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▼この記事を読んで欲しい人
  • がん保険は必要ないと思っている人
  • がん保険が必要かどうかわからない人
  • 貯蓄が少ない高齢者の人
  • がん保険を解約しようと思っている高齢者の人

▼この記事を読んでわかること
  • 高齢者にがん保険は必要か不要か
  • がんにかかる費用
  • がん保険が必要かどうかについて、がん保険が必要な高齢者の人
  • がん保険が必要かどうかについて、がん保険が必要ではない高齢者の人

この記事の目次

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高齢者のがん保険の必要性は薄い


がん保険が必要かどうかについて、結論から言うと、高齢者のがん保険の必要性は薄いでしょう。


高齢者のがん保険の必要性が薄い理由は、大きく分けて以下の3点です。

  • 医療費の自己負担額が少ない
  • 保険料が高い
  • 年金収入がある

まず、高齢者のがん保険の必要性が薄い理由の一つめは、高齢者は医療費の自己負担額が少ないということです。

日本は皆保険で公的健康保険が充実しており、高齢者医療制度や高額療養費制度などがあります。

詳細は次の項で説明しますが、公的医療制度により、日本ではがんになっても医療費の負担はあまり大きくありません。


次に、高齢者のがん保険の必要性が薄い理由のニつめは、高齢者はがん保険の保険料が高いということです。

新規でがん保険に加入する場合、加入年齢が高ければ高いほど保険料が高くなります。

もし、70歳で新規に加入すると、毎月数千円から場合によっては数万円の保険料を支払わなければなりません。


最後に、高齢者のがん保険の必要性が薄い理由の三つめは、高齢者は年金による安定した収入があるということです。

現役世代の場合は働かなければ収入は得られませんが、65歳以上の高齢者は年金がありますので、がんになっても収入があります。

そのため、現役世代のように「生活費と医療費の両方が払えなくなる」ことはありません


以上の理由から、がん保険が必要かどうか検討したとき、高齢者は保険に頼るよりも、貯蓄を優先して医療費に充てる方が使い勝手が良いと言えます。

ただし、貯蓄が十分ではない場合やがん治療に高額な費用をかけたい場合などは、がん保険を活用するのも良いでしょう。

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がん保険の必要性が高い高齢者の方は?



がん保険が必要かどうかについて解説してきました。

やはり自分には必要ないのでは?と思っている高齢者の人もいるでしょう。


この項では、がん保険の必要性が高い高齢者を解説していきます。

がん保険の必要性が高い高齢者の方は以下の通りです。

  • がんの治療費を賄えるほど貯蓄が無い方
  • 治療費で貯蓄が減るというのは嫌だという方
  • 収入がありがん治療の自己負担額が3割の方


それでは、一つずつ見ていきましょう。

がんの治療費を賄えるほど貯蓄が無い方

まずがんの治療費を賄えるほど貯蓄が無いという方はがん保険の必要性が高いといえます。


まず、がんの治療費がどれくらいかかるか見ていきましょう。

厚生労働省「令和元年度医療給付実態調査」によると、がんの1日当たりの平均治療費は入院21,410円、入院外12,477円です。

当然、がんの種類や進行度によって異なりますが、治療の日数が増えれば増えるほど、高額な費用がかかります。


しかし、日本には公的健康保険の高額療養費制度があります。

高額療養費制度とは、1ヶ月の病院での支払いが一定の金額を超えた場合その超過分が払い戻される制度です。 


 自己負担限度額の計算式は下の表をご覧ください。

所得区分自己負担限度額
標準報酬月額83万円以上の方252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
標準報酬月額53万~79万円の方167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 
標準報酬月額28万~50万円の方 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
標準報酬月額26万円以下の方57,600円
低所得者35,400円

(出典:全国健康保険協会


上の表を元に計算すると、例えば65歳で年収が400万円の人の場合、自己負担額は目安ですが1ヶ月87,430円になります。


なお、70歳以上の人の場合は計算式が異なりますので、下の表をご覧ください。

所得区分自己負担限度額
標準報酬月額83万円以上の方252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
標準報酬月額53万~79万円の方167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
標準報酬月額28万~50万円の方80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
一般所得者 個人18,000円(外来)/ 世帯57,600円(外来・入院)
低所得者個人8,000円(外来)/※ 世帯24,000円または15,000円(外来・入院)

(出典:全国健康保険協会

※世帯24,000円は被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合。

世帯15,000円は被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合。


なお、最後に75歳以上が対象となる後期高齢者医療制度についても説明します。


後期高齢者医療制度に加入している人の窓口負担割合は、以前は一般所得者等は1割、現役並み所得者は3割とされていました。

しかし、令和4年10月1日から一般所得者等のうち一定以上の所得がある人は2割に変更になりました。


2割負担となる人が、がん治療で高額な費用がかかった場合、外来のみで月18,000円外来と入院を合わせて月57,600円が上限額です。


以上のデータから、日本は公的保険制度が充実しているので上限がありますが、がん治療にはお金がかかることがわかります。

がん治療に賄える費用がない人はがん保険が必要といえるでしょう。

治療費で貯蓄が減るというのは不安だという方

続いて治療費で貯蓄が減るというのは不安だという方はがん保険の必要性が高いといえます。


65歳以上になると、収入が年金のみという人は少なくありません。


潤沢な貯蓄がある人はともかく、年金はそのまま生活費となりますので、お金に余裕がない人もいるでしょう。

そのような状態で、大切な貯蓄を医療費に回すことは死活問題につながるかもしれません


また、貯蓄が充分にあっても治療費に使いたくない人の中には、すでに使い道が決まっている人もいるでしょう。

例えば、住宅ローンや海外旅行、孫の教育費援助などです。


仮にもしそれらの貯蓄を医療費に回してしまったら、やりたいことができなくなってしまいます。


その点からも治療費で貯蓄が減るのは不安だという方にはがん保険をおすすめします。

収入がありがん治療の自己負担額が3割の方

続いて、収入があり、がん治療の自己負担額が3割の方 もがん保険の必要性が高いといえるでしょう。


まず「後期高齢者医療制度の被保険者の窓口負担割合」の表をご覧ください。

窓口負担割合区分判定基準
1割一般の所得者下記の2割、3割に該当しない場合
2割一定以上の所得がある方同じ世帯の被保険者の中に課税所得が28万円以上の方がいる
かつ
同じ世帯の被保険者の「年金収入」+「その他の合計所得金額」の合計額が以下に該当する
・1人の場合は200万円以上
・2人以上の場合は合計320万円以上
3割現役並み所得者※同じ世帯の被保険者の中に課税所得が145万円以上のかたがいる場合

(出典:厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」から作成)

※一定の基準・要件を満たす場合、窓口負担割合が1割または2割になる場合があります。


上の表からわかる通り、世帯で145万円以上の所得がある場合、自己負担額は現役世代と同じ3割です。

145万円という所得が高いか低いかはともかく、現役世代のときの収入は何倍も高かったはずです。

よって、現役世代のときには自己負担額が3割と言われても、負担とならない人がほとんどでしょう。


現役世代同様、もしくはある程度の所得があれば別ですが、今の収入や所得がそれ程高くない人には3割負担は厳しいと感じられるかもしれません。


以上のことから収入がありがん治療の自己負担額が3割の方もがん保険の必要性が高いということが出来ます。

自分にがん保険は必要か専門家に聞く

がん保険の必要性が低い高齢者の方


さてここまで、がん保険の必要性が高い高齢者の方の例を解説してきました。


 一方、がん保険の必要性が低い高齢者の方もいます。 

 以下に当てはまる人は、がん保険の必要性は低いかもしれません。

  • 貯蓄でがんの治療費を賄える方
  • 保険料が高額で払い続けることが困難な方
  • 医療保険など他の保険ですでに十分ながんの保障を付けている人


それでは、一つずつ見ていきましょう。

貯蓄でがんの治療費を賄える方

まず貯蓄でがんの治療費を賄える高齢の方はがん保険の必要性が低いといえます。


先述した通り、厚生労働省「令和元年度医療給付実態調査」によると、がんの1日当たりの平均治療費は入院21,410円、入院外12,477円で、日数がかかれば高額な費用がかかります。

また、がん治療には数ヶ月、数年かかる場合もあります。


しかし、医療費に賄える貯蓄が充分にあれば、経済的な不安は解消されるでしょう。

必要なお金は人によって異なりますが、生活費の他に100万円あれば、治療費だけではなく交通費や差額ベッド代、レンタル代なども賄えるでしょう

夫婦の場合、200万円あればなお安心です。


現金は何よりも汎用性が高く、充分な貯蓄は確かな生活の支えになるでしょう。

保険料が高額で払い続けることが困難な方

続いて保険料が高額で払い続けることが困難な高齢の方もがん保険の必要性が低いといえます。


一般的に、保険料は年齢が高くなればなるほど金額が上がっていきます。


ここで、がん保険を試算してみましょう。

ある保険の比較サイトを利用し、「70歳・男性」で検索してみました。

人気ランキング順でみる保険料は


  • A社:5,351円
  • B社:7,854円
  • C社:4,885円


という結果となり、高いものは1万円を超えていました。

この保険料は決して安い金額ではありません。


また、保険のために生活が苦しくなってしまったら本末転倒です

よって、保険料を払うのが難しい人は、無理して保険に入る必要はないといえます。

医療保険など他の保険ですでに十分ながんの保障を付けている人

続いて医療保険など他の保険ですでに十分ながんの保障を付けている高齢の方もがん保険の必要性が低いといえるでしょう。


医療保険には、基本保障に加えて「がん特約」をプラスできる商品が数多くあります。

医療保険の「がん特約」とは、がんに対する保障を上乗せで保障するもので、ほとんどのがん特約には「がん診断一時金」が付いています

がん診断一時金があれば、がんと診断されたときにまとまった保険金が支払われますので、がん治療に充てることができるでしょう。


よって、がん特約など、がんの保障を付けている人はがん保険に入る必要は小さいといえます。

自分にがん保険は必要か専門家に相談

高齢者の方ががん保険が必要か判断するうえで参考になるデータ


日本人の2人に1人は生涯でがんになると言われています。


この項では、高齢者の方ががん保険が必要か判断するうえで参考になるデータを、以下の順序で解説していきます。

  • 高齢者がん保険の加入率
  • 高齢者のがんの罹患率
  • 癌の治療費にはいくらかかる?


それでは、一つずつ見ていきましょう。

高齢者がん保険の加入率

まずは、高齢者がん保険の加入率を見ていきましょう。


下の表は、生命保険文化センターが公表している「2022年度生活保障に関する調査」から作成した「ガン保険・ガン特約の加入率」です。

民保
2022年35.2%

(出典:生命保険文化センター「2022年度生活保障に関する調査」


表からわかる通り、がん保険の加入率35.2%と、約3人に1人ががん保険に加入しています。

なお、性別ごとにみると、男性は35.3%、女性は35.1%というデータもあります。


次は、年齢別に「ガン保険・ガン特約の加入率」を見ていきましょう。

男性女性
40歳代43.244.9
50歳代43.943.3
60歳代40.531.9
70歳代28.023.8

(出典:生命保険文化センター「2022年度生活保障に関する調査」


表からわかる通り、男女とも40歳代、50歳代の加入率が高くなっています。


以上の結果からがん保険の加入率は高く、保険に入ることによって、経済的にがんに備えている人が多いとも言えるでしょう。

高齢者のがんの罹患率

次に、高齢者のがんの罹患率を説明します。


国立がん研究センターの「全国がん部位別年齢階級別推定罹患率」(がん情報サービス「がん登録・統計」※東京都福祉局のHPから抜粋)のデータからがんの罹患率を見ていきましょう。


がんの罹患率は、男女とも年齢が上がるにつれて上昇し、特に50歳を越えると急激に上昇します

しかし、女性の乳がんと子宮がんは30代から罹患率が上がり、他のがんと比べてピークが早いと言えます。


がんの部位によって多少の違いはありますが、がんの罹患率は右肩上がりで、70歳代や80歳代の罹患率が一番高くなっています。

以上の理由から、高齢者のがんの罹患率は極めて高いと言って間違いなさそうです。

癌の治療費にはいくらかかる?

最後に、癌の治療費にはいくらかかるか見ていきましょう。


先述した通り、厚生労働省「令和元年度医療給付実態調査」によると、がんの1日当たりの平均治療費は入院21,410円、入院外12,477円です。


ここで、先進治療の金額も気になる人が多いでしょう。

厚生労働省「令和2年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」によると、重粒子線治療は3,123,757円、陽子線治療は2,714,943円と大変高額です。


どのような治療を選択するかによって、かかる費用は異なります。

しかし、公的健康保険が利用できるといっても、がんの治療には多額の費用が必要です

治療期間が場合によっては数か月、数年に及ぶこともあるので、経済的に助けてくれるがん保険は必要かもしれません。

高齢者のがん保険の選び方



高齢者の方ががん保険を選ぶ際は、以下の流れで選ぶのがおすすめです。


  1. 付けたい保障内容や特約を決める
  2. 自分が支払える保険料の目安を決める
  3. 上記で出した条件に合致するがん保険を複数比較検討する

順番に説明していきます。


1.付けたい保障内容や特約を決める

具体的には「支払われる保険金額」「支払い条件」「抗がん剤特約などを付けるか」などを明確にしましょう。


2.自分が支払える保険料の目安を決める

一般的に保険料の目安は給料の5〜10%と言われています。

高齢者は他の保険にも加入していると考えられますので、他の保険の保険料も考慮して決めましょう。


3.上記で出した条件に合致するがん保険を複数比較検討する

比較検討する際はいきなり保険ごとに検討するのではなく、がん保険の比較サイトを利用しましょう。

がん保険の比較サイトを利用すると、簡単に自分に合ったがん保険を見つけることができます。 


また、がん保険が必要かどうか、がん保険の選び方など迷ったときは保険のプロに相談することをおすすめします。 

マネーキャリアでは、保険相談サービスを無料で提供しています。 

保険の専門家に相談したいという方はマネーキャリアをクリックして、ぜひお気軽にご相談ください。


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まとめ:高齢者にがん保険は必要か?


がん保険が必要かどうかについて、がん保険が必要な高齢者の人は以下の通りです。
  • がんの治療費に使える貯蓄がない人 
  • 貯蓄はあっても目的があるので減らしたくない人
  • 先進医療など高額ながん治療も検討している人
上記に当てはまる人は、もしもがんに罹患したとき、がん保険があなたの生活や治療の支えとなってくれるでしょう。 

しかし、高齢者のがん保険の必要性は高くありません
公的健康保険が充実している日本では治療費に過度な心配はせず、貯蓄を大切に使いながら、健康的な生活をすることをおすすめします。