【6選】中小企業もできる役員退職金の積立準備方法とはのサムネイル画像

今日の役員退職金は平均金額は社長で約2,476万円、取締役で約1,685万円、監査役で約1,150万円とされており、多額の支払いが特徴です。


多額の支払いで資金繰りが悪化したり赤字決算にならないように、多くの企業が前もって役員退職金を積み立てて準備しています。


役員退職金の積立準備方法には多くの種類があり、どれを採用するべきか悩む方も多いのではないでしょうか。


そこで今回は、「中小企業もできる役員退職金の積立準備方法」を中心に解説します。


・役員退職金を積み立てて準備できる方法を知りたい

・役員退職金を積み立てながら自社の事業リスクに対策できる方法を採用したい


方は本記事を参考にすると、中小企業もできる役員退職金の積立準備方法がわかるほか、自社に合った役員退職金の準備方法を無料で診断する方法がわかります。

内容をまとめると

  • 退職金の積立準備方法には「預金」「有価証券」「小規模企業共済制度」「中小企業倒産防止共済制度」「企業型確定拠出年金」「法人生命保険」がある。
  • そのなかでも、役員退職金の支給時期に合わせて解約返戻金のある生命保険を選ぶことで、今まで積み立てた払込保険料よりも大きな額を受け取れるケースもある。
  • 法人生命保険と他の制度を複数組み合わせると、より事業リスク対策が可能になる。
  • 一方、経営者の独断で自社に合った法人生命保険を選択するのは困難なため、丸紅グループ運営のマネーキャリアのような「何度でもプロに相談できる無料サービス」を使う企業が増えている。

この記事の監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る

この記事の目次

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役員退職金とは


以下では、役員退職金の概要を解説します。

役員退職金には、「退職慰労金」と「死亡退職金」の2種類に分かれます。種類により税負担が異なるため、役員退職金を支給する会社は損金算入も兼ねて確認する必要があります。

退職慰労金

「退職慰労金」とは、取締役や監査役などの役員だった人が退職する際に支払われる慰労金です。


役員退職慰労金には、退職金規程のような規程を作成する必要はありません。そのため、役員退職慰労金についての支給可否や金額、支給方法などは株主総会と取締役会で決議されます。


従業員の退職金は就業規則の退職金規程にもとづいて支給されますが、役員退職慰労金の場合は株主総会と取締役会で決議を経て支給されます。


株主総会と取締役会で決議では、役員退職慰労金についての支給可否や金額、支給方法などについて規程と議事録が作成されます。


死亡退職金

退職金は役職を降りて退職した後に受ける「生存退職金」と、在任中に死亡した後に遺族に対して支給される「死亡退職金」に分かれます。

「死亡退職金」は、原則死亡した従業員の遺族に支払われます。死亡退職の場合、死亡日が退職日となります。

従業員の退職金は、会社の就業規則である退職金規定にもとづいて支給されますが、役員退職金は、株主総会の決議を通して役員退職金規程の作成が必要です。

実際に役員の遺族に支払われた死亡退職金の損金算入時期は、退職金の額が具体的に確定した日を含んだ事業年度です。役員退職金が不当に高額でなければ、支払金額を損金算入することができます。

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役員退職金制度を導入するメリット


以下では、役員退職金制度を導入するメリットについて解説します。

役員退職金は役員賞与と比較して、支給する会社・支給される役員のいずれにも税制上のメリットがあります。

【会社のメリット】法人税上の要件を満たしていれば節税になる

役員退職金を支給する会社は、支給方法について法人税上の要件を満たしていれば節税が可能です。


法人税の計算は「益金(収入)ー損金(経費)=所得×法人税率」で算出され、損金割合が大きいと法人税率が小さくなります。役員退職金を支給する際に、不当に高額ではないなどの要件満たしている場合は、支給額の全額を損金として算入できます。


役員退職金が損金算入できる要件は以下の通りです。

  1. 役員退職金額は、退職の事情や在職年数、同業種同規模他社の支給状況などを参考にして判断されている
  2. 役員退職金について株主総会にて決議が行われた

また、役員退職金のなかでも慰労金は社会保険料の適用対象外です。そのため、法人側が社会保険料を負担する必要がありません。


【役員のメリット】役員報酬で受け取るより税負担が軽い

役員退職金を受け取る役員は、退職金に値する金額を役員報酬として受けとるよりも税負担が軽くなります

役員退職金が生前に支給される「勇退退職金」の場合、受取人である役員はその受給額について所得税が課されます。退職所得の計算方法は、他の所得と合算されず、退職所得のみに対して税率が適用される「分離課税」にて計算できます。

▼役員退職金における税金の計算方法
  1. (役員退職慰労金支給額-退職所得控除額)×1/2=退職所得金額
  2.  退職所得金額×所得税率-控除額=所得税 

役員退職金が死後に相続人に支給される「死亡退職金」の場合、役員の法定相続人の数に応じて非課税枠が加算されます。また、「役員死亡弔慰金」の場合、死亡原因によって非課税枠が変化します。

▼役員死亡退職金における非課税限度額
  • 「500万円×法定相続人の数=非課税枠」

▼役員死亡弔慰金の非課税限度額
  • 業務上の死亡の場合:死亡当時の月額報酬×36ヶ月
  • 業務以外の死亡の場合:死亡当時の月額報酬×6ヶ月

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役員退職金の準備方法6つとは


以下では、役員退職金の準備方法6つを解説します。

役員退職金の準備方法には「預金」「有価証券」「法人保険」「小規模企業共済制度」「中小企業倒産防止共済制度」「企業型確定拠出年金」の6つがあります。

なお、「中小企業退職金共済」「特定退職金共済制度」もありますが、この2つは従業員のみが加入できる制度のため、経営者・役員は対象外です。

預金

<預金とは>

預金とは、銀行などの金融機関で法人口座に会社の資金を預けておくことです。経営者の預金方法によっては、普通預金と定期預金、さらに円建てと外貨建てを選択している会社もあります。


<メリット>

預金は経理処理の際にいちばん手間がかかりにくい方法のひとつで、資産の透明性が高いです。


<デメリット>

預金は税制上のメリットがなく、節税ができません。また、どこの通貨で預金をしているかによっては、たとえば円安の場合は円建てで資産を保有するリスクがあります。


『中小企業の退職金に関する調査』によれば、今日の役員死亡退職金の平均は社長で約2,476万円、取締役で約1,685万円、監査役で約1,150万円とされています。資金流動性が高い法人口座を使う方法では、多額の役員退職金を一括で準備するのは容易ではありません。


有価証券

<有価証券とは>
有価証券とは、株式・債券・手形・小切手などです。「有価証券で退職金を準備する」とは、資産運用によって会社の資産を増やし、その運用益を退職金額に充てることを指します。

<メリット>
有価証券は長期間での運用が一般的ですが、うまくいけば銀行の金利よりも高利回りで資産を成長させることができます。

<デメリット>
有価証券のなかでも投資信託や株式には、購入したときの価値よりも売却したときの価値の方が低くなる「元本割れ」が起きるリスクがあります。

また、法人で有価証券で得た普通分配金や譲渡益には、20.315%の税金がかかります。近年注目されている新NISAなどの非課税制度は、個人向けなので法人では活用できません。

小規模企業共済

<小規模企業共済とは>
小規模企業共済制度は、小規模企業の経営者や役員、フリーランス(個人事業主)などのための、積み立てによる退職金制度です。

<メリット>
毎月積み立て小規模企業共済制度の掛け金は全額所得控除が可能なため、節税効果があります。

<デメリット>
小規模企業共済制度に加入後20年経たずに解約する場合には、元本割れの可能性があります。

中小企業倒産防止共済

<中小企業倒産防止共済とは>

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐために創設された共済制度です。 


<メリット>

共済への掛金は全額損金算入ができ、節税対策としても効果的です。また、掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで無担保・無保証人での融資も可能なので、会社の運転資金などへの備えとして活用をすることも可能です。


<デメリット>

中小企業倒産防止共済の積立上限額は最大800万円までの上限があります。


確定拠出年金制度

<確定拠出年金制度とは>
確定拠出年金(DC)は、加入者ごとに拠出された掛金を加入者自らが運用し、その運用結果に基づいて給付額が決定される年金制度です。法人では、事業主が掛金を拠出する企業型確定拠出年金(企業型DC)が利用できます。

<メリット>
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、積み立てる掛金が非課税、運用益に対して非課税、受取方法により税軽減が可能です。

受取方法が一時金形式の場合退職所得控除が利用でき、年金形式の場合は公的年金等控除が利用できます。

<デメリット>
確定拠出年金では、掛金の拠出額は確定していますが、将来の給付額については運用結果に左右されるため確定していません。また、引き出しができるのは原則60歳以降です。

法人生命保険

<法人生命保険とは>
法人生命保険は、役員退職金を法人契約の生命保険で準備する方法です。解約返戻金がある生命保険を利用し、月々保険料の支払いとして退職金を積み立てながら、解約返戻金の返戻率が高いときに保険を解約して退職金支払いに充てます。

<メリット>
法人生命保険に加入すると、保険の種類によっては月々の支払い保険料を損金算入できます。法人生命保険における解約返戻金の使い道は定められていないので、退職金支払いの前に事業の資金繰りがうまくいかなかった際に解約することも可能です。

さらに、死亡特約が付帯しているタイプの保険に加入した場合は、従業員の福利厚生としても役立てることができます。

<デメリット>
保険の種類によっては、最高解約返戻率の期間が定められており、期間外に解約すると支払保険料よりも解約返戻金額が下回る場合があります。そのため、自社の役員がいつ退職するかの時期を確認したあと、自社にあった保険に加入する必要があります。

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役員退職金の積立に法人生命保険がおすすめな理由


以下では、役員退職金の積立に法人生命保険がおすすめな理由を解説します。


中小企業の退職金に関する調査」によれば、今日の役員死亡退職金の平均は社長で約2,476万円、取締役で約1,685万円、監査役で約1,150万円とされており、多額の支払いが特徴です。


多額の役員退職金に対応するために、多くの企業が法人生命保険を活用して準備をすすめています。


退職金を積み立てながら万が一の事業リスクに対策できる

法人生命保険を活用すると、退職金を積み立てながら万が一の事業リスクを対策できます。


たとえば、経営者に万が一があり、会社に借入金が残ったり、経営者の不在によって事業資金が不足したりした場合、経営継続が困難になる可能性があります。法人生命保険はそうした退職金以外の事業リスクでも、当面の資金不足するために解約返戻金を活用できます。


さらに、退職金の積み立てでは、毎月の営業利益が1,000万円で退職金額が1,500万円の場合、退職金を支払うことによって赤字が発生します。


しかし毎月の営業利益から数十万円を差し引き少額を積み立てておくことで、1,500万円の解約返戻金を受け取ったときは雑収入が発生し、退職金を支払ったとしても赤字が発生しません。


このように、退職金を積み立てながら赤字や資金繰りの悪化などの事業リスクに備えることができるのも法人生命保険の特徴です。


役員・従業員の福利厚生を充実させられる

加入する法人生命保険の種類によっては、役員・従業員の福利厚生を充実させられます。


役員退職金を準備するのに一般的に活用される保険は「長期平準定期保険」「逓増定期保険(ていぞうていきほけん)」「終身保険」ですが、そのなかでも「終身保険」は役員・従業員の福利厚生になります


終身保険は、保障が一生涯続き、被保険者である役員がいつ亡くなっても必ず死亡保険金を受け取れる保険です。死亡保険金のある保険に加入することで、役員に残された家族に役員死亡弔慰金を支給できます。


福利厚生が充実している企業は「従業員を大切にしている会社」という良い印象が与えるだけはなく、企業の安定性や経営基盤の確実性などもアピール可能です。


貯蓄性を備えながら資産運用ができる保険もある

法人生命保険には、保険料が掛け捨てのものと、保険料が掛け捨てにならず解約返戻金や満期保険金などで受け取れるものの2種類があります。

保険特有の保障の役割がありつつも、同時に資産形成としての側面を兼ね備えている保険の代表的なものに、「終身保険」や「養老保険」があげられます。

終身保険は、死亡もしくは一定の高度障害状態になった際に保険金を受け取れる保険で、一般的には解約する時期によっては、払込期間終了後の解約返戻金が、払込保険料総額よりも大きくなる場合が多いです。

養老保険は、終身保険とは異なり、保険期間が15年もしくは60歳までなどと決められています。被保険者に死亡がなく、保険期間が終了した場合は満期保険金が支払われます。保険期間が自由に設定できるため、保障を得ながら資産形成ができます。

このように、貯蓄性を備えながら資産運用ができる保険を法人で活用することによって、払込金額より多額の解約返戻金を受け取れたり、保障を得ながらの資産形成が可能です。

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役員退職金を複数の制度を併用して積み立てる


以下では、役員退職金を複数の制度を併用して積み立てる方法を解説します。

自社に想定される事業リスクに合わせて、複数の制度を併用することで、より確実なリスク対策が可能です。

法人生命保険とiDeCo

iDeCoとは自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金は65歳になるまで拠出可能であり、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。

法人生命保険とiDeCoの組み合わせは、経営者が存命している場合は所得控除として、経営者に万が一のことがあった場合は事業継続のリスク対策として活用できます。

たとえば、経営者が存命している場合に経営者本人の所得控除としてiDeCoに加入します。さらに、経営者自身に万が一のことがあり、会社に借入金がある場合や、経営者の不在によって会社の営業利益が落ち事業継続が難しくなったときのために法人生命保険に加入します。

このように、法人生命保険とiDeCoを活用すると、経営者が存命時の節税対策と死亡時の事業継続に備えられます。

法人生命保険と小規模企業共済

小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主の積み立てによる退職金制度です。
 
法人生命保険と小規模企業共済の組み合わせは高額な退職金の準備として活用できます。
 
小規模企業共済制度は、積み立てる毎月の掛け金(月額1,000円~最高70,000円の範囲内)の全額所得控除が可能です。

さらに、会社で複数の役員が近い期間に退職する予定がある場合、小規模企業共済制度を利用しても退職金の支給額が足りない場合は、法人生命保険で同時に役員退職金を準備できます。

法人生命保険では退職金を積み立てながらも、その他の事業リスクに対策できます。さらに、小規模企業共済には掛金の範囲内で借りられる貸付制度があるため、万が一の場合にも安心です。

法人生命保険と中小企業倒産防止共済

中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)とは、取引先が倒産し、売掛金などの債権回収が困難になった場合などの備えとして加入する制度です。


法人生命保険と中小企業倒産防止共済の組み合わせは、取引先が倒産などして営業利益が落ちたとしても、退職金の準備を同時に行っていく、資金繰り対策として活用できます。


法人生命保険で退職金の積み立てをしながらも、その途中で取引先が倒産し、売掛金などの債権回収が困難になった場合のために中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)を活用します。


万が一中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)によって支払われる金額が少ない場合、本来退職金のために積み立てていた保険も解約して資金繰りに充てることができます。


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自社に合った役員退職金の準備方法を無料で診断する方法


以下では、自社に合った役員退職金の準備方法を無料で診断する方法をご紹介します。

役員退職金の準備方法には「預金」「有価証券」「小規模企業共済制度」「中小企業倒産防止共済制度」「企業型確定拠出年金」「法人生命保険」があり、その中でも法人生命保険で退職金を積み立てていくと多くのメリットがあります。

法人生命保険は退職金を積み立てながら、同時に他の事業リスク対策もできます。しかしながら自社に合った生命保険を、多くの種類から独断で決定するのは、時間もかかり容易ではありまん。

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役員退職金を積立準備する方法6選まとめ


ここまで、役員退職金を積立準備する方法、自社に合った役員退職金の準備方法を無料で診断する方法までを紹介しました。


退職金の積立準備方法には「預金」「有価証券」「小規模企業共済制度」「中小企業倒産防止共済制度」「企業型確定拠出年金」「法人生命保険」があり、その中でも法人生命保険の活用は多くのメリットがありました。


役員退職金の支給時期に合わせて解約返戻金のある生命保険を選ぶことで、今まで積み立てた払込保険料よりも大きな額を受け取れるケースもあります。さらに、法人生命保険と他の制度を複数組み合わせると、より事業リスク対策が可能になります。


そこで、自社に合った法人保険を選び、退職金を計画的に準備するために、マネーキャリアのような無料で何度も相談できるサービスを利用してリスク対策をする必要があります。


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