2022年問題で本当に不動産価格は下がるのか?最近の不動産動向を解説のサムネイル画像

みなさんは2022年問題を聞いたことありますか?2022年問題とは生産緑地の営農義務終了により不動産価格の下落がおこるのでは?という問題です。実際に不動産価格の下落が起こりうるのか最新の不動産動向とともに解説します。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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2022年問題とは?

2022年問題とは生産緑地の営農義務が終わることで不動産価格が暴落するおそれがある問題をいいます。 

税金面の優遇措置がなくなるため、今まで生産緑地だった土地が一斉に売りに出されて不動産価格が暴落するのではないかというのが問題になっています。 

生産緑地の指定解除が背景

生産緑地とは農業を続けるかたに対して税金面の優遇を受けられる農地をいいます。 

この生産緑地として指定を受けていた土地は以下の条件で指定解除されます。

  1.  指定されてから30年経過する。 
  2. 病気などで農業ができない状況になった。 
  3. 農業に従事しているかたが亡くなった。  
指定解除されると、原則自治体が農地を買います。
自治体が買わない場合は農業従事をしたいかたへ斡旋がおこなわれます。
希望者がおらず農地で活用できなくなったさいは宅地へ転用され、建物を建てられるようになります。

不動産価格が暴落する可能性

生産緑地の約80%の土地が2022年に期限をむかえます。

生産緑地の指定解除がされると、税金優遇の恩恵が受けられるメリットがなくなるため、農地を売りたいというかたの増加が見込まれるでしょう。 


不動産価格は需要と供給の関係が成り立ちます。

農地が売られ、その土地に建物が建てられると建物の供給量が上昇。 

ただし需要も増加しなければ、不動産価格は下落します。 

2022年問題では供給量が急激に増加することで不動産価格が暴落するおそれがあるということです。 



法改正による対策で影響は小さくなりそう

政府は生産緑地が一斉に宅地にならないようにするための対策として生産緑地法を改正し新しく特定生産緑地指定制度を設けています。 

今まで生産緑地だった土地が特定生産緑地に指定されると税金の優遇制度が10年間延長されます。

10年延長後も再度指定されるとさらに10年間の延長を受けることができます。


これで2022年に一斉に生産緑地が宅地になることを防げるため、不動産価格に与える影響は小さくなるのではないでしょうか。 

2022年、不動産価格は下がるのは一部地域だけという見通し

不動産価格が下がるのは一部地域に限られるだろうと予想されています。

以下ではなぜ一部地域だけだと予想されるのか、また逆にどういった地域で不動産価格が下がる可能性があるのかを説明していきます。

現在までの不動産価格の推移

2021年までの不動産価格の推移は下記のグラフのとおりです。 



出典:国土交通省 不動産価格指数令和3年9月・第3四半期分


価格の推移のポイントを軽く解説しておきます。


  • 2008年 
リーマンショックがあり不動産価格は一時下落。
  • 2013年以降

アベノミクスによる景気回復やマイナス金利といった金融緩和により住宅ローン金利の水準が低下。

ほかにもオリンピックの誘致があり、不動産価格は上昇していき、2019年にはバブルに次ぐ水準まで上昇しました。 

2022年、不動産価格は基本的に下がらない

前述したように不動産価格は上昇と下落を繰り返しながら近年では上昇傾向にあります。


新型コロナウィルス感染症によって都市から地方へ移住するかたが増えて都心部の不動産価格が下落するかもしれないといわれていました。

しかし数字でみるとさほど影響ないことがみて取れます。 

さらにオリンピック開催終了後には都心部の不動産価格は下落するのではないかといわれていましたが、こちらもふたをあけてみれば上昇傾向にあります。 


以上のことと2022年問題を踏まえると不動産価格の下落は一部地域に限られ、基本的には下がらないと予想されます。  

不動産価格が大きく変わるかもしれない地域

2022年問題の影響を受けて不動産価格が大きく変わる可能性がある地域は、郊外で駅から少し遠い生産緑地です。


この地域は閑静エリアでファミリー層向けの建物が多い傾向にあります。 

仮に生産緑地にファミリー層向けの建物が乱立した場合、賃料の値下げ競争や空室リスクの上昇が発生し、不動産価格が下がるかもしれません。


 一方で駅近や都心では生産緑地に指定がされていない場合が多く、不動産価格にはさほど影響ないでしょう。


また生産緑地は都心部で指定されていることがおおく、地方ではほとんど指定されていません。 


そのため地方に関しては2022年問題の影響は小さくなることが予想されます。 

不動産の購入や売却をするタイミング

もし新型コロナウィルス感染症や2022年問題などで不動産価格に影響が出た場合、購入や売却のタイミングはどうすればいいか考えてみます。


仮に不動産価格が下落しそうになったときに慌てないように考えておくべき対処法についてもみていきます。 

買うのはもう少し待とう

2022問題などで不動産価格が下落する可能性もあるため、購入は少し待つのもいいかもしれません。

ただし、すでに住宅購入計画をすすめているかたは無理に購入計画を後ろ倒しにするのではなく、今後のライフプランを加味したうえで検討していくべきです。


2022年問題で不動産価格が下がっても、住宅ローンの金利が上昇しているなんてことも考えられます。


また将来的に住宅購入を検討しているかたは少し様子をみて不動産価格の動向を追っていくといいでしょう。 

売却を検討しているのであれば不動産会社に相談!

すでに売却を視野に入れているかたは2022年問題が現実になり、空室リスクや賃料の値下げが発生する前に早めに売却を進めた方がいいでしょう。


事前準備として信頼できる不動産会社に相談し、周りの状況をリサーチしておくとすぐに行動に移せます。


ただし地方と都心に関しては前述のとおり影響は小さいと考えられるため、売り急ぐ必要はありません。 

一方で郊外で駅から遠い地域は早めに売却を検討したほうがいいでしょう。

今度どうなるかはわからない!不動産の動向には常に注意しよう

2022年問題や新型コロナウィルスによる不動産価格の影響は小さく限定的になる見方ができます。 


しかし過去の不動産価格の推移をみても不動産価格はさまざまな要因によって上がったり、下がったりします。 


不動産売買を検討しているかたは国交省のHPで不動産動向を確認しましょう。