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「iDeCoで損が怖くて始められない」「イデコは手数料負けしないのか知りたい」このような悩みを抱える人は多いでしょう。そこで本記事ではiDeCoのメリットを受けにくい人を紹介、手数料と節税効果を比較シミュレーションします。ぜひ最後までご覧ください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)で損してしまう人とは?

こんにちは、マネーキャリア編集部です。 先日20代の女性の友人から、こんな相談がありました。
iDeCoを始めようと考えているんだけど、損することが怖いのでiDeCoで損をしないために知っておくべきことを教えてほしいです。

ここ数年、iDeCoの税制メリットやデメリット、iDeCoで損をする人の特徴、手数料など、iDeCoに関するご相談が非常に増えています。


「iDeCoで損をしない方法についてもっと早く知りたかった」


日本では、金融教育が不十分であると聞きます。


実際、日本証券業協会が実施した「中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査」によると、約6割の教員が金融経済教育の授業確保時間について不十分であると回答しているのです。


今回は、iDeCoで損をしないために知っておくべきことについて、体系的に解説していきます。


どうすれば損を回避できるか、iDeCoを始めるにあたって何を知っておけばいいのか、で悩んでいる方の第一歩のお手伝いになれば幸いです。

iDeCoで損?メリットを受けにくい人


iDeCoには、加入者が得をする3つの税制メリットがあります。


掛金は全額所得控除、運用益は非課税、受け取る際に退職所得控除公的年金等控除などを利用できる、の3つです。


その税制メリットをうまく活用すれば、所得税や住民税の納付額を引き下げるなど大きな節税効果を享受できます。


しかし、中にはiDeCoで損をする人(メリットを受けにくい人)がいるのも事実です。


そこでこの項目では、iDeCoで損をする人(メリットを受けにくい人)について解説します。


解説内容は、以下の3つです。

  1. 専業主婦・無職の人
  2. 貯蓄が少ない人・まだ貯蓄できていない新社会人
  3. 50代後半の人は注意が必要

それぞれ解説していきます。

①専業主婦・無職の人

一つ目のiDeCoで損をする人は「専業主婦・無職の人」です。


収入が一定以上ある人は、「納税額を減らしながら老後の資金を蓄える」というメリットを受けることができます。


しかし、専業主婦や無職の人は、そもそも収入がなく所得税や住民税を払っていないため、掛金を全額所得控除にできる節税効果を享受することができないのです。

②貯蓄が少ない人・まだ貯蓄できていない新社会人

二つ目のiDeCoで損をする人は「貯蓄が少ない人・まだ貯蓄できていない新社会人」です。


iDeCoは、拠出した掛金や運用益を原則として60歳以降にしか引き出せないので、iDeCoで毎月積み立てても老後の資金しか貯めることができません。


将来、結婚式の費用やマイホームの購入費用、子供の教育費などでお金が必要になりますが、iDeCoで貯めたお金はそれらのライフイベントに充てることができないため、貯金がないと困ることになるのです。


そのため、60歳未満のライフイベント用の資金を貯めるまでは、iDeCoよりも貯金を優先した方がいいでしょう。

③50代後半の人は注意が必要

三つ目のiDeCoで損をする人は「50代後半の人」です。


iDeCoは、60歳まで積み立てることができますが、拠出期間が短すぎると60歳から引き出すことができません。


※2022年5月からは65歳未満まで拠出できる予定


例えば、拠出期間が3年の場合は、64歳からとなります。


iDeCoは、拠出せず口座にお金があるだけでも口座管理手数料が発生するので、運用益が少ないと手数料で相殺される恐れがあるのです。


そのため、拠出期間が短くなる50代後半の人は注意が必要です。

iDeCoで損しないために理解すべきデメリット・注意点

この項目では、抑えておきたいiDeCoで損しないために理解すべきデメリット・注意点について解説します。


解説内容は、以下の4つです。

  1. 原則60歳まで引き出せない
  2. 元本割れのリスクがある
  3. 拠出額の上限が決まっている
  4. 受け取り方法によっては課税される

それぞれ詳しく解説していきます。

原則60歳まで引き出せない

iDeCoの目的は、「老後資金の形成」になります。


そのため、原則60歳まで掛金や運用益を引き出せないようになっているのです。


確かに、加入者が高度障がい状態になった場合や亡くなった場合などは引き出すことができますが、ほとんどの加入者が該当しない例外ですので、原則60歳まで引き出せないと覚えておいて問題ないでしょう。


「自分のお金なのに自由に引き出して使えない」ため、流動性が低いのがデメリットになります。


iDeCo活用中、本格的に投資をすることになった際に、自由に使えるお金がないばかりに損をする恐れがあるのです。

元本割れのリスクがある

iDeCoでは、掛金を拠出した後に自分で金融商品を選んで運用します。


金融商品には、元本確保型である定期預金保険、元本変動型である投資信託の3つがあります。


その中の投資信託で運用する場合に、元本割れのリスクがあるのです。


投資信託はハイリスク・ハイリターンで、定期預金と保険はローリスク・ローリターンの位置付けになりますが、ある程度の知識や目的がないと損をする可能性があります。


元本割れするかどうか、理想の金額に到達できるかどうかは、完全に個人の投資スキルによって左右されるので、元本割れのリスクがあることを念頭においた上で投資に関する知識を身につけましょう。

拠出額の上限が決まっている

iDeCoは、拠出額の上限が決まっています。


例えば、第1号被保険者である自営業者は月額6.8万円(年額81.6万円)で、企業年金のない会社員は月額2.3万円(年額27.6万円)、企業型DCに加入している会社員は月額2万円(年額24万円)が掛金の上限になるのです。


掛金を拠出すればするほど所得が控除されるわけではないので、注意しておきましょう。

受け取り方法によっては課税される

iDeCoで資産運用を続けて60歳になった場合は、いよいよ積み立てたお金を受け取ることができます。


受取方法は全部で3パターンあり、「一括受け取り(一時金)」「分割受け取り(年金)」「一括・分割受け取りの併用」です。


それぞれ減税することができますが、場合によっては課税されることもあるので、しっかり理解しておきましょう。


一括受け取り(一時金)の場合


一括受け取り(一時金)の場合は、退職所得となり、退職所得控除の対象になります。


退職所得控除は、iDeCoの一時金と会社の退職金の合計に対して適用されるので、退職所得控除を「一時金と退職金の合計」が上回る場合は、課税されるのです。


退職所得控除の額は、以下の計算式で決まります。

勤続(拠出)年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続(拠出)年数
※80万円に満たない場合は80万円
20年超え800万円+70万円×(勤続年数-20年)

例えば、拠出した期間が30年の場合は、


800万円+70万円×10年=1500万円

となり、「一時金と退職金の合計」が1500万円を超えると税金がかかるわけです。


そのため、会社の退職金が高額になるのであれば損をすることになるので、一時金として受け取らない方がいいかもしれません。


分割受け取り(年金)の場合


分割受け取り(年金)の場合は、雑所得となり、公的年金等控除の対象になります。


公的年金等控除は、iDeCoの年金と公的年金の合計に対して適用され、差し引いた額が年間70万円(65歳未満の場合)、あるいは年間120万円(65歳以上の場合)までは課税されません。


しかし、公的年金の受給額が多いと課税対象になることもあるので、注意が必要です。


対策方法として、公的年金の受給開始時期より前(60歳〜64歳)に、iDeCoを年金として分割受け取りすることが挙げられます。


どの受け取り方法が自身に適切かどうかを考えて、損をしないように受け取りましょう。

iDeCoは手数料負けで損することがある?


iDeCoには加入時・運用時にかかる手数料があります。


運用を開始して利益を上げても、手数料によって損をする恐れもありますので、手数料について理解を深めておくことが大切です。


そこでこの項目では、手数料の種類や総額、節税メリットが手数料分を上回るかどうかについて解説します。

iDeCoは2つ手数料がかかる

iDeCoは、以下の手数料が発生します。

手数料支払先
加入手数料2,829
国民年金基金連合会
納付手数料105円(掛金拠出ごと)国民年金基金連合会
事務委託手数料66円/月信託銀行など事務委託先金融機関
運営管理手数料0円~440円/月証券会社や銀行などの運営管理機関

iDeCoの手数料を大きく分けると、加入時や移換時にかかる「加入手数料」と、納付手数料・事務委託先手数料・運営管理手数料を含んだ「口座管理手数料」の2つになります。


納付手数料は、掛金を拠出するごとにかかるので、毎月払いではなく年払いにすることで、年一回の支払いで済ませることが可能です。


口座管理手数料に含まれる事務委託先手数料や運営管理手数料は、掛金を拠出しなくても毎月支払わなければなりません。


運営管理手数料は、金融機関によって異なるので、少しでも安いところを選ぶのがポイントになります。

iDeCoの手数料は総額いくらかかる?

では、iDeCoの手数料は総額いくらかかるのでしょうか。


iDeCoで30年間運用した場合にかかる手数料について、金融機関別に見ていきましょう。

加入手数料+口座管理手数料×運用期間30年の総額
運営管理手数料が0円の金融機関2,829円+171円×360カ月=6万4389円6万4389円
運営管理手数料が209円の金融機関2,829円+380円×360カ月=13万9629円13万9629円
運営管理手数料が440円の金融機関2,829円+611円×360カ月=22万2789円22万2789円

上記の表の通り、30年間でかなりの手数料がかかります。


運営管理手数料によって総額は異なりますが、6万4389円〜22万2789円の振り幅で手数料がかかるのです。


手数料が多いほど損をすることになるので、金融機関を選ぶ際は慎重になったほうが賢明でしょう。

iDeCoの手数料vs節税効果!掛け金が少ないと損!

iDeCoの30年間の手数料は最高で22万2789円かかることがわかりました。


しかし、iDeCoには「所得税や住民税の納付額が減額される“所得控除”」や「本来運用益にかかる20.315%の税率がなくなり非課税」「受け取りの際の控除」などの節税メリットがあります。


この節税メリットを活用することで、iDeCoの手数料分の損を取り戻すことが可能です。


掛金が少ないと所得控除のメリットを最大限活かせないので損ですが、それでも十分な節税効果を期待できます。


それでは、どのぐらい節税効果があるのかを確かめるために、次の項目では節税メリットの一つである「所得控除」を用いてシミュレーションしていきたいと思います。

iDeCoの節税効果をシミュレーション!基本的に手数料以上の得がある!

所得控除を活用することによって、どのぐらい節税効果があるのかを年齢別にシミュレーションしてみました。


年収500万円の会社員で、月額の掛金が2万円の場合は以下になります。

運用期間節税額(所得税+住民税)
1年間4万8000円
10年間48万円
20年間96万円
30年間144万円

※社会保険料控除額は年収の14.39%、住民税額は10%、年収は一定として計算

※課税所得は「年収-給与所得控除-社会保険料控除-基礎控除」として算出


毎月2万円を拠出した場合は、1年間で4万8000円も節税することができます。


iDeCoの手数料の総額が最低の6万4389円だった場合は、約2年間で取り戻すことができ、最高の22万2789円の場合は、約5年間で取り戻すことが可能です。


30年間の積み立てで考えると、

144万円ー6万4389円=137万5110円

も得をすることになります。


もちろんiDeCoの運用益が手数料負けして損をすることはありますが、所得控除などの税制メリットを考慮すると、十分にiDeCoをやる価値はあるでしょう。

iDeCoの手数料で損しないためにおすすめの金融機関

ここまでで、iDeCoで損をする人(メリットを受けにくい人)やiDeCoで損しないために理解すべきデメリット・注意点、iDeCoの手数料と節税効果について解説してきました。


しかし中には、「どこの金融機関を選べばいいのかわからない」という人もいるでしょう。


そこでこの項目では、iDeCoの手数料で損しないためにおすすめの金融機関を紹介します。


基本的には、運営管理手数料が低いネット証券であれば問題ありませんが、その中でもおすすめしたい金融機関についてお伝えします。

SBI証券

一つ目のiDeCo手数料で損しないためにおすすめの金融機関は「SBI証券」になります。


SBI証券は、運営管理手数料が0円で、金融商品の豊富さが魅力的です。


運営管理手数料は0円のため、毎月171円の出費ですみます。


特筆すべき点は商品ラインナップで、定期預金や保険、投資信託の全てを合わせると60本以上の商品があります。


また、SBIグループの証券口座開設数は720万を突破しており、個人投資家からの人気が非常に高いです。


サイトも見やすくストレスフリーで利用できるのも魅力になります。


金融機関選びに迷ったらSBI証券がおすすめです。

楽天証券

二つ目のiDeCo手数料で損しないためにおすすめの金融機関は「楽天証券」になります。


楽天証券は、SBI証券同様に運営管理手数料が0円で、金融商品の豊富さやサポートが魅力的です。


長期運用に適した商品が豊富に揃えられているため、投資に詳しくない方におすすめできます。


サポートは土日祝日に対応していることから、疑問点や不安点をすぐに解決することが可能です。


また、楽天ユーザーであれば、iDeCo以外の楽天サービスでポイントを使えるメリットがあります。

iDeCoの運用について迷ったらお金のプロに相談すべき理由

ここまでiDeCoの手数料などで損しないための方法についてかなり詳細に解説してきました。


とはいえ、

「どの金融商品が自分に適しているのかわからない…」「自分で一人でiDeCoを有効活用できるかどうか不安…」

このような悩みを抱える方は多いでしょう。 


結論から言うと、そのような方はお金のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。 


FPは、iDeCoだけではなく、様々な金融商品を比較検討しながら、相談者の資産状況や、家計の状況に合わせて最適な提案をすることができます。 


特に、マネーキャリアの無料FP相談サービス3,000名のFPと提携している日本最大級のFP相談サービスなのでおすすめです。


マネーキャリアの無料FP相談サービスでは、スマホ一つで保険の悩みやお金に関する悩みをすべて解決できます。 


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まとめ:iDeCoで損しないために手数料に注意しよう

この記事では、iDeCoで損をする人(メリットを受けにくい人)やiDeCoで損しないために理解すべきデメリット・注意点、iDeCoの手数料、iDeCoの手数料で損しないためにおすすめの金融機関などについてお伝えしてきました。


今回のまとめは以下になります。

  • iDeCoは、「1.専業主婦や無職の人」「2.貯蓄が少ない人・まだ貯蓄できていない新社会人」「3.50代後半の人」が損をしやすい(メリットを受けにくい)
  • iDeCoで損しないために理解すべきデメリット・注意点は、「1.原則60歳まで引き出せないこと」「2.元本割れのリスクがあること」「3.拠出額の上限が決まっていること」「4.受け取り方法によっては課税されること」の4つ
  • iDeCoの手数料は大きく分けて「加入手数料」「口座管理手数料(納付手数料・事務委託先手数料・運営管理手数料)」の2つ
  • iDeCoの「掛金は全額所得控除」「運用益は非課税」「受け取り時は退職所得控除 or 公的年金用控除」の税制メリットを活用することで手数料分を取り戻すことができる

iDeCoには3つの税制メリットがあるので、2つの手数料を考慮しても損をする確率は低いでしょう。


とはいえ、無駄に手数料をかけているとトータル的にはプラスでも余計な手数料で損をすることになるので、運営管理手数料が安い金融口座を選んだ方が賢明です。


また、iDeCoで損をしないためにも、ある程度の金融知識を身につけておくことが大切です。


書籍を読んだりFPに相談したりして、不安を少しづつ取り除いていきましょう。

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