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育児介護休業法の改正が、順次施行されています。そこで今回は、パパやママになる人が知っておきたい育児休業などについて詳しく解説。改正によりどのような影響(メリット)があるのかわかりますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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育児介護休業法とは



育児介護休業法とは、育児休業制度や介護休業制度などの制度や措置を定めた法律です。


今回はこの法律で定められた諸制度についてわかりやすく解説していきますので、ぜひ確認してみてください。

育児休業制度

育児休業制度とは、原則として1歳までの子を養育するための休業に関する制度です。


出典:厚生労働省「育児・介護休業法の概要」


原則1ヶ月前までに親子の氏名や育児休業の開始日と終了日などの事項を会社に申し出る必要があります。


なお、原則として1歳になるまでが育児休業制度で定められた休業期間ですが、保育所に入所できない場合などは1歳6ヶ月や2歳まで延長可能です。


また、子が1歳の誕生日を迎えるまでに父母ともに育児休業を取得する場合には、子が1歳2ヶ月に達するまで延長されます(パパ・ママ育休プラス)。


パパ・ママ育休プラスでは、父母の休業期間が重複してもしなくても、どちらでも問題はありません。

介護休業制度

育児だけでなく、家族の介護でも労働者が休む権利を保護するのが介護休業制度です。



出典:厚生労働省「育児・介護休業法の概要」


具体的には、要介護状態にある家族を介護するために、その対象家族1人につき通算93日まで、3回にわたって分割して介護休業を取得できます。


なお要介護状態とは、けがや病気、身体障害、精神障害によって2週間以上の期間にわたって常に介護が必要な状態のことです。


対象となる家族は、下記のとおりとされています。


  • 事実婚(内縁)を含む配偶者
  • 父母

  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹


出典:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」


介護休業の手続(申し出)は育児休業の1ヶ月前と異なり、2週間前に申し出ることが求められています。

子の看護休暇、介護休暇制度

子の看護休暇とは、子が小学校入学までは、看護や予防接種、健康診断のために年間5日の休暇を取得できる制度です。


介護休暇制度も同様で、要介護状態にある対象家族の介護や世話を行う労働者は、年間5日まで休暇の取得が可能です。


ちなみに看護休暇を含めて、育児に関しては子の年齢に応じて次のような措置が置かれています。


  • 1歳になるまで:育児休業を取得できる
  • 3歳になるまで:1日の所定労働時間を原則として6時間以下にする義務がある
  • 3歳になるまで:残業なしにすることを請求できる
  • 3歳になるまで:時間外労働を月24時間(年150時間)以下にすることを請求できる
  • 小学校入学まで:22時から翌日5時までの深夜業をなしにすることを請求できる
  • 小学校入学まで:傷病や予防接種などのために年間5日の休暇を取得できる

改正のポイント


育児介護休業法は、2021年6月9日に改正法が成立・公布されています。


改正内容は多数ありますが、ここでは労働者に影響の大きい次の3つを紹介していきますので、確認しておきましょう。


  • 産後パパ育休が創設される
  • 育児休業の分割取得が可能に
  • 育児休業の取得要件が緩和される

産後パパ育休が創設される

2022年10月1日から、育休制度とはまた別に、産後パパ育休制度が創設されます。


正式名称は「出生児育児休業制度」で、男性に育児参加を促すことなどを意図して創設されました。


実際には養子の母でも取得できますが、産後8週間以内の間に、パパが合計4週間分まで、分割して2回にわたって休暇を取得できるという制度です。




これにより、パパは産後8週間のうち2回に分けて柔軟に休暇を取れることはもちろん、育児休業の枠を使わずに休暇を取得できるメリットがあります。

育児休業の分割取得が可能に

産後パパ育児の創設と同じ2022年10月1日から、従来の育児休業制度(子が1歳になるまでの休業に限る)においても、2回に分割して柔軟に休暇を取得できるようになります。


産後パパ育休や育児休業の分割取得が可能となったことによるメリットは、休暇取得の柔軟性が高まったという点です。


これまで、パパが業務の都合をつけて育休を取っても、出産直後だけしか育児に携われないことが多いという問題点も指摘されていました。


そこで分割取得が可能になると、業務の都合がついたら育休を取って育児に参加するなど、よりパパが育児に参加する機会を確保しやすくなるというメリットがあります。


当然ママの育児負担も抑えることができ、ママが仕事を辞めずにキャリアを継続できるといったメリットも実現可能でしょう。


下図は、厚生労働省の資料で紹介されている休暇取得の活用例です。


ぜひ育児休業制度を活用して育児負担を抑えられるよう、参考にしてみてください。



出典:厚生労働省「育児・介護休業法 令和3年改正内容の解説」

育児休業の取得要件が緩和される

従来、期間を定めて雇用される労働者(有期雇用労働者)については、雇用期間が1年以上なければ育児休業や介護休業を取得できませんでした。


この点、2022年4月1日(すでに施行済み)からは、雇用期間1年以上の要件が撤廃されました。


その結果育児休業は、「子が1歳6ヶ月になるまでに契約終了することが明らかでない」という要件さえ満たすことができれば取得できます。


言い換えると、労働契約にて「更新しない」や「更新の回数は2回まで」などにて子が1歳6ヶ月になるまでに契約が終了することが明示されていないのであれば、休暇の取得が可能です。

できることを確認して、ライフワークバランスを改善させよう!

この記事では、育児介護休業法の概要や改正に内容について紹介しました。


今回の改正(令和3年度改正)の目玉は、産後8週間のうちに、パパが最大4週間分、分割して休暇を取得できる産後パパ育休制度の創設。


そしてもうひとつは育児休業を2回に分割して取得することができるようになった点です。


ぜひこの記事を参考にしつつ、育児と仕事の両立(ワークライフバランス)に向け、夫婦でじっくり検討してみてはいかがでしょうか。