きな節税効果があります。


先述した条件を基に、運用率3%で25年間運用した場合の節税額を算出しました。

総掛金額6,900,000円
総運用益3,358,180円
通常課税額3,358,180円
総節税額682,215円

掛金の支払時と運用時だけで、約275万円もの節税効果があります。


これに加え、老齢給付金の受け取り時にも、公的年金等控除もしくは退職所得控除を受けられるため、より高い節税メリット期待できるでしょう。

職業別に3つの節税メリットを用いた例について解説

節税メリットそれぞれについてシミュレーションをしてきました。


ここからは、職業別に3つの節税メリットを用いた節税額についてシミュレーションしていきましょう。



自営業の方の節税例について【45歳・年収800万・15年利回り3%】

まずは、自営業の方からシミュレーションしていきます。

  • 職業:自営業
  • 年齢:45歳
  • iDeCo加入期間:15年
  • 年収:800万円
  • 課税所得:800万円
  • 掛金額:3万円・6.8万円
  • 運用率:3%
掛金や運用益に係る節税効果について、以下の表にまとめました。


3万円6.8万円
総掛金額5,400,000円12,240,00円
年間節税額118,800円269,280円
総所得節税額1,782,000円
4,039,200円
運用益1,409,181円3,194,143円
通常運用税286,276円648,890円
総運用節税額286,276円
648,890円
総節税額2,068,276円4,688,090円
15年間で最高約469万円もの節税効果が期待できるのは驚きですね。

会社員の方の節税例について【30歳・年収500万・30年利回り3%】

次に会社員の方の節税例を見ていきましょう。

  • 職業:会社員
  • 年齢:30歳
  • iDeCo加入期間:30年
  • 年収:500万円
  • 課税所得:233万円
  • 掛金額:2万円・2.3万円
  • 運用率:3%

掛金や運用益に係る節税効果について、以下の表にまとめました。

2万円2.3万円
総掛金額7,200,0008,280,000円
年間節税額48,000円55,200円
総所得節税額 1,440,000円 1,656,000円
運用益4,454,738円5,122,948円
通常運用税904,980円1,040,727円
総運用節税額904,980円
1,040,727円
総節税額2,344,980円2,696,727円


会社員の方が30年間iDeCoへ加入すると最高約270万円の節税効果があることが分かります

公務員の方の節税例について【40歳・年収600万・20年利回り3%】

公務員の方がiDeCoへ加入した場合について見ていきましょう。

  • 職業:公務員
  • 年齢:40歳
  • iDeCo加入期間:20年
  • 年収:600万円
  • 課税所得:298万円
  • 掛金額:5,000円・1.2万円
  • 運用率:3%
掛金や運用益に係る節税効果について、以下の表にまとめました。

5,000円12,000円
総掛金額1,200,0002,880,000円
年間節税額12,000円28,800円
総所得節税額240,000円
576,000円
運用益441,510円1,059,624円
通常運用税89,693円215,263円
総運用節税額89,693円 215,263円
総節税額329,693円791,263円

公務員の掛金上限額は、会社員の方よりも低いため総節税額としては最高約79万円と低いものの、節税メリットはあります。

専業主婦(主夫)の方の節税例について【35歳・25年利回り3%】

次に専業主婦(主夫)の方をシミュレーションしていきましょう。

  • 職業:専業主婦(主夫)
  • 年齢:35歳
  • iDeCo加入期間:25年
  • 年収:0円
  • 課税所得:0円
  • 掛金額:2万円・2.3万円
  • 運用率:3%

掛金や運用益に係る節税効果について、以下の表にまとめました。

20,000円23,000円
総掛金額6,000,000円6,900,000円
年間節税額
総所得節税額

運用益2,920,1563,358,180円
通常運用税593,230円682,215円
総運用節税額 593,230円
682,215円
総節税額593,230円682,215円

専業主婦の場合、収入がないため所得控除等の節税メリットは受けられません。

所得控除がないのは残念ですが、運用に関わる節税効果はあるため、運用しながら老後の資金を増やしたい方にもメリットは大きいでしょう。

iDeCoで節税メリットを利用をすべき理由4つを解説

ここまでの解説で、iDeCoには節税メリットがあることを十分に理解していただけたのではないでしょうか。


しかし、老後の資金を準備する方法はiDeCoだけはありません。


そこで、あえてiDeCoをおすすめする理由を4つ紹介します。

貯蓄が苦手な方でも強制的に積立できる

老後の資金を準備する方法として、貯蓄しているという方も多いです。


順調に貯蓄できていれば問題ないのですが、中には「貯金がちょっと苦手」という方も少なくないでしょう。


iDeCoは、掛金が自動的に引落される上に、60歳まで引き出すことができないため、半ば強制的に貯蓄している形になります。


貯金ができないと悩んでいる方でも、資産形成しやすいためおすすめです。

投資商品がよく厳選されているから安心

iDeCoは、”投資して運用し増やす”ことを目的とした商品です。


そのため、投資自体に抵抗があるとハードルが高いと感じる方も少なくありません。


一般的な投資商品であれば専門的な知識を必要とするケースもありますが、iDeCoで利用できる投資できる商品は、すでに厳選されています。


投資の知識がない方でも運用し、実績を伸ばすこともできるでしょう。

定期預金や保険商品も選択可能である

iDeCoで扱う商品は投資信託だけではありません。


「投資はちょっと・・・」と思っている方も安心して老後の資金を形成できるよう「定期預金」や「保険商品」もあります。


定期預金や保険商品であれば、投資のデメリットである元本割れを起こすこともありません。


また、通常の貯蓄をするより節税メリットも受けられるため大変お得です。

転職・退職の際にも資産の持ち運びが可能である

iDeCoは、転職・退職しても利用を続けられます。


転職や退職による影響を受けないため、継続して資産を形成して行けるのもメリットとして大きいでしょう。


また、転職などによる収入の変化で掛金額が負担になる場合、年1回まで変更できるので無理なく続けられます。

iDeCoの節税メリットを利用する際に注意すべきこと

節税メリットなど多数の魅力を持つiDeCoですが、利用するためには注意点をよく理解しておく必要があります。


iDeCoへ加入前に知ってほしい注意点について解説します。

iDeCoは原則60歳まで引き出すことができない

iDeCoで積み立てた掛金は、原則60歳まで引き出すことができません。


iDeCoはあくまで老後の資金形成を目的としたものです。そのため、60歳よりも前に引き出したい場合は、定められた条件すべてをクリアしなければいけません。


しかし、その条件すべてをクリアするのは非常に難しく困難なため、加入する際には「60歳まで引き出さない」といった覚悟が必要です。

iDeCoには加入条件があることを確認

iDeCoには、以下のような加入条件があります。

公的年金主な職業条件
第1号被保険者自営業・満20歳~60歳未満
・国民年金保険料を納付している(全額免除や半額免除を受けていない)
・農業者年金基金に未加入
第2号被保険者会社員
公務員
・60歳未満
・企業型確定拠出年金への加入対象者の場合、規約に個人型確定拠出年金に加入できる旨が定められている
第3号被保険者専業主婦(主夫)
学生
・20歳~60歳未満

この条件をクリアしなくては、iDeCoへ加入できないので確認しておきましょう。

iDeCoの最低掛金額は5000円で上限額は加入区分によって異なる

iDeCoの掛金は下限額が5,000円、上限額は職業によって異なり、1,000円単位で上限額まで設定できます。

主な職業掛金上限額
第1号被保険者自営業者68,000円
第2号被保険者会社員12,000円
20,000円
23,000円
第2号被保険者公務員12,000円
第3号被保険者専業主婦(主夫)・学生23,000円

会社員の場合、企業年金等に加入しているかどうかによって、上限額がことなります。


企業年金等とには、確定給付企業年金や厚生年金基金も含まれるため確認をしておきましょう。

iDeCoは元本割れする可能性がある

iDeCoは、運用して元本を増やしより多くの老後の資金を形成することが目的です。


しかし、運用次第で元本割れもあります。


iDeCoで選べる投資先は厳選されているため、大きなリスクがないようなものばかりですが、運用期間が長いので元本割れの可能性もあることを理解しておきましょう。

手数料がかかる【iDeCo特有の口座管理手数料】

iDeCoを始めるには、手数料が発生します。


まず、iDeCoの口座を作る手数料として2,829円、そして口座管理手数料がランニングコストとして発生します。


また、給付を受ける際にも手数料が発生するなど、さまざまなシーンで手数料がかかることがあるので留意しておきましょう。


口座管理手数料は、利用する金融機関によって異なります。iDeCoを続ける上で必ず発生するコストなので、各金融機関を比較するのがおすすめです。

iDeCo所得控除メリットを受けるには年末調整・確定申告が必要

iDeCoの所得控除を受けるには手続きが必要です。


自営業の方や専業主婦(主夫)の方は、確定申告にて申請をしましょう。


会社員や公務員の方は、年末調整での申請が必要です。国民年金基金連合会から送付される「小規模企業共済等掛金振込証明書」を添付して提出してください。

iDeCo掛金の所得税控除の仕組みは節税ではなく課税の繰延である

インターネットなどでiDeCoについて検索していると、「iDeCoは節税ではなく課税の繰延である」という内容を見たことがある方も多いのではないでしょうか。


結論からいえば、繰延ともいえるあいまいなグレーゾーンだといえます。


節税の言葉の意味を正確にいえば、課税対象に低い税率を適用することや、納税額を還付するなど、税そのものの金額を減らすことをいいます。


iDeCoの場合、正式に節税という表現を使えるのは「運用利益に対する非課税」のみです。


老齢給付金を受け取る際には、受け取り方や金額によって課税されます。つまり、掛金の支払時には非課税であっても、給付として受け取るときに課税対象となるので「繰延である」と判断する考え方もあるのです。


とはいえ、本来であれば課税対象であった掛金を非課税対象にすることで、一時の節税になるともいえるのではないでしょうか。


そして、より正確にiDeCoの節税効果を発揮するためには、給付時の受け取り方や金額に注意し、本来の税金額よりも少なくなるよう工夫することが大切です。

iDeCo掛金の所得税控除の仕組みは節税ではなく課税の繰延?

インターネットなどでiDeCoについて検索していると、「iDeCoは節税ではなく課税の繰延である」という内容を見たことがある方も多いのではないでしょうか。


結論からいえば、繰延ともいえるあいまいなグレーゾーンだといえます。


節税の言葉の意味を正確にいえば、課税対象に低い税率を適用することや、納税額を還付するなど、税そのものの金額を減らすことをいいます。


そのため、iDeCoで正式に節税という表現を使えるのは「運用利益に対する非課税」のみです。


老齢給付金を受け取る際には、受け取り方や金額によって課税されます。つまり、掛金の支払時には非課税であっても、給付として受け取るときに課税対象となるので「繰延である」と判断する考え方もあるのです。


とはいえ、本来であれば課税対象であった掛金を非課税対象にすることで、一時の節税になるともいえるのではないでしょうか。


そして、より正確にiDeCoの節税効果を発揮するためには、給付時の受け取り方や金額に注意し、本来の税金額よりも少なくなるよう工夫することが大切です。

iDeCoをおすすめしたい人・おすすめできない人

iDeCoを検討すればするほどメリット・デメリットがわかり、自分に向いているのかどうか分からないという方も多いのではないでしょうか。


そこで、ここまでの解説をふまえて、iDeCoをおすすめしたい人とおすすめできない人の特徴を紹介します。

iDeCoの利用をおすすめしたい人の特徴

iDeCoの利用をおすすめしたいのは、以下の2つの特徴に当てはまる方です。

  • 収入が安定している方
  • 貯蓄や収入に余裕がある方

iDeCoには節税などのメリットがありますが、60歳まで続けなくてはいけないという大きなデメリットがあります。


掛金を支払い続けるには、安定した収入が必要なので会社員や公務員の方に向いているといえます。


また、積立てた掛金を他に流用することができないため、ある程度生活に余裕がある方や、すでに貯蓄しているという方にもおすすめです。

iDeCoの利用をおすすめできない人の特徴

iDeCoをおすすめできない方は、今の生活に金銭的な余裕がない方です。


iDeCoは60歳まで掛金を納めなくてはならず、「生活に苦しいからやめる」といったことができないため、生活をより圧迫してしまう可能性があります。


老後の資金形成はもちろん大切ですが、金銭的に余裕がないと感じる方は、無理をしないことが大切です。

iDeCoの節税シミュレーションを利用してみよう

iDeCoへ加入する前に、シミュレーションを利用してみましょう。


職業や収入、毎月の掛金額などを入力するだけで節税メリットがどれくらいになるのか目安が確認できます。


iDeCoを扱う多くの金融機関のサイトでシミュレーションが可能です。インターネットであれば、自宅にいながら手軽に確認できるのでおすすめです。


また、マネーキャリアは、老後の資金形成を含めiDeCoについて相談しながらシミュレーションをしたいという方にも真摯に対応しています!

iDeCoや資産運用に関する悩みはFPに相談すべき理由

準備中

まとめ:iDeCoの節税メリットの仕組みについて

この記事では、iDeCoの節税メリットの仕組みについて解説しました。


iDeCoには、「掛金の支払」「運用」「給付の受け取り」の3つで節税効果が期待できます。


節税の仕組みについて、覚えておいてほしいポイントを確認しましょう。

  • iDeCoの掛金は全額所得控除の対象
  • 運用益は非課税
  • 年金は「公的年金等控除」一時金は「退職所得控除」の対象
  • iDeCoへの加入期間が長ければ長いほど節税メリットが大きい
  • 給付金の受取り方法によって節税効果が変わるのでよく検討する

iDeCoは、原則60歳まで支払が続くため、メリット・デメリットをよく理解した上で無理のない範囲で始めることが大切です。


マネーキャリアではこの他にも、生活に役立つ記事が対数掲載しています。iDeCoはもちろん、その他の老後の資金形成の方法についても掲載しているのでぜひご覧ください。