
日銀が発表した長期金利の修正について、住宅ローンだけに関係する話ではなく、長引く円安や物価高など、多くの人の生活に影響を及ぼすとされています。何がどのように変わったのか、私たちの生活へはどのように影響するのかを、わかりやすく解説します。
この記事の目次
目次を閉じる日銀が発表した金融政策の修正とは
日銀が、2022年12月20日の金融政策決定会合で、金融政策の修正を行いました。
これまで日銀は、長期金利が変動する幅をプラスマイナス0.25%程度に抑えてきました。
ところが、この変動幅を、プラスマイナス0.5%程度まで広げると発表しました。
日銀の黒田総裁は、「長期金利操作の修正であって、利上げではない。金融緩和の出口でもない」と明言していますが、とてもインパクトのある発表だったため、世間では今回の発表を「日銀ショック」と呼び、事実上の利上げだと騒がれています。
実際、この発表の直後、長期金利は一時0・460%まで上昇し、午前中に1ドル=137円だった円相場は一時1ドル=133円となりました。
これまでの金融政策はどんなものだったのか
これまで日銀は、日本の景気を回復させようと、大規模な金融緩和を行い、長い期間金利を低く抑えてきました。
この低金利のおかげで、個人にとっては、住宅ローンが低くなることによりマイホーム購入が後押しされてきました。
また、企業でも低金利で融資を受けられるため、設備や人材への投資をしたり、新たな事業への挑戦もしやすくなっていました。
このようなことから、低金利にすることより日本の経済活動を活発にさせようといった狙いがあったのです。
長く続いた低金利がもたらした結果

日本の低金利が続く中、2022年アメリカでは急速な利上げが行われてきました。
アメリカの高金利によって「円よりドルのほうが利子がついてお得だ」と考える人が増え、円を売ってドルを買う人が続出しました。
その結果、異例の円安となってしまい、一時は1ドル150円代といった円相場を記録してしまうこととなったのです。このような円安の影響もあり、物価高もすすんでしまいました。
この円安や物価高を軽減するため、長期金利の変動幅の修正へと、日銀は方針転換をしたのです。
考えられる生活への影響は?
【期待されること】
- 円安が抑制されるのではないか
- 輸入品や海外旅行などの物価高が抑えられるのではないか
【懸念されること】
- 住宅ローンの金利上昇
- 金利が上がることにより企業が設備や人材への投資をしなくなり、企業成績が上がらず、給料が増えないのではないか
上記のようなことが、メリット・デメリットとしてあげられています。
2022年は異例の円安の年となり、「円安=日本にとって不利なこと」というイメージを持たれている方も多いかもしれません。
その円安が抑制されるのだから良いことではないかと思われるかもしれませんが、円安のおかげで輸出が好調となり恩恵を受けていた業界もあります。
円安が進みすぎると輸入で利益が得にくくなりますが、海外に日本製品がたくさん輸出され業績が上がります。
円高が進みすぎると輸入品や海外旅行などがお得になりますが、輸出が進まず日本の経済が冷え込みます。
どちらも一長一短ですが、いずれにせよ私たちの生活に直結することとなりますので、今回の金利修正による影響でこれ以上家計に負担がかからないことを祈るばかりです。
気になる住宅ローンはどうなる?
既に住宅ローンを組んでいる人 | これから住宅ローンを組む人 | |
---|---|---|
固定金利 | 影響なし | 影響あり |
変動金利 | ゆくゆくは影響する可能性あり | ゆくゆくは影響する可能性あり |
大手銀行の固定金利型住宅ローンなどで、早々に金利が上がるとのニュースも出ています。
これから、固定金利の住宅ローンを選択しようとしている人には影響がありそうですね。
一方、短期金利に連動する変動金利については、今回は影響ありません。
ただし今後、短期金利も修正されゆくゆくは変動金利にも影響する可能性は大いにありますので、 油断はできませんね。
まとめ

今回の事実上の利上げとも言える金融政策の修正について、金利が上がれば円安や物価高も落ち着くのではないかと考えられる一方、金利が上がり過ぎると給料は上がらなくなり経済が冷え込むのではないかとの懸念もあります。
それぞれにメリット・デメリットはあるので、今後の動向に乗り遅れることのないよう、いち早く情報をキャッチできるようにしておきたいですね。
また、どのような情勢になっても耐えられる強い家計を作るよう、日ごろの節約や家計見直しを強化していけると良いですね。