iDeCoの限度額引き上げはいつから?公務員の上限はいくらになる?のサムネイル画像

「iDeCoの限度額引き上げについて知りたい」「イデコの法改正がよくわからない」このような悩みを抱える人は多いでしょう。そこで本記事ではiDeCo(確定拠出年金)の限度額引き上げの時期や法改正について詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

公務員のiDeCo(イデコ、確定拠出年金)の限度額引き上げはいつから?

こんにちは、マネーキャリア編集部です。


先日、30代女性からこんな質問をいただきました。


iDeCoの限度額が今後引き上げられると聞きました。

いったいどれくらい変わるのですか。


iDeCoの限度額は職種によって細かく定められています。


公務員の場合、かなり低めに設定されています。


もし限度額が引き上げされるなら嬉しいですよね。


そこでこの記事では、公務員のiDeCoの限度額引き上げを中心に、

  • 公務員やDB加入者のiDeCoの限度額引き上げは令和6(2024)年
  • どうして公務員のiDeCo掛金上限金額が2万円になるの?
  • 公務員のiDeCo拠出限度額見直しまとめ
  • 2022年からのiDeCo制度の変更点まとめ
  • iDeCoと企業型DCを併用するメリット
  • 資産運用について迷ったらお金のプロに相談すべき理由
について解説していきたいと思います。

公務員やDB加入者のiDeCoの限度額引き上げは令和6(2024)年

結論から申し上げますと、限度額が引き上げられるのは令和6(2024)年12月からです。


この改正は、2021年5月の「確定拠出年金法施行令及び公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令の一部を改正する政令案」(以下、2021年5月の政令案と省略)の公示に基づいています。


実は当初は2022年10月から実施される運びとなっていましたが、準備期間が足りないということで2年延期されました。


その結果2021年現在から3年後にようやく、公務員やDB加入者のiDeCoの限度額が実質2万円に引き上げられることが決まりました。

どうして公務員のiDeCo掛金上限金額が2万円になるの?

そもそも公務員のiDeCoの限度額が引き上げられるのはなぜなのでしょうか。


それにはiDeCoの加入対象に公務員が追加された経緯から説明することが必要です。


当初公務員はiDeCoに加入できませんでした


その理由は、会社員に比べて公務員は福利厚生の面で優遇されており、公務員独自の共済年金に加入するだけで十分だったので、iDeCoの対象外となっていたからです。


しかし2015年に共済年金が廃止され、会社員と同様に厚生年金に加入することになり、追って2017年にiDeCoに加入できるようになりました。


とはいえ、それでも公務員は優遇されているという認識から限度額をかなり低めに設定されたままでした。


2017年以降少しずつ増えてはいますが、やはり限度額の低さを理由に加入しない人もいます。


そうした事態を踏まえて公務員のiDeCo掛金上限金額が引き上げられるようになったのです。


結論としては、公務員のiDeCoの限度額を引き上げるのは、もっと多くの加入者を呼び込むためではないかと思われます。

公務員のiDeCo拠出限度額見直しまとめ

次に実際にどれくらい限度額が引き上げられるのかを、現行と改正後を対照させて、

  • 公務員のiDeCo拠出限度
  • DBに加入している会社員のiDeCo拠出限度額
  • DBに加入している会社員の企業型DCの拠出限度額
  • 共済に加入している教職員のiDeCo・企業型DCの拠出限度額
の4つに分けて解説します。 

公務員のiDeCo拠出限度額

公務員のiDeCo拠出限度額は現行と改正後で以下のようになっています。


現行改正後
月額12,000円実質月額20,000円


このように8,000円も引き上げられることが分かります。


ただし「実質」という言葉に気を付けなくてはいけません。


なぜ実質とつけられているのかというと、人によっては限度額が2万円を下回ることがあるからです。


公務員のiDeCoの限度額は以下の計算によって計算できます。


月額5.5万円-(各月の企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額) 
※上限2万円

公務員は企業型DCがないので、DB等の掛金の大小が限度額を左右します。

実際のところ公務員にはDBは無いのですが、代わりの年金払い退職給付がDB扱いになので問題ありません。


月額2万円以下になるのは、年金払い退職給付が3.5万円を超えている場合です。


年金払い退職給付の掛金は年収とボーナスの1.5%相当なので、逆算すると、

3.5(月額)×12(1年分)÷1.5%=2800万円

となり、年収2800万円の方なら、iDeCoの限度額が月額2万円以下になることが確認できました。


このように、高収入の公務員に限っては限度額2万円を下回るので、「実質」2万円となっているのです。

DBに加入している会社員のiDeCo拠出限度額

企業型DCは入っておらず、DBにだけ加入している会社員のiDeCo拠出限度額は以下のようになっています。


現行改正後
月額12,000円月額20,000円


ご覧の通り、公務員の限度額と全く同じです。


それもそのはず、企業型DCに加入していないので、DBの限度額が左右するという点で一緒だからです。


そのため改正後も公務員と同じ限度額になります。

DBに加入している会社員の企業型DCの拠出限度額

DBに加入している会社員の企業型DCの拠出限度額は以下のようになっています。


現行改正後
月額27,500円以下のうち大きい方
・55,000円ーDB等の他制度掛金相当額
・月額27,500円


先ほどまではiDeCoの限度額でしたが、このケースは企業型DCの拠出限度額となります。


やはり限度額の引き上げがなされ、最低でも現行と同じ27,500円になるように調整されています。

共済に加入している教職員のiDeCo・企業型DCの拠出限度額

公立の職員は公務員扱いですが、私学の職員は会社員扱いとなります。


そのため、私学共済組合に入れば、通常の会社員と同じようにiDeCoに加え企業型DCにも加入できます。


もし企業型DCに入らずiDeCoにだけ加入する場合は以下のようになっています。


現行改正後
月額12,000円実質月額20,000円


私学教職員もDBは年金払い退職給付と同じ扱いなので、DBにだけ加入している会社員と同じ限度額になります。


次に企業型DCに入った場合の企業型DCの限度額は以下のようになっています。

現行改正後
月額27,500円以下のうち大きい方
・55,000円ーDB等の他制度掛金相当額
・月額27,500円


やはり上記のDBに加入している会社員の企業型DCの拠出限度額と同じになりました。


このように、私学教職員は通常の会社員とほぼ同じ扱いになっていることが確認できました。


ただし通常の会社員とは違うところがあります。


それは、

  • 公務員も私学教職員も退職金が比較的多い
ということです。

退職金が多いことはiDeCoの加入に非常に大きな影響を与えます。

なぜなら、退職金が多ければ、
  • 60歳を超えてiDeCoの一時金を受け取る際に、勝手に退職金と合算されてしまい、退職所得控除の枠をオーバーしてしまう
という最大のデメリットがあるためです。

退職所得控除とは、退職金にかかる所得税や住民税を減らすことができる制度で、長く働けば働くほどより大きくなります。

人によっては全額所得控除されることもあり、非常に大きな節税対策です。

それにもかかわらず、iDeCoの一時金と合算されてしまえば、所得控除の枠を超えて、課税分が生じてしまうことがあります

もしiDeCoに加入していなければ課税されることはなかったかもしれません。

このように、iDeCoの一時金と退職金は非常に相性が悪いです。

これを防ぐために、公務員や私学教職員の場合、iDeCoに加入するのであれば、
  • iDeCoを受け取る際には、一時金ではなく年金を指定する
といった工夫をすることが必要となります。

2022年からのiDeCo制度の変更点まとめ

ここまではiDeCoの法改正で限度額が一体いくらに変わるのかを解説してきました。

ここからは限度額の引き上げ以外の変更点を、
  1. 受給開始年齢の上限が70歳から75歳へ(2022年4月~)
  2. 加入年齢の上限が60歳未満から65歳未満へ(2022年5月~)
  3. 企業型DC・DB加入者もiDeCo加入可能に(2022年10月~)
の3点解説します。

①受給開始年齢の上限が70歳から75歳へ(2022年4月~)

まず2022年の4月からは受給開始時期の選択肢が広がるようになります。


具体的に言うと、

  • 現行制度では60歳以降70歳までに受け取りを開始しなくてはいけない
  • 改正後は60歳から75歳までに受け取りを開始すればいい

ことになりました。


なぜ改正されたのかいというと、60歳で退職せずに働き続けるという人に配慮したためです。


同じく公的年金も75歳まで延長されることもあり、これからは年齢にとらわれない多様な働き方が広がることが予想されます。


この法改正もそれを見越したものでしょう。

②加入年齢の上限が60歳未満から65歳未満へ(2022年5月~)

2022年の5月からは加入可能年齢が延長されるようになります。


この改正が一番注目されていて、これまで対象外で加入できなかった人を取り込む狙いがあります。


具体的に言うと、

  • 現行制度では60歳までしか加入できない
  • 改正後は65歳まで加入できるようになる(条件あり)

ことになりました。


ただし注意しなくてはいけないのは「誰でも65歳まで加入できるようになるわけではない」ということです。


60歳を超えて加入するには各種条件があります。


その条件とは、

  • 国民年金被保険者であること(任意加入被保険者でも可能)
  • iDeCoの老齢給付金を受給していないこと
  • 公的年金を65歳より前に繰上げ受給していないこと

となっています。


これらの条件を満たした場合にようやく60歳を超えても加入が認められます。


またただ単に加入できる年齢が広がっただけでなく、それに伴って掛金拠出できる期間が延長されたことにも着目すべきです。


これまでだと60歳からは掛金拠出がストップして、今ある分で運用するしかありませんでした。


しかし改正後は65歳まで掛金拠出できるので、その分積立金も増やすことができます。


例えば毎月1.5万円の掛け金を拠出していたとしたら、5年間で90万円多く積立できることになります。


これは非常に大きいメリットなので、この改正が一番注目されているのです。

③企業型DC・DB加入者もiDeCo加入可能に(2022年10月~)

2022年の10月からは企業型DC加入者であってもiDeCoに加入しやすくなります。


具体的に言うと、

  • 現行制度では会社の規約で認められなければ、企業型DCとiDeCoの併用は認められなかった
  • 改正後は会社の規約に関係なく、併用できるようになる

ことになりました。


現在では企業型DCの加入者は約750万人と言われており、そのうちほとんどの人がiDeCoの加入を諦めざるを得ませんでした。


しかしこの改正によって、誰でも併用できるように変わりました。


ただし注意しなくてはいけないのは「マッチング拠出とiDeCoの併用は依然認められていない」ということです。


それでも、企業型DCしか加入できなかったかなり多くの人がiDeCoに加入できるようになる改正となりました。

iDeCoと企業型DCを併用するメリット

先ほどお伝えしたように、以前までは企業型DCに入っていれば、iDeCoに加入できませんでした。


法改正によってようやく併用できるようになったのです。


しかしそこまでして併用する必要はあるのかと思われる方もいるでしょう。


そこでここからはiDeCoと企業型DCを併用するメリットについて、

  • 掛金額を増やし所得税や住民税を減らせる
  • iDeCoの商品ラインナップから希望の商品を選べる
の2点解説します。

掛金額を増やし所得税や住民税を減らせる

iDeCoも企業型DCも「確定拠出年金」のうちの一つなので、どちらも掛金の全額が非課税となっています。


そのためできることなら長く掛け金を拠出し続ける方がいいです。


ただ企業型DCの場合、会社を退職してしまえば自動的に脱退することになってしまいます。


そうなると掛金をかけられなくなってしまいます。


もしiDeCoと併用しているなら、65歳まで掛金を拠出できるように法改正されたので、退職後も掛金をかけ続けることができます。


そうして長い間所得控除という形で所得税や住民税を減らすことができることがメリットです。

iDeCoの商品ラインナップから希望の商品を選べる

iDeCoの場合、何を運用したいのかはその人次第で自由に選べます。


一例として、みずほ銀行のiDeCoの商品ラインナップを紹介すると、

  • 【バランス型】14種
  • 【国内債券】1種
  • 【国内株式】3種
  • 【海外債券】2種
  • 【海外株式】7種
  • 【国内リート】1種
  • 【海外リート】1種
  • 【定期預金】1種
の合計30種類あります。

このうち自分の好きな商品を選択して選ぶことができます。

各金融機関によってそれぞれ種類は異なるので、自分の好きな金融機関でiDeCoの運用商品を選ぶことができます。


それに対して、企業型DCでは、運用商品は「3本以上35本以下」の範囲で用意しなければならないことが定められています。


どの程度用意するかは会社によってまちまちなので、会社によってはほとんどないということも考えられます。


つまり、企業型DCでは会社によって商品ラインナップが異なると言えます。


自分の好みの運用商品がない場合も想定されます。


こうしたことから、iDeCoと企業型DCを併用して、運用商品の選択肢を広げるべきと言えるでしょう。

資産運用について迷ったらお金のプロに相談すべき理由

今までお伝えしてきたように、iDeCoの法改正は非常に多くの人にメリットをもたらすものでした。


この法改正によって、現行の制度では加入できなかった人が加入するケースが増えることが予想されます。


その一方で法改正されたからと言って、やっぱりiDeCoに加入するのは心配という方もいるかもしれません。


確かにiDeCoは個人で加入する制度なので、自分から決断するしかなく、決めづらいですよね。


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公務員のiDeCoの限度額引き上げ時期・額に注意

ここまでは公務員のiDeCoの限度額の引き上げを中心に見てきました。


この記事のポイントは、

  • 公務員やDB加入者のiDeCoの限度額引き上げは令和6(2024)年
  • 公務員の限度額が引き上げるのは、新規加入を促進するため
  • iDeCoの限度額は公務員だけでなく全体的に引き上げられる
  • iDeCoと企業型DCを併用すると、税制優遇がより高まったり、商品ラインナップが増える
  • 資産運用について迷ったらマネーキャリアに相談するのがおすすめ
でした。

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