緩和療養特約は必要か?がん保険の緩和ケアの必要性は?のサムネイル画像
この記事を読んで欲しい人
  • がん保険の加入を検討している人
  • 緩和療養特約が必要かどうか知りたい人
  • 緩和療養特約が適用される条件を知りたい人
▼この記事を読んだらわかること
  • がんの治療における緩和ケアについて
  • 緩和療養特約が必要な人の特徴
  • 緩和ケアとホスピスの違い  

がんの治療中に緩和ケアを受けることがあり、がん保険における緩和療養特約の必要性が気になっている人もいるのではないでしょうか。この記事では、緩和療養特約が必要かどうかを考える材料として、メリットや必要な人の特徴などを解説しています。ぜひ参考にしてください。

この記事の目次

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がん保険の緩和療養特約(緩和ケア特約)は必要か?

まず、結論からですが、がん保険に緩和療養特約(緩和ケア)は必要です。


そもそも、緩和ケア(緩和療養)はがんに伴う肉体的・精神的苦痛を和らげることです。


緩和療養特約を付加すると、緩和ケアの医療費ががん保険の保障対象になります。


がんによる苦痛を和らげると聞くと、がんの終末期のみに緩和ケアが行われるとイメージするかもしれません。


そのため、緩和療養特約は必要か?と疑問に感じる人もいるでしょう。


しかし、厚生労働省が平成24年6月の「がん対策推進基本計画」でがんと診断されたときから緩和ケアを受けられるようにすることを重要課題として推進しています。


厚生労働省が推奨していることから、今後は治療の初期段階から緩和ケアが実施されるケースが増えると考えられ、緩和ケアの保障の必要性も高くなったと言えます。


そのため、がん保険には緩和療養特約が必要です。

 
また「そもそもがん保険が不要か必要か迷っている」という方は以下の記事を参考にしてください。

緩和医療特約は癌患者が選ぶ必要な保障で3位に入っている

がん保険に緩和療養特約が必要かどうかを考えるにあたり、他の人がどのように感じているかも気になりますよね。


2009年と少し古いデータにはなりますが、株式会社ニッセンライフとNPO法人がん患者団体支援機構が行った「がん患者アンケート(第1回)」によると、がん経験者が語る必要な保障ランキングの3位に緩和医療特約が入っています。


がん保険には入院・手術の保障や通院保障、診断一時金など、さまざまな保障内容の商品があります。


しかし、がん保険で受け取れる給付金は商品によって異なり、入院や手術のときだけ受け取れるものがあれば、がんと診断された最初の1回だけ受け取れるものなど、さまざまです。


契約するがん保険によって保障内容が異なるため、希望する保障が含まれているかどうかはがん保険選びに際してとても重要です。


本記事を読み終えて、緩和医療特約が必要だと感じましたら、緩和医療特約を契約できるがん保険を探してみてください。 

がん保険の緩和療養特約(緩和ケア特約)を付けるメリット

緩和療養特約を付けるメリットは緩和ケアを受ける際に経済的負担を考えなくても良くなる点です。


がんの治療は肉体的にも精神的にもつらいものであると聞いたことはありませんか?


がんによる痛みはもちろん、息苦しい、だるいといった肉体的なつらさから、働きたいのに働けない、家族に迷惑をかけたくない、などの精神的なつらさがあるとされています。


さまざまな理由から、がんの治療がつらいと感じたときに緩和ケアを受けることができますが、当然医療費はかかります。


緩和療養特約を付けていると、緩和ケアを受ける際に医療費の負担を気にしなくても良くなるため、治療に専念しやすくなるでしょう。


繰り返しますが、緩和ケアはがんの初期段階でも実施されるようになっていることから、緩和療養特約が活きる場面が想定しやすく、がんの保障を充実させたい人には必要かと思います。 

がん保険の緩和療養特約(緩和ケア特約)を付けるデメリット

緩和療養特約を付けるデメリットは保険料が高くなる点です。


付けない場合と比較して保障が充実するため、どうしても保険料は高くなってしまいます。


どのくらい高くなるか、という点に関しては保険会社や商品によって異なりますし、さらに言えば被保険者の年齢や契約の条件によっても異なります。


毎月数100円の追加保険料で付けられる人がいれば、1000円以上かかる人もいますが、保険会社や商品による違いというよりも基本的には被保険者の年齢や健康状態による影響が大きいです。


当然ですが、年齢が高い人ほど、緩和療養特約の保険料も高いです。 緩和療養給付金の金額と毎月の保険料を比較して、必要かどうかを見定めてください。

がん保険の緩和療養特約(緩和ケア特約)の必要性が高い人

緩和療養特約が必要か、について考えるにあたり、そもそもどんな人が必要性が高い人なのか、という点が気になるかと思います。

緩和療養特約の必要性が高い人は、高額療養費制度が適用されても、その分の費用を支払うことが難しい人です。

高額療養費制度とは、健康保険が適用される医療費に関して、月の医療費に上限額が設定される制度です。

上限額は年齢や年収によって異なりますが、年収約770万円以下の人は約8万円、年収約1,160万円の人は約16万円といったイメージになります。

しかし、高額療養費は一度医療機関の窓口で上限額を超える医療費を支払った後に、申請することで上限額以上の部分を払い戻ししてくれる制度である点に注意が必要です。

たとえば、窓口での支払いが30万円であれば、一度30万円を支払ったあとに高額療養費を申請して超過分の払い戻しを受けます。

緩和療養特約を付加していれば、給付金の条件を満たしていると一定額を受け取れるため、窓口での負担を抑えられます。

そのため、高額療養費の申請前の支払いが困難になる可能性がある人は緩和療養特約の必要性が高いです。 

がん保険の緩和療養特約(緩和ケア特約)の必要性が低い人

次に緩和療養特約の必要性が低い人ですが、それはある程度の貯蓄がある人です。


健康保険が適用される緩和ケアであれば高額療養費があるため、他の医療費も含めて上限額が設けられます。


貯蓄で窓口負担をなんとかできる人であれば、緩和療養特約を付加する必要性は低いと言えます。


ただし、現在では緩和ケアががんの治療の初期段階から実施される傾向があるため、緩和ケアを含むがんの治療が長期化しているとも考えられます。


子どもの教育費や老後生活の資金など、将来必要な資金とは別で、医療費用の貯蓄が十分にあるかどうか、という点がとても重要です。


緩和療養特約が必要かどうかを考える際には、全体の貯蓄額だけではなく、医療費としていくらまで使えるか、という点も考慮すべきと考えられます。 

緩和療養特約とは?がん保険における緩和ケアの必要性と条件について

緩和療養特約とは、がんに伴う肉体的・精神的な苦痛を和らげるための緩和ケアの医療費を保障する特約です。

緩和ケアはがんの治療の初期段階から実施されるようになってきているため、がんの治療が長期化した際の医療費に備える目的で必要になってきます。

実際に必要かどうかは貯蓄額によるため、ライフプランを踏まえてご確認ください。

ここからは緩和療養特約が適用される条件について見ていきます。緩和療養特約が必要かどうか考える際には、適用される条件も重要になってきます。
  1. 入院施設が緩和ケア専門の病院か
  2. 治療行為を行っているか
具体的には上記2点がポイントになってきます。

なお、条件の詳細は商品によって異なるため、契約時によく確認してください。 

がん保険の対象になる条件①入院施設が緩和ケア専門の病院か

条件の1つ目は緩和ケアのために入院した際に、その入院施設が緩和ケア専門の病院であることです。


この条件が保険適用となっている場合、一般病棟で緩和ケアを受けた場合は緩和療養給付金は受け取れません。


加えて、医療費報酬点数表に緩和ケアを受けたことがわかる内容が記載されていた際に、保障を受けられます。


入院での緩和ケアで言えば、緩和ケア病棟入院料が算定される施設への入院が条件です。


また、在宅や通院での緩和ケアでも、医療費報酬点数表に緩和ケアを受けたことがわかる内容の記載が求められます。

がん保険の対象になる条件②治療行為を行っているか

条件の2つ目は公的医療保険が適用される治療行為を行っている点です。


治療行為には公的医療保険が適用されるものとされないものがあり、緩和療養特約が適用されるものは公的医療保険が適用されるものに限定されています。


公的医療保険が適用される場合は医療費報酬点数表に記載されますので、医療費報酬点数表に記載された医療費が対象になる、というイメージです。


また、あくまでも緩和ケアの医療費の保障であるため、手術時の麻酔薬や手術後の痛み止めなどの医療費は対象外です。 

がん治療の緩和ケアとホスピスの違いは?

ホスピス、という言葉に聞き覚えがある方もいるかと思います。ホスピスも緩和ケアと同様に病気に伴う肉体的・精神的なケアを行います。


緩和療養特約が必要かどうかを考えるにあたって、ホスピスとの違いが気になる方もいるでしょう。


また、ホスピスががん保険の保障に含まれるか、という点も気になるかと思います。


がん治療における緩和ケアとホスピスの違いについては以下の点を押さえてください。

  • ホスピスは緩和ケアが専門の医療機関
  • 緩和ケアの受療方法
  • 緩和ケアやホスピスに必要な費用  

それぞれ詳しく解説していきます。 

ホスピスは緩和ケアが専門の医療機関

ホスピスは緩和ケアが専門の医療機関で、緩和ケア病棟などが該当します。


ホスピスは回復の見込みがない方、病気の終末期にいる方に対して、人生の最後を穏やかに迎えるための施設です。


緩和ケアは病気の初期段階でも実施されることがあるため、この点が違いです。


厚生労働省に申請し、認定を受けた施設のみがホスピスとなり、施設の名称や所在地などは「緩和ケア病棟入院料届出受理施設一覧」で確認できます。2023年10月31日時点では全国に466ヶ所あります。


がん保険の緩和療養特約の対象となるかどうかは「緩和ケア病棟入院料届出受理施設一覧」で確認できるホスピスに入院したかどうかがポイントです。


一覧で確認できるホスピスに入院した場合はがん保険の緩和療養特約や入院給付金の対象となるケースが一般的です。


詳細な条件は商品によって異なるため、契約前にご確認ください。

緩和ケアの受療方法

次に緩和ケアの受療方法です。


ホスピスは入院のみでしたが、緩和ケアの場合、入院に加えて、在宅や通院もあります


緩和ケアの場合、ホスピスのような人生の最後を穏やかに迎えるため、という目的がない点が影響しています。


完治を目指す方ががんの治療と一緒に緩和ケアを受けることもあり、近年がんの治療が入院よりも通院の方が主流になっていることからも、通院や在宅での緩和ケアを選ぶ人もいます。 


まとめると、緩和ケアはがんの闘病中いつでも受けることができ、場所も自宅や病院などの選択肢がありますが、ホスピスはがんの末期に厚生労働省が認定した施設でのみ受療する点が違いです。 

緩和ケアやホスピスに必要な費用

最後に費用に関してです。


一般病棟で緩和ケアを受ける場合、通常の医療費に加えて「緩和ケア診療加算」分がプラスされます。実際の医療費は公的医療保険が適用されるため、1割または3割負担です。


そこから、公的医療保険が適用されない食事代や差額ベッド代などが全額自己負担で加算されます。


次に厚生労働省から承認を受けている専門施設で緩和ケアを受ける場合、医療費は定額となっており、1日あたり約50,000円です。この費用に加えて、食事代460円が入院日数分に応じてかかります。


定額の医療費に関しては公的医療保険が適用されるため、3割負担であれば約15,000円、1割負担であれば約5,000円が1日あたりの実際に負担する医療費です。


仮に30日利用するとなると、1割負担であっても総額が15万円となりますが、高額療養費が適用されるため、医療費は抑えられます。 

緩和ケアにおける指定代理請求特約とは?

緩和ケアにおいても指定代理請求特約を利用できます。

指定代理請求特約とは、被保険者が給付金の請求ができないときに、契約者があらかじめ指定した代理人が給付金の請求をできる制度です。

基本的には無料で付加できる特約であり、がん保険を契約した多くの人がこの特約を付加しています。

保険会社によって異なりますが、代理人として設定できる人の例は以下の通りです。
  • 配偶者
  • 直系血族
  • 同居または生計を一にしている3親等内の親族
注意点として「あらかじめ」代理人を設定しておく必要があります。

がんの闘病中に被保険者が給付金を請求できなくなるケースは十分に考えられますので、可能であれば契約時に代理人を指定しておくことをおすすめします。

また、基本的には被保険者の同意があれば契約中に指定代理人を変更も可能です。 

緩和療養特約は必要か?緩和療養給付金などの保障内容を確認しよう

緩和療養特約が必要かどうか、については貯蓄状況が判断ポイントになります。


緩和ケアの内容にもよりますが、公的医療保険の対象となるものがあり、高額療養費によって月の上限額が決まっているため、医療費用に十分な貯蓄がある方であれば、緩和療養特約を付加する必要性は低いかもしれません。


現在は早期発見や通院による治療が主流になってきた点などからがんの治療期間が長期化するケースが多くなっています。


緩和ケアは治療の初期段階から実施されることが多くなっている点と合わせて、緩和ケアにかかる医療費が想像よりも多くなる可能性が考えられます。


毎月の医療費が一定額に抑えられるとしても、長期化すると貯蓄だけでは厳しい可能性も考えられるため、注意が必要です。


また、緩和療養特約はあくまでも特約であるため、主契約である入院保障や診断一時金などの保障内容でがん保険を決めるかと思います。


商品によっては割に合わないと感じる場合もあるため、緩和療養特約が必要かどうかは緩和療養給付金の額や保険料などを確認して判断しましょう。 

まとめ:緩和療養特約は必要か?がん保険の緩和ケアの必要性は?

緩和ケアはがんの治療の初期から実施されることもあるため、がん保険に緩和ケアの保障は必要かと思います。


がんの治療が長期化すると、緩和ケアの費用も多くなるため、緩和ケアの保障が役立つでしょう。


とはいえ、がんに備えたい人で、医療費用の十分な貯蓄が準備できている人は、緩和療養特約を付加しなくてもいいかもしれません。


また、保障内容と保険料次第では割に合わないことも考えられます。


がんの治療は肉体的にも精神的にもつらいと言われるため、医療費用の貯蓄に不安がある方は、緩和療養特約があるがん保険を検討してみてはいかがでしょうか。