- 海外移住や留学してもiDeCoを続ける条件を知りたい人
- 海外移住する際のiDeCoの手続きを知りたい人
- 海外移住で非居住者になるか迷っている人
- 海外移住や留学してもiDeCoを続ける条件
- 海外移住する際のiDeCoの手続きと注意点
- 非居住者になるメリットとデメリット
海外移住や留学中のiDeCo(イデコ)管理:非居住者としての条件、所得控除の可否、手続きのポイント、NISAとの比較、メリット・デメリットを解説します。iDeCoを続けるか、解約・受け取り方法を考えている方必見!
この記事の目次
目次を閉じる海外移住や留学しても個人型確定拠出年金であるiDeCo(イデコ)を続ける条件は?解約は?受け取りは?
海外移住や留学してもiDeCo(イデコ)を続けるには条件があります。
- 日本国籍を有する20歳以上65歳未満で国民年金の任意加入被保険者
- 65歳未満の第2号被保険者
- 第3号被保険者
海外移住しても、日本企業と雇用関係にあり、厚生年金保険に継続的に加入できれば、iDeCoも続けられるということです。
iDeCoは原則として、60歳まで資産を引き出すこと(中途解約・払戻)はできません。
例外として、脱退一時金の制度があります。
iDeCoの中途引き出し(=脱退一時金の受給)の要件は、以下の6つです。
- 60歳未満である
- 企業型DCの加入者でない
- iDeCoに加入できない
- 障害給付金の受給権者でない
- 通算の掛け金拠出期間が5年以下または資産額が25万円以下
- 最後の企業型DCまたはiDeCoの加入資格喪失から2年以内
要件をすべて満たしていれば、企業型DCからiDeCoへ資産を移すことなく中途引き出しが認められます。
脱退一時金の請求手続については、加入している金融機関に連絡のうえ、所定の手続きが必要です。
非居住者の定義は?
非居住者とは、国内に住所を有せず、現在まで引き続いて1年未満しか居所を有していない個人をいいます。
国税庁の「居住者と非居住者の区分」は以下の通りです。
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
非居住者ならiDeCo(イデコ)で所得控除のメリットを受けられない
海外移住した非居住者は、日本の所得控除のメリットを受けられません。
税金は居住している国で納めることが原則だからです。
2022年5月の法改正により、海外居住者も国民年金の任意加入者はiDeCoができるようになりました。
iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリットは、主に以下の3つです。
- 所得税と住民税が軽減できる
- 運用収益はすべて非課税になる
- 退職金や年金として控除できる
条件別による届出の選択
海外への住所変更は、届出住所を以下の2つから選択できます。
- 国内の家族住所を連絡先として届出する
- 海外の本人実住所を届出住所とする
- 国民年金の加入義務の適用対象外となるが、国民年金に海外居住の任意加入被保険者として加入し国民年金保険料を納付するとともに、iDeCoにも任意加入被保険者として加入し掛金拠出を継続する方
- 帰国した外国人で、日本国内にiDeCoの連絡先となる家族(実家や実家など)がいない方
届出する際の注意点
- 国内に住む家族の住所を連絡先として届出する場合
- 海外に住む本人の実住所を届出する場合
国内に住む家族の住所を連絡先として届出する場合
国内に住む家族の住所を連絡先として届出できるのは、海外移住後も国民年金第2号被保険者(日本企業の会社員)・第3号被保険者(日本企業の会社員の被扶養配偶者)の方または(掛金拠出していない)iDeCo運用指図者の方です。
国民年金基金連合会や記録関連運営管理機関からの通知類は届出された国内連絡先である家族住所宛に送付されます。
海外在住の本人へは家族から適宜の方法で連絡する必要があります。
記録関連運営管理機関からの通知には、取引状況のお知らせや加入者サイトのログインパスワードが失効した場合の再発行された初期パスワードの通知など重要な通知が含まれます。
国内連絡先となる家族と姓が異なる場合は、住所の末尾に国内連絡先の家族宅の姓を様方表記にて記載が必要です。
海外に住む本人の実住所を届出する場合
国民年金基金連合会や記録関連運営管理機関からの通知類は「加入者等氏名住所変更届」の海外居住者情報の「連絡先住所」に記載された住所と届出者氏名の組み合わせで送付されます。
住所表記は海外居住者情報の「連絡先住所」は滞在国で配達できるよう滞在国の言語で表記が必要です。
届出した「連絡先住所」が封筒宛名に謄写されるので明瞭に記載すること。 名宛人表記は「届出者氏名」が日本語(漢字)で表記されます。
小規模企業共済等掛金控除証明は海外住所には送付されません。国内所得があり、所得控除の申告をする場合は注意が必要です。
手続きに必要な書類
手続きに必要な書類(加入者等氏名・住所変更届)や記入要領はPDFを印刷して、使用します。
PDFを印刷できない場合は、加入先の金融機関に連絡し、郵送で取得しましょう。急ぎの場合は、コンビニエンスストアのプリントサービスで印刷します。
次のような場合、国民年金基金連合会への手続きが必要です。
- 住所・氏名が変わった(金融機関の手続とは別にiDeCoの手続が必要)
掛金の納付をしている加入者の方で、
- 国民年金の被保険者の種別が変わった
- 勤務先が変わった。(就職・転職・退職)
- 勤務先の企業年金制度が変わった、始まった、終了した
- 国民年金付加保険料・国民年金基金掛金を変更した
- 国民年金の免除条件が変更になった
- 掛金の納付を再開したい
必要な書類は、国民年金基金のホームページからPDFで印刷します。
非居住者になるならNISAよりiDeCo(イデコ)がおすすめ
海外移住する非居住者には、NISAよりiDeCo(イデコ)がおすすめです。
まぜなら、NISAを利用できる方は「日本国内に住んでいて、口座を開設する年の1月1日時点で18歳以上の方」だからです。
2019年度の税制改正により、最長5年の海外赴任・海外転勤であれば、それまでNISAで保有してきた資産をNISA口座で保有できるようになりました。
出国前にNISA口座を開設している金融機関に「継続適用届出書」を提出して手続きを行い、5年以内に帰国した後には、「帰国届出書」を提出します。
しかし、海外に出国している間は、新規の投資はできません。
対して、iDeCo(個人型確定拠出年金)は非居住者であっても、日本企業と雇用関係にあり、厚生年金保険に継続的に加入していれば、iDeCoの掛け金の拠出および運用できるケースがあるのです。
また一時的にiDeCoの加入者資格を喪失し掛金を拠出できなくなっても、これまで積み立てた資産の運用指図者として積立資産の運用だけを行えます。
帰国した場合は、所定の手続きをすれば、再びiDeCoの運用を再開することも可能です。
海外移住の際に非居住者になるメリットとデメリット
- 海外移住の際に非居住者になるメリット
- 海外移住の際に非居住者になるデメリット
海外移住の際に非居住者になるメリット
住民税が課せられない
例えば、日本非居住者が海外の証券口座で日本企業の株式を取引して得た利益には、住民税分がかからず、所得税の15.315%だけが源泉課税されることになるのです。
ただし、翌年1月1日時点で非居住者の場合、その年の6月から住民税の支払い義務がなくなります。
国民健康保険と国民年金の支払い義務がなくなる
海外移住者は、国民健康保険と国民年金の支払い義務がなくなります。
ただし、国民健康保険は日本の勤務先で厚生年金を継続する場合、支払い義務はなくなりません。
また、海外移住しても国民年金は任意で継続可能です。日本に住んでいなくても、日本からの年金を受給できます。
海外の大学に留学する場合、海外転出届を出せば、第1号被保険者ではなくなるため、学生納付特例の対象とはなりません。
消費税が免税される
免税販売の対象になれば、大手百貨店や家電量販店などでパスポートを提示することで、消費税は免税されます。
海外に住んでいる日本人が一時的に日本に帰国している場合、条件を満たせば免税販売の対象になるので、条件を確認しましょう。
海外移住の際に非居住者になるデメリット
日本の証券会社での取引
海外移住者は、日本の証券会社での売買取引はできなくなるため、売却・出金・他社移管後し、口座の解約が必要です。なぜなら、日本の証券会社は基本的に国外での金融商品取引業務を行う資格がないから。
銀行の取引の停止
日本の社会保障制度は対象外
社会保険に加入していなければ、日本の社会保障制度は受けられません。
海外で働く場合、働いている国の社会保障制度に加入する必要があります。
ただし、社会保障協定が締結されている国では、日本からの派遣による一時的な就労(原則5年)の場合,日本の年金制度のみに加入し,その国の年金制度等への加入が免除されます。
社会保障協定発効状況および協定相手国の情報は、日本年金機構のホームページで確認してください。
まとめ:iDeCo(イデコ)・個人型確定拠出年金の海外移住・留学しても続けられる?解約は?受け取りは?
iDeCo(個人型確定拠出年金)加入者が海外移住・留学しても続けられる条件、iDeCoを継続・解約する手続きを紹介しました。
iDeCoは、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。
長期化する老後にそなえ、自身の公的年金の状況を確認したうえで、iDeCoを検討しましょう。