iDeCoのリバランスの意味は?リバランスってどうやるの?そんな疑問にお答えします。リバランスとはiDeCoの資産配分を再調整することで、リターンを大きくしリスクを回避する効果があります。iDeCoのリバランス方法やタイミング、リバランスのメリットを徹底解説!
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
- iDeCoのリバランスって何?リバランスのやり方は?
- iDeCoのリバランスとは資産の配分を再調整すること!
- ①iDeCoの運用が続くと掛金や資産残高の配分も変わってくる
- ②株価が高い資産を売って値下がりのリスクを回避することが大切
- ③株価が安い資産を買うことで今後のリターンも期待できる
- ④投資の基本は「安く買って高く買う」ということ
- iDeCoのリバランスを行う2つの方法について解説!
- ①iDeCoのリバランス方法①:スイッチング
- ②iDeCoのリバランス方法②:配分変更
- iDeCoのリバランスはいつ行うべき?適切なタイミングを紹介
- ①iDeCoの加入当初でも配分変更をする必要がある
- ②年齢やライフプランの変化に合わせる「定期型」のリバランス
- ③「定期型」のリバランスは年1回ぐらいにペースがおすすめ
- ④運用状況が当初の目標と大きくずれたら「乖離型」のリバランス
- ⑤長期の運用が必要なiDeCoは「定期型」のリバランスがいい
- iDeCoのリバランスが自動でできるファンドを2つ紹介!
- ①バランス型ファンド
- ②ターゲットイヤーファンド
- iDeCoのリバランスのメリットや行うべき理由を解説!
- ①iDeCoで損をするリスクを下げることができる
- ②リバランスをすることでiDeCoの合理的運用ができる
- ③iDeCoのリバランスは税金がかからない
- iDeCoのリバランスを行うデメリットや注意点も紹介
- ①iDeCoのリバランスは厳密にやり過ぎない
- ②iDeCoのリバランスの頻度が多いとリターンが得られにくい
- ③iDeCoのリバランスで信託財産留保額の手数料がかかることも
- 参考:リバランス以外のiDeCo見直しのやり方を紹介!
- ①掛金の変更(増額・減額)
- ②掛金の拠出停止
- ③iDeCoのリアロケーション
- まとめ:iDeCoの見直しをするなら定期的なリバランスが大切
iDeCoのリバランスって何?リバランスのやり方は?
こんにちは、マネーキャリア編集部です。
iDeCoを運営している国民年金基金連合会の調査では2021年7月現在のiDeCo加入者は約200万人となっています。
近年の投資ブームから口座開設数は年々増加し、多くの方が利用する制度へ成長しました。
そんな中、友人からこのような質問・相談がありました。
このようにiDeCoを始めた方には投資商品のメンテナンスに関して知らない方が多くいます。
せっかく老後資金として積み立てたiDeCoも適切にメンテナンスを行話なければ貴重な資産が減りかねません。
そんな方のため、この記事ではiDeCoのリバランスについて解説していきます。
少しでも皆さんのお手伝いになれば幸いです。
iDeCoのリバランスとは資産の配分を再調整すること!
まずはリバランスについて解説していきます。
リバランスとは資産の配分を調整することをいいます。
リバランスの前にiDeCo・投資の特徴にについて次の項目に沿って解説してきます。
- iDeCoの運用が続くと掛金や資産残高の配分も変わってくる
- 株価が高い資産を売って値下がりのリスクを回避することが大切
- 株価が安い資産を買うことで今後のリターンも期待できる
- 投資の基本は「安く買って高く買う」ということ
①iDeCoの運用が続くと掛金や資産残高の配分も変わってくる
iDeCoの運用・掛金拠出は一般的に長期的に行われます。
長く運用を行なってくると相場の変動によって資産残高の配分が大きく変わっていきます。
また、自身も年齢を重ねることで現金と運用資金の比率も異なってくるので、その都度確認が必要です。
この資産の配分が変わっている状態を放置してしまうと当初に計画した資産運用計画からずれてしまい、目的であった老後資金の準備ができなくなってしまいます。
毎日・毎週することは大変ですが、3ヶ月・半年に一回は資産配分の確認をすることをオススメします。
②株価が高い資産を売って値下がりのリスクを回避することが大切
株式運用を行なっている際には大きく利益が上がるタイミングがあります。
そのタイミングで資産を売却することで値下がりリスクを回避することができます。
こういったタイミングを逃さないためには日常的に相場を確認する必要があり、1ヶ月・2ヶ月に1回は自身の資産状況を確認するようにしましょう。
また、売りたい時に売れるように株式の売買方法は事前に確認しておきましょう。
③株価が安い資産を買うことで今後のリターンも期待できる
先ほどは株価が上がった場合について解説しましたが、株価は下がる場合もあります。
株価が下がったタイミングで株式を購入すると大きなリターンを得ることが期待できます。
このタイミングを見逃さないためにも日常的に相場の確認が必要です。
また株価が下がっている場合であっても、購入後からも下がってしまうケースもあります。
そのリスク・可能性を見極めるには多くの知識・経験が必要となるので、少しずつであっても投資を学んでいきましょう。
④投資の基本は「安く買って高く買う」ということ
先ほどまで株価が「下がった時に買い、上がった時に売る」ということを解説しました。
これは投資の基本であり、資産運用では必ず必要となるものです。
タイミングを逃さずに売買をすることは非常に難しくなりますが、この基本を忘れずにしっかり運用を行なっていきましょう。
iDeCoのリバランスを行う2つの方法について解説!
iDeCo等の長期資産運用においてリバランスは切っても切り離せない存在です。
そんなリバランスを行う際には次の2種類があり、自身で選択する必要があります。
- iDeCoのリバランス方法①:スイッチング
- iDeCoのリバランス方法②:配分変更
①iDeCoのリバランス方法①:スイッチング
まずはスイッチングについて解説します。
スイッチングとはこれまでiDeCoで積み立てた資産を一部・全部を売却し、新たに別の商品を購入することをいいます。
具体的な例を挙げると次の通りです。
- リスク分散を目的にA株式50%・B国債50%として運用を開始
- A株式が値上がりし比率がA株式60%、B国債40%となった
- A株式を売却し、その売却金でB債券を購入して比率50%に戻す
- その際の資産額はA株式の売却益分だけ計画より増加する
ですが、スイッチングを行う際には時間と手数料がかかることがあり、事前に商品の手数料等を確認する必要があります。
②iDeCoのリバランス方法②:配分変更
次は配分変更について解説します。
配分変更とはこれまで積み立てた資産は変更せず、今後の拠出掛金の配分を変えることをいいます。
具体的な例を挙げると次の通りです。
- 毎月iDeCoの掛金をA株式70%、B国債30%としていた
- 年齢を重ね50歳になった時にリスク資産比率を下げることを検討
- 50歳誕生日から拠出する配分をA株式30%、B国債70%とした
iDeCoのリバランスはいつ行うべき?適切なタイミングを紹介
ここまでリバランスの方法について解説しました。
リバランスの方法がわかった場合であってもタイミングが分からなければ適切にリバランスをすることができません。
こちらでは次の項目に沿ってリバランスを行うタイミングについて解説していきます。
- iDeCoの加入当初でも配分変更をする必要がある
- 年齢やライフプランの変化に合わせる「定期型」のリバランス
- 「定期型」のリバランスは年1回ぐらいにペースがおすすめ
- 運用状況が当初の目標と大きくずれたら「乖離型」のリバランス
- 長期の運用が必要なiDeCoは「定期型」のリバランスがいい
①iDeCoの加入当初でも配分変更をする必要がある
iDeCoを始めた際には加入手続きで疲れてしまい「もうこの配分でいいや」と考えてしまう方がいます。
結論からいうと加入当初であっても配分変更は必要です。
多くの方が加入時には
- 株式100%
- 債券100%
- バランス100%
②年齢やライフプランの変化に合わせる「定期型」のリバランス
iDeCo等の長期投資を行う際には年齢・ライフプランに合わせたリバランスが必要です。
リバランスする際に毎日相場を見て、値動き・相場感を確認することは投資初心者にとっては非常に困難です。
ですが、年齢・ライフプランと異なる運用を行なってしまうと老後資金を準備することができなくなってしまいます。
そんな中、オススメできるリバランス方法が定期型リバランスです。
この方法を利用することで相場の確認を一定期間に1回と決め、リバランスを行うことができます。
iDeCoは長期投資となるので「無理せず・継続的に」行うことが大切です。
リバランスと上手に向き合って、資産形成をしていきましょう。
③「定期型」のリバランスは年1回ぐらいにペースがおすすめ
定期型のリバランスを選択する際にはリバランス期間を決める必要があります。
筆者がオススメするリバランス期間は年1回です。
一般的なサラリーマンの場合では1年に1回の昇給に合わせることもでき、家族構成の変更等にも柔軟に対応できます。
また半年・3ヶ月に1回と期間を短くしてしまうと長期投資のリスクが高まり、運用リターンが少なくなってしまう可能性があります。
定期型リバランスを利用する際には期間にも注意して設定しましょう。
④運用状況が当初の目標と大きくずれたら「乖離型」のリバランス
iDeCoのリバランスには乖離型のリバランスがあります。
乖離型リバランスとは自身の資産が予定していたリターンと異なる動きをした場合に行うリバランスです。
一般的には相場の動きによる投資対象の値上がり・値下げによって行われます。
投資の基本としては「安く買って、高く売る」という形なので、相場に連動して売買をすることとなります。
乖離型リバランスを行う際には日常的に保有資産の確認・相場感を観察する必要があり、投資初心者にとっては非常に困難なリバランス方法となります。
⑤長期の運用が必要なiDeCoは「定期型」のリバランスがいい
iDeCoは長期運用による老後資金の準備が目的とされているので、大きなリスク・リターンを求める必要がありません。
ここで紹介した定期型・乖離型のリバランスで比較すると乖離型はハイリスク・ハイリターンとなるケースが多くなります。
長期的に資産形成をしたいといった方には定期型リバランスがオススメとなります。
自身の資産形成目的を明確化し、リスク・リターンを調整していきましょう。
iDeCoのリバランスが自動でできるファンドを2つ紹介!
iDeCoを始めた方にとってリバランスは負担感があり、リバランスをしない方が多くいます。
そんな方には次のファンドを選択することをオススメします。
- バランス型ファンド
- ターゲットイヤーファンド
①バランス型ファンド
バランス型ファンドとは世界各国の投資商品に分散投資を行なっているファンドをいいます。
特定の指数・商品を購入している訳ではなく、相場感・値動きに合わせて金融商品の購入を行なっています。
バランス型ファンドに掛金を拠出することでファンド内で自動的にリバランスを行なってもらえ、自身でリバランスをする必要がなくなります。
「分散投資・リバランスをしたいけど面倒だな」といった方にオススメできるファンドとなっています。
②ターゲットイヤーファンド
ターゲットイヤーファンドとは掛金を拠出している人の年齢・ライフサイクルによって投資対象を自動的に変更してくれるファンドです。
具体例を挙げると
- 年齢が若い・・・リターンが大きい株式に重点投資
- 定年退職前・・・リスクの少ない定期預金に組み替え
iDeCoのリバランスのメリットや行うべき理由を解説!
iDeCoのリバランスを行うことで多くのメリットを得ることができます。
こちらでは次の項目に沿ってiDeCoでリバランスをするメリットについて解説していきます。
- iDeCoで損をするリスクを下げることができる
- リバランスをすることでiDeCoの合理的運用ができる
- iDeCoのリバランスは税金がかからない
①iDeCoで損をするリスクを下げることができる
iDeCoでリバランスを行なった際のメリットとしてはリスクを下げることができます。
iDeCoを行う上でのリスクは相場の変動・選択した金融商品の特性など様々なものがあります。
リバランスを行うことで「拠出した資産が減っているのか・値動きはどうなのか」といった目線で運用成績を確認することができます。
リスクを取りすぎていた場合にリバランスを行うことで長期的なリスクを下げることができ、安全な資産運用をすることが可能です。
iDeCoを始めた際には定期的に資産を確認し、リバランスを行なっていきましょう。
②リバランスをすることでiDeCoの合理的運用ができる
投資を行う際の原則は「安く買って・高く売る」です。
投資初心者には値上がりしている商品を保有していたい、多く買いたいと感じる方が多くいます。
iDeCoの場合は長期投資となるので、一定額以上値上がりした商品は売って安全な資産を購入することをオススメします。
こういった値動き・相場感を確認する際にリバランスは良い機会となり、結果的には合理的な運用ができます。
③iDeCoのリバランスは税金がかからない
iDeCoでリバランスをする際には税金を支払う必要がありません。
一般的な投資売買でスイッチングをした場合には運用益に対して税金がかかり、多くの税金を支払うこととなります。
税金・手数料は長期的な資産運用において大敵となるので、注意が必要ですがiDeCoの場合は気にすることなくリバランスできる点がメリットとなります。
iDeCoのリバランスを行うデメリットや注意点も紹介
iDeCoのリバランスには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。
こちらでは次の項目に沿ってiDeCoでリバランスをするデメリットについて解説していきます。
- iDeCoのリバランスは厳密にやり過ぎない
- iDeCoのリバランスの頻度が多いとリターンが得られにくい
- iDeCoのリバランスで信託財産留保額の手数料がかかることも
1つ1つ詳しく解説していきます。
①iDeCoのリバランスは厳密にやり過ぎない
iDeCoを始めた際には値動きが気になり、リバランスをやり過ぎる方がいます。
iDeCoは長期投資を目的としており、税金がかからないからといって頻繁にリバランスをするものではありません。
また、資産状況・相場感に合わせて厳密に調整をし過ぎると長期投資に疲れ、iDeCo自体を辞めてしまうケースもあります。
iDeCoのリバランスを行う際には期間・目的を決めて、適切に行なっていきましょう。
②iDeCoのリバランスの頻度が多いとリターンが得られにくい
iDeCoのリバランスを頻繁に行うことでリターンが増えると考えている方が多くいます。
実際にはそんなことはなく、適切なタイミングに行うことが大切です。
頻繁にリバランスを行い、スイッチング等を行うことで投資期間が長いといった長期投資の最大のメリットがなくなってしまいます。
デイトレードのように値動きの激しい個別株であれば頻度の多い売買が必要ですが、iDeCoで頻繁にトレードを行ってしまうとリターンを得られなくなってしまいます。
iDeCoのリバランスは適切な時期を決めて、定期的にメンテナンスを行いようにしましょう。
③iDeCoのリバランスで信託財産留保額の手数料がかかることも
iDeCoのリバランス・スイッチングには税金がかからないと解説しましたが、手数料がかかるケースがあります。
その手数料は信託財産留保額といい、投資信託商品を売却した際に必要です。
なので拠出配分変更に対しては関係ありませんが、スイッチング等の投資信託商品を売買する際に徴収されます。
信託財産留保額がある投資信託を頻繁にスイッチングすることで多くの手数料が必要となります。
スイッチングを行う際には投資商品の信託財産留保額を事前に確認しておきましょう。
参考:リバランス以外のiDeCo見直しのやり方を紹介!
ここまでiDeCoの見直し方法としてリバランスについて解説しました。
iDeCoにおいて見直し・計画変更は長期投資として非常に重要です。
こちらではリバランス以外のiDeCo見直し方法を次の項目に沿って解説していきます。
- 掛金の変更(増額・減額)
- 掛金の拠出停止
- iDeCoのリアロケーション
①掛金の変更(増額・減額)
iDeCoの掛金を拠出していく中で「毎月の拠出が苦しい」「余裕があるから拠出額を増やしたい」といった方が多くいると思います。
そんな場合には掛金の変更を行うことをオススメします。
iDeCoでは掛金の変更を行うことが可能となっており、変更可能な頻度は1年に1回です。
掛金の変更の際には金融機関所定の書類を提出する必要があります。
また変更手続きには数ヶ月かかることがあるので、生活が苦しくなる前に余裕を持った計画が必要です。
②掛金の拠出停止
転職・退職によってiDeCoの拠出ができないといった状況の方には掛金の停止がオススメです。
掛金の停止を行なった場合でも拠出済みの資産は運用することができます。
掛金の停止を行う際にも金融機関所定の書類を提出する必要があり、金融機関への問い合わせが必要です。
また掛金を停止した場合には運営管理手数料が必要な金融機関がありますので、事前に確認しておく必要がります。
iDeCoは長期的な継続運用が前提となっているので、基本的には掛金の停止を行うことがない計画を立てておきましょう。
③iDeCoのリアロケーション
リアロケーションと聞いた際にリバランスと混同してしまいがちですが、全く違う意味で使用されます。
リバランスは相場・値動きによってバランスが崩れた配分を元に戻る意味として使われ、リアロケーションは全く異なる配分に変えることを意味します。
リアロケーションは年齢・リスク許容度によって資産配分を変え、効率的に運用することが目的です。
リアロケーションを行う際の注意点としてはリスクを取りすぎない・頻繁にしすぎない等があります。
リアロケーションはiDeCoの運用目的を忘れない程度に利用していくことが大切です。
まとめ:iDeCoの見直しをするなら定期的なリバランスが大切
iDeCoの見直し・リバランスについて解説していきましたがいかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは
- iDeCoで運用する際には定期的なリバランスが重要
- 頻繁にリバランスするとリターンが少なくなる可能性がある
- リバランス効果を持つファンドがある
でした。
現代では老後・金融資産について疑問・不安を持っている方が多くいらっしゃいます。
そんな老後資金を準備するために行う際にはiDeCoの利用がオススメですが定期的な運用資産の見直しが必要です。
見直しの際にはリバランス・リアロケーションを上手に利用することで安定的な資産形成の助けとなります。
この記事内のiDeCoの見直し方法を理解して頂き、少しでも読者皆様の助けになりましたら幸いです。
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